伝統的工芸品"熊野筆"のできるまで
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広島県安芸郡熊野町には筆の原材料となるものはありません。
それほど人口が多いわけでもありませんし、交通の要衝ということもありません。
しかしここは古くから筆づくりの町として有名です。
ここではそんな「熊野筆」を紹介していきたいと思います。
それほど人口が多いわけでもありませんし、交通の要衝ということもありません。
しかしここは古くから筆づくりの町として有名です。
ここではそんな「熊野筆」を紹介していきたいと思います。
1、熊野筆の歴史
この地域は山がちの地形で農業用地も十分ではなく、江戸時代には生活が豊かではない農村でした。
そこで人々は農閑期に有名な奈良の筆などを仕入れて転売することで利益を得ていたのです。
そのことから熊野と筆のかかわりが起こったと言われています。
江戸時代も後期になってくると広島藩が領内での芸術、工芸を推奨したために転売先を増加させるとともに、この地で筆づくりを行うようになっていきます。
村の若者たちが筆づくりで有名であった奈良や兵庫の有馬などに筆づくりの修行に出かけたり、この地に筆づくりの職人を招いて技術を学び取っていきました。
そして幕末から明治の世になると全国で学校制度が成立し、筆が大量に必要になっていきます。
それにあわせて熊野ではますます筆づくりが盛んになっていき、書筆だけでなく画筆や化粧筆なども作られるようになっていきました。
昭和50年には当時の通商産業大臣から伝統的工芸品としての認定を受けました。
現在では「筆の都」として有名で、愛知の豊橋筆、奈良の奈良筆、広島の川尻筆と合わせて筆の四大産地として知られています。
熊野筆と川尻筆を合わせると広島は国内の90%のシェアを誇っています。
そこで人々は農閑期に有名な奈良の筆などを仕入れて転売することで利益を得ていたのです。
そのことから熊野と筆のかかわりが起こったと言われています。
江戸時代も後期になってくると広島藩が領内での芸術、工芸を推奨したために転売先を増加させるとともに、この地で筆づくりを行うようになっていきます。
村の若者たちが筆づくりで有名であった奈良や兵庫の有馬などに筆づくりの修行に出かけたり、この地に筆づくりの職人を招いて技術を学び取っていきました。
そして幕末から明治の世になると全国で学校制度が成立し、筆が大量に必要になっていきます。
それにあわせて熊野ではますます筆づくりが盛んになっていき、書筆だけでなく画筆や化粧筆なども作られるようになっていきました。
昭和50年には当時の通商産業大臣から伝統的工芸品としての認定を受けました。
現在では「筆の都」として有名で、愛知の豊橋筆、奈良の奈良筆、広島の川尻筆と合わせて筆の四大産地として知られています。
熊野筆と川尻筆を合わせると広島は国内の90%のシェアを誇っています。
2、熊野筆のできるまで
・選毛
まず筆を作る材料を選んで筆のどの部分に使うかに応じて長さを揃えていきます。
毛を少しずつ手に取って選別していくのですが、適切な素材を選び分けて毛を組めるようになるには数十年の経験が必要になると言われています。
・毛揉み
選別された毛は毛揉みと呼ばれる工程に進みます。
ここでは毛についている脂質や汚れ、ほこり、ゴミなどを取り除いて綺麗にしていきます。
同時に毛の質を揃えていきます。
・毛揃え
毛を一定の長さに揃えたら灰にまぶして十分に熱した「火熄斗」を当てていきます。
これも毛の質や長さ、種類などによって当てる時間を変えなければいけないため非常に熟練した技術が要求されていく作業です。
その後、櫛抜きしながら綿毛などを取り除きつつ毛を揃えていきます。
そのときに良い毛だけを選び抜いていきます。
・寸切り
筆は5つの箇所に分かれています。
その5つの穂先に分けて整える作業を寸切りと言います。
毛先から順番に「命毛」「のど」「肩」「腹」「腰」と名前がついています。
毛先を正確に揃うように整えていきます。
・練り混ぜ
整えてきた毛を水に浸してムラができないようにさらに整えていきます。
逆毛などを取り除きながら長さを揃えつつ櫛を通していきます。
そして布海苔で固めてまとめていきます。
・芯立て
練り混ぜした毛を1本分の量にして筆の形にしていきます。
毛の芯を駒と呼ばれる芯立て筒に通して余分な毛を抜き取りながら筆の形を完成に近づけていきます。
・衣毛巻き
穂首の芯の周りに巻き付ける毛のことを衣毛といいます。
衣毛はもっとも質の良い毛を使い、芯毛に巻き付けていきます。
ムラにならないようバランスよく衣毛を巻くには熟練した技術が必要になります。
そして衣毛を巻いた穂首をじっくりと自然乾燥させて、その根元を麻の糸でくくります。
そして糸の結び目に焼きごてを当てて糸締めを行うと穂首が完成します。
・くり込み
穂首を桜や竹で作られている軸にすえつけていきます。
この工程をくり込みといい、台の上で回転させながら穂首が入りやすいように削っていきます。
・仕上げ
穂首を長く使えるようにするために糊を穂先に含ませて糊固めを行っていきます。
余分な糊は取り除いていき、麻の糸を穂首に巻き付けて糊を搾り取ります。
そして自然乾燥させた筆に工房や作者の銘を刻んで完成です。
これらの工程で熊野筆独特のものが「練り混ぜ」の工程です。
現在でも伝統工芸として行われる練り混ぜ法ですが、かなりの手間と時間と技術が必要となります。
そこで開発されたのが「盆混ぜ法」です。
こちらは乾いた毛を盆と呼ばれる毛揉み箱に入れて混ぜ合わせて練り混ぜを行うという方法です。
大量の混毛が乾いた状態で混ぜ合わせることができるために手間を大幅に省くことに成功し、大量生産を可能としました。
従来の練り混ぜ法の10倍もの生産量を可能としたのです。
まず筆を作る材料を選んで筆のどの部分に使うかに応じて長さを揃えていきます。
毛を少しずつ手に取って選別していくのですが、適切な素材を選び分けて毛を組めるようになるには数十年の経験が必要になると言われています。
・毛揉み
選別された毛は毛揉みと呼ばれる工程に進みます。
ここでは毛についている脂質や汚れ、ほこり、ゴミなどを取り除いて綺麗にしていきます。
同時に毛の質を揃えていきます。
・毛揃え
毛を一定の長さに揃えたら灰にまぶして十分に熱した「火熄斗」を当てていきます。
これも毛の質や長さ、種類などによって当てる時間を変えなければいけないため非常に熟練した技術が要求されていく作業です。
その後、櫛抜きしながら綿毛などを取り除きつつ毛を揃えていきます。
そのときに良い毛だけを選び抜いていきます。
・寸切り
筆は5つの箇所に分かれています。
その5つの穂先に分けて整える作業を寸切りと言います。
毛先から順番に「命毛」「のど」「肩」「腹」「腰」と名前がついています。
毛先を正確に揃うように整えていきます。
・練り混ぜ
整えてきた毛を水に浸してムラができないようにさらに整えていきます。
逆毛などを取り除きながら長さを揃えつつ櫛を通していきます。
そして布海苔で固めてまとめていきます。
・芯立て
練り混ぜした毛を1本分の量にして筆の形にしていきます。
毛の芯を駒と呼ばれる芯立て筒に通して余分な毛を抜き取りながら筆の形を完成に近づけていきます。
・衣毛巻き
穂首の芯の周りに巻き付ける毛のことを衣毛といいます。
衣毛はもっとも質の良い毛を使い、芯毛に巻き付けていきます。
ムラにならないようバランスよく衣毛を巻くには熟練した技術が必要になります。
そして衣毛を巻いた穂首をじっくりと自然乾燥させて、その根元を麻の糸でくくります。
そして糸の結び目に焼きごてを当てて糸締めを行うと穂首が完成します。
・くり込み
穂首を桜や竹で作られている軸にすえつけていきます。
この工程をくり込みといい、台の上で回転させながら穂首が入りやすいように削っていきます。
・仕上げ
穂首を長く使えるようにするために糊を穂先に含ませて糊固めを行っていきます。
余分な糊は取り除いていき、麻の糸を穂首に巻き付けて糊を搾り取ります。
そして自然乾燥させた筆に工房や作者の銘を刻んで完成です。
これらの工程で熊野筆独特のものが「練り混ぜ」の工程です。
現在でも伝統工芸として行われる練り混ぜ法ですが、かなりの手間と時間と技術が必要となります。
そこで開発されたのが「盆混ぜ法」です。
こちらは乾いた毛を盆と呼ばれる毛揉み箱に入れて混ぜ合わせて練り混ぜを行うという方法です。
大量の混毛が乾いた状態で混ぜ合わせることができるために手間を大幅に省くことに成功し、大量生産を可能としました。
従来の練り混ぜ法の10倍もの生産量を可能としたのです。
3、現在の熊野筆
現在では毛筆、画筆、化粧筆などが国内外を問わずに高く評価されています。
筆は毛を扱う部分の機械化が難しく手作業が多くなるために職人が活躍しています。
筆を作る職人を「筆司」と呼び、熊野には約1500人の筆司がいるとされています。
毛筆だけで見ても1日に約5万本の生産量を誇り、国内での消費、海外への輸出が行われています。
現在、伝統工芸士として認定を受けているのは20名ほどですが、熊野筆は技術の習得にかなり長い年月がかかることからも後継者の育成に苦悩していることが問題となっています。
熊野町で筆づくりの中心的な役割を担っているのが「筆の里工房」です。
こちらでは名筆が展示されているほか、交流ラウンジがあったり1500種類もの筆を販売しているセレクトショップがあったりとまさに中心的施設となっています。
筆の里工房
住所:〒731-4293 広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1
電話:082-855-3010
公式HP:http://fude.or.jp/jp/kobo/
筆は毛を扱う部分の機械化が難しく手作業が多くなるために職人が活躍しています。
筆を作る職人を「筆司」と呼び、熊野には約1500人の筆司がいるとされています。
毛筆だけで見ても1日に約5万本の生産量を誇り、国内での消費、海外への輸出が行われています。
現在、伝統工芸士として認定を受けているのは20名ほどですが、熊野筆は技術の習得にかなり長い年月がかかることからも後継者の育成に苦悩していることが問題となっています。
熊野町で筆づくりの中心的な役割を担っているのが「筆の里工房」です。
こちらでは名筆が展示されているほか、交流ラウンジがあったり1500種類もの筆を販売しているセレクトショップがあったりとまさに中心的施設となっています。
筆の里工房
住所:〒731-4293 広島県安芸郡熊野町中溝5-17-1
電話:082-855-3010
公式HP:http://fude.or.jp/jp/kobo/