景勝地

神が創った奇跡の蒼、神の子池

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神の子池がある裏摩周は清里町にあります。小清水町の東に続く農業の町で、昭和18年斜里町と小清水町から分離して上斜里村となり、昭和30年に町制を施行すると同時に清里町と改称しました。

町域の南東部は摩周火山やサヌッケヌプリ岳・斜里岳など知床山地の山地帯ですが、北部には北東へ流出する斜里川沿岸の沖積低地となだらかな丘陵地帯が開けています。基幹産業は北部の清里市街を中心に営まれるジャガイモ・ビート・小麦などの畑作農業です。乳牛・養豚といった畜産も一部行われます。工業は農林産物加工、木材製品加工などの諸工場が立地し、町営の馬鈴薯焼酎醸造試験研究所もあります。

見どころとしては裏摩周展望台や清里峠などがあり、街の背後に盛り上がった江鳶山には自動車道が登って展望台が設けられ、散策に訪れる人々が増えています。

斜里岳は町域東端、知床半島の起点にそびえるコニーデ型の死火山です。アイヌ語で「年老いた山」の意味である「オンネヌプリ」と呼ばれ、斜里アイヌコタンの信仰の山となっていました。

登山に適しているのは7月~9月中旬ごろで、6合目から頂上付近にかけてチングルマ・ミヤマダイコンソウなどの高山植物が多く、みごとな花畑が開けています。

トドマツ・エゾマツ・ダケカンバなどの原生林におおわれる部分が多いのですが、山頂付近には30~50cmの斜里岳独特の可憐なミネザクラがあって、7月初旬ごろに満開となります。
頂上からの眺望は四方に開け、阿寒3湖をはじめ、網走国定公園・知床国立公園・オホーツク海などを眺めて、天候に恵まれれば国後島・釧路方面までも見ることができます。

昭和32年の第12回国体山岳部門北海道予選会の会場になって以来、登山客が増え、年間1万人以上の登頂者があります。登山コースは清里市街からのものがもっとも一般的で、登山口までバスで15分、そこから頂上まで登り約10km。徒歩で5時間ほどです。その途中、西腹の5合目付近に収容100名の山小屋清岳荘があり、ここまでは車で行くこともできます。

裏摩周へは清里市街から緑市街を経て斜里川をさかのぼり、南の中標津町へ抜ける道々緑・中標津線の清里峠から西へ入っていきます。ここに摩周湖北岸の断崖上に展望台が設けられているのです。これが裏摩周展望台です。第一・第三展望台がある弟子屈側とはまた違った趣がある眺めで、位置的には反対側にあります。弟子屈側よりも標高が低いところに作られていることもあって、摩周湖の湖面をはっきりと近くで見ることができます。摩周湖はカルデラ湖ですが、注ぎこむ川も流れ出る川もない不思議な湖です。
近年透明度が下がってきているとは言われていますが、それでもかなりの透明度です。

西寄りに開かれた旧展望台から南へ500m、原始林のなかを下ると湖岸へ出ます。湖岸には幅20m余り、延長約2kmの摩周湖唯一の砂浜が東西に開かれており「神秘の湖」摩周湖に身近に接することができます。眼前に濃い藍色をたたえた湖面が広がり、左手には急傾斜で水面に迫る摩周岳を仰ぐ眺めが素晴らしいです。

また、清里峠は一面草原におおわれ、峠というよりも高原といったほうが合います。草原のつきるあたりに摩周岳・斜里岳などが浮かび上がり、日本離れした雄大な眺望を楽しむことができます。広い意味ではこのあたりすべてを裏摩周といいます。

そして神の子池へはさきほどの展望台から北へ向かいます。少し車道が狭くなっているため運転には注意しながら進むと巨大な駐車場があります。以前は閑散とした場所でしたが、近年は観光客も増えてきているため、大型バスなどとすれ違うときには気をつけてここまでたどり着きましょう。

また、清里町・斜里町のあたりは北海道でも特に熊が多い地域でもあります。あまり人がいない時間帯に訪れるときなどは十分に注意するようにしてください。

そしていよいよ神の子池です。神の子池は摩周湖とつながっている地下水が湧き出ている池です。なぜ「神の子」なのかというと、もともと摩周湖は「神の湖」という意味を持つアイヌ語「カムイトー」とも呼ばれている湖です。その摩周湖の伏流水でできている湖なので「神の子」と呼ばれるようになったのです。

この神の子池の驚くべきはその水の透明度です。天候や時間帯によっても多少変化はありますが、条件がそろったときなどは恐ろしいほど透き通るほどのブルーグリーンの色合いになります。

木々が数本、湖に浮かんでいるのですが、本来こんな状態になっていれば腐ってしまうのが普通です。しかしここの湖は常に湖温が8度程度と低くなっており、木は腐ることなく浮かび続けているのです。

また、底までが透き通って見えるので非常に浅い湖のように見えますが、実際には水深は5mほどあります。

天候によって色合いが変化する「もう一つの神秘の摩周湖」とも呼ばれるのが、この神の子池なのです。
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