世界史

まるで京都のような道に、カレーのルーツも? 謎多きインダス文明ミステリー探訪

関連キーワード

世界4大文明のうちのひとつである「インダス文明」は紀元前2500年頃から紀元前1500年頃にかけてインダス川流域に成立した都市文明です。
インダス川は英語では「インダス・リバー」、中国語では「印度河」と呼ばれていますが、実際は川の流域のほとんどがパキスタンです。そしてこの「インダス文明」には現在もなお解明されていない謎が数多くあるのです。
「インダス文明」をめぐる興味深いミステリーについてご案内いたしましょう。

キング不在の平等な都市が発達?!

「インダス文明」は大昔の4500年以上前の文明ですが、驚くほど高度な文明だったことがわかっています。
インダスの都市はまるで京都の街並みのように東西南北に格子状の道が整備され、建築物は焼レンガで造られていました。また下水道施設や公衆浴場までありました。この頃の日本は縄文時代だったことを思うと本当に驚くほど発達した都市文明だったのですね。ここで人々は家畜を飼い、農業を行って暮らしていました。また「インダス文明」の主要な遺跡である「モヘンジョ・ダロ」や「ハラッパー」からは印章、青銅器、彩色された土器などが発掘されています。「インダス文明」の遺跡が発見されたのは1920年のことで、まだ発掘研究は途上にあります。

「インダス文明」の遺跡として世界的に知られている「モヘンジョ・ダロ」と「ハラッパー」からは、不思議なことに多くの文明遺跡に見られるような宮殿や神殿がまったく見つかっていません。また、これまで発掘された中にあった墓には装飾品の類いもありませんでした。
さらに巨大都市でありながら軍事施設や武器もまったくみられないことから、どうやら「インダス文明」には権力を持つ国王や宗教者がおらず、民衆がみんな平等に暮らしていたのではないかと推測されています。しかし「モヘンジョ・ダロ」遺跡の中心地には「大浴場」が見つかっており、これは宗教的な沐浴に使われた可能性が高いようです。インダスの整備された都市で古代の人々はどんな風に生活していたのか、今後の研究が待たれます。

謎の象形文字【インダス文字】とは?

「インダス文明」をめぐる謎の中で、現在の最新研究によって少しずつ明らかになりつつあるのが「インダス文字」です。
「インダス文字」は遺跡から発掘された印章に刻まれている象形文字です。数多く発掘されている印章には動物の絵文字と謎の象形文字が刻まれているのですが、いまだに解読されていません。現在までに400文字ほどが発見されている「インダス文字」が解読できないのは、印章に刻まれているのがとても短い文だけで、もっとも長い文でも17文字しかないことと、参照できるような別種の文字がないことによるものです。それでもこれまでに「インダス文字」は右から左へ読んでいき、次の行は逆に左から読む、ということは解明されています。そして最近ではこうした謎の「インダス文字」の解読に新たな光が当てられてきています。それは最新のコンピュータプログラムを用いた解読研究です。

これまで文字数の少なさから解読が進んでいなかった「インダス文字」について、他の様々な言語と比較するコンピュータプログラムを用いて研究をした結果、どうやら「インダス文字」は「話し言葉」なのではないかということがわかり始めてきました。これまで「インダス文字」は文字というよりも宗教を背景とした「象徴敵な図」にすぎないのではないか、ともいわれてきましたが「話し言葉」だと明らかになれば今後さらに印章に刻まれた文字の解読が進むことでしょう。どんな内容が刻まれていたのか早く知りたいものです。

「インダス文明」の滅亡をめぐる謎

さて「インダス文明」をめぐる謎は「インダス文字」だけではないのです。
この高度な文明がなぜ滅んだのか、ということが「インダス文明」の大きな謎として今でも解明されていません。「インダス文明」の遺跡からは大量のレンガで造られた都市の残骸が発掘されていますが、このレンガの都市は幾層にも重なっており何らかの原因で都市が壊滅すると、その上に以前の都市をそっくり複製した都市を再び作り上げることを繰り返していたことがわかっています。これまで7層まで発掘されていますが、その下にまだ何層の都市があるのかはわかっていません。

そして何度も都市の上に都市を作り続けていた「インダス文明」が、どうして滅亡したのかについては現在でも謎のままです。
「インダス文明」遺跡のうちのひとつである「モヘンジョ・ダロ」は「死の丘」という意味で、考古学者が発掘のために足を踏み入れるまでは現地の人々が訪れることのない場所でした。ここからはたくさんの人骨が発掘されていて、その状態に高熱を浴びた痕跡が見られたことから隕石が落下したのではないかという説があり、さらに古代に核戦争が起きたという説まであります。また遺跡の多くが砂漠地帯にあることから、大きな気候変動があったとする説や、都市を作るためのレンガを焼く目的で多くの森林伐採が行われたことから砂漠化が進み滅亡したという説もあります。

まとめ

「インダス文明」がなぜ滅亡したのかは「インダス文字」とともに謎のままです。
王がいない国でありながら高度に整備された都市を作り上げた「インダス文明」においては、医療技術も発達しており発掘された人骨からは歯の治療のあとが発見されてもいます。
また、発掘された歯からはカレーに使われるスパイスも発見されていて「インダス文明」の都市にカレーのルーツがあるとも推測されています。
人々の間に格差がなく戦争をしなかった「インダス文明」をめぐるミステリーロマンはわたしたちの好奇心を刺激し続けてやみません。
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ