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300種類以上ある梅の木の品種を知る

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梅の木は、古来より愛でられているために日本原産と思いがちですが、中国原産で、日本には、朝鮮半島経由で入ってきました。
梅の木は、奈良時代にはすでに栽培されていて、江戸時代に盛んに品種改良がなされ、現在では300種類以上が存在しています。
梅の品種改良は、樹形とともに花を楽しむことに重点を置いて品種改良されてきた観賞用の「花梅」と、肉厚で美味しい実を取ることに重点をおいて品種改良されてきた「実梅」に大きく分けられます。

実梅の花も美しく花梅の実も食べられる

実梅・花梅と分けられていても、梅の木には違いなく、実梅も美しい花を咲かせ、花梅にも実がなります。
実を主体において品種改良されてきた実梅は、花梅ほど艶やかな花を咲かせないといっても、開花期間中に大勢の人出で賑わう梅林の梅の木のほとんどが、実を取る実梅です。
花と樹形を楽しむことに主体をおいて品種改良されてきた花梅の実は、実梅に比べると肉厚感が少なかったり、実がつきにくい傾向がありますが、食べるには何ら問題はありません。

梅の花は桜と違って長く楽しめる

かつて、お花見といえばではなく、梅でした。
奈良時代には花の鑑賞といえば梅のお花見を意味していて、薫り高い花に人気がありました。
は花見の対象というよりは、神聖な木として祀られていました。
の方に人気が集まったのは、遣唐使の廃止以降です。

の開花は前線の上昇とともに、長くテレビでも報道されているため、花期が長いと思いがちですが、実際は、1週間位で見頃を過ぎてしまいます。
梅の花は、地域のよって・品種によって、開花の時期が前後しますが、早いものでは1月ごろから咲きはじめ、3月ごろまで、約1ヵ月間咲き続けます。

寒冷地では、梅はよりもほんの少し早く咲き始め、が終わってもなお、長い間花を咲かせ続けます。

花梅の木は3系9性に分類される

梅の木の中でも、観賞用に品種改良された花梅の種類がとても多く、研究者によっていろいろな分類がなされてきましたが、明治時代に小川安村著「梅譜」において、梅の木の性質や花の特徴から9つの「性(しょう)」にグループ分けしたものを、「野梅系」「緋梅系」「豊後系」の3系統に分類した分類法がよく知られています。

原種に近い「野梅(やばい)系」

原種の、自然に生えていたバラが野ばらというように、自然に生えていた梅の木を「野梅」といいます。
「野梅」と言い切らず「野梅系」というのは、原種に近いものの、原種そのものではないためです。
枝が細く、花も葉も小さめですが、香り高い花が咲くのが特徴です。

原種に近い品種で、トゲのように細い小枝がたくさんつく「野梅性」、トゲのように細い小枝は少ないものの、全体にこじんまりと育つ「難波(なにわ)性」、蕾の先端が赤くとがって筆のような形になる「紅筆(べにふで)性」、枝や萼片が緑色で、蕾も花も緑が入る白梅「青軸(あおじく)性」があります。

幹の中が赤い「緋梅(ひばい)系」

緋梅系の梅の木は、野梅系を品種改良したもので、ほとんどが紅梅ですが、白梅もあります。
緋梅系の梅の木は、共通して、枝や幹の内部が赤く、小さな葉っぱをつけます。

花色が明るい紅色の「紅梅(こうばい)性」、花色が濃い紅色~緋色をしていて、伸びた新しい枝「新梢」が黒褐色になる「緋梅(ひばい)性」、紅梅でも咲き終わりになると白っぽくなり、下向きに花を咲かせる「唐梅(とうばい)性」があります。

梅と杏の雑種「豊後(ぶんご)系」

豊後系の梅の木は、杏との雑種なので、花色は杏に近い薄桃色が多く、葉が大きく、生育が良いのが特徴です。
杏に近いためか、香りがあまり強くありません。

枝が太めで樹勢が強く、葉の表面に毛があり、大きめの花が咲く「豊後(ぶんご)性」、豊後性よりも枝は細めで葉も小さく、毛もない「杏(あんず)性」があります。

一本の木に紅白の花をつける梅の木

一つの梅の木なのに、白い花と赤い花が一緒に咲いているものを「咲き分け」、一つの花の花びらに色が交じるものを「絞り」といいます。
白い花と赤い花が一緒に咲く梅の木を、源平合戦のときに源氏の旗印が白、平氏が赤だったため、「源平咲き」と言うこともあります。

一本の木に紅白の入り混じった梅の花を咲かせる梅の木の中には、人為的に作られたものばかりではなく、自然のいたずらで生まれたものがあります。
赤い花をつける梅の木の、花のうちのいくつかが、何らかの作用で酵素がうまく働かず、赤く色をつくることができずに白くなってしまい、紅白の梅の木になっているものもあります。
突然変異で白い花が紅梅の中に咲き、その後もその枝が成長してつけた花だけがすべて白くなる場合もあります。

品種改良によって生み出された、一本の木に紅白の入り混じった梅の花を咲かせる梅の木に、勝手に色を咲き分けて思うように色をコントロールできなかった「野梅性」の「思いのまま」という品種もあります。

人為的に作られた、一本のに紅白入り混じった梅の花を咲かせる梅の木に仕立てられたものの中に、白梅と紅梅を一本梅の木になるように接ぎ木して、紅白の梅に仕立てたものもあります。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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