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干し柿から作る岐阜県の銘菓「柿羊羹」 180余年続く伝統の味に舌鼓

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(写真提供 クレジット:御菓子つちや URL:



「柿羊羹」という和菓子をご存知ですか? 一般的に“羊羹”と言えば小豆を原料とした黒くて濃厚なものが主流ですが、柿羊羹はその名の通り果物の柿を原料として作られる一風変わった羊羹です。今回はこちらの柿羊羹の歴史や魅力に迫っていきたいと思います。

180余年もの歴史を持つ銘菓「柿羊羹」

岐阜県にある老舗和菓子店御菓子つちやの四代目右助という方が、有名な堂上蜂屋柿を羊羹の材料として用いることに成功したことで生まれたのが柿羊羹です。天保九年(1838)に誕生して以来、柿羊羹は今にちに至るまで多くの人に親しまれてきました。

御菓子つちやの柿羊羹は一般的な羊羹と違い、半割竹の容器で販売されています。このような竹の器が用いられるようになったのは、五代目祐斎の代である明治二十九年(1896)からであるということです。当時は竹筒に羊羹を流し込み、食べ終わったあとも一輪挿しなどとして再利用できるようにと、竹に彫刻を施したり漆塗り蒔絵にしたりしていたそうです。しかしそれでは中身の羊羹を取り出しにくく、客の一人が食べづらさに腹を立て石に投げつけたところ、竹筒が真っ二つに割れたことから今の半割竹の容器で提供されるようになったと言われています。

原料に甘みが濃い干し柿を使用

(写真提供 インスタグラムID:mayu.1968)


柿羊羹の原料は干し柿です。もともと岐阜県は古くから柿の名産地としても有名であり、かつて朝廷や幕府に献上されていたことから「堂上蜂屋柿」と呼ばれるようになった、最高品質の干し柿も岐阜県で作られたものです。

御菓子つちやの柿羊羹は10日ほど天日干しした干し柿の種を除き、ジャム状にしてから寒天と砂糖を煮詰めたものを混ぜ合わせて作られます。原料に干し柿を使うのは干し柿の方が甘みが強く、繊維が少ないからなのだとか。そもそも生の柿はタンニンが強く、変色も早いため和菓子に使われることはほぼありません。さらに生のままだと十分な甘みも出ないため、羊羹に利用することも難しいのだそうです。

御菓子つちやでは柿羊羹以外にも、ゼリー風の「のし柿」や堂上蜂屋柿のジャムをアールグレイ風味のクッキーで包んだ「柿ごころ」といった柿を使ったお菓子も販売しています。どれも柿の風味を口いっぱいに楽しめるお菓子となっています。さらに冬には新しい柿羊羹も発売するとのことですので、ぜひ一度ご賞味ください。

柿羊羹はバリエーションもいろいろ

(写真提供 クレジット:みのかも金蝶堂  インスタグラムID:minokamo.kinchodo URL:



御菓子つちや以外のお店でも柿羊羹は販売されています。同じく岐阜県の老舗和菓子店である「みのかも金蝶堂」では、堂上蜂屋柿をミンチにして羊羹に練りこんだひと口大の柿羊羹を販売しています。岐阜県へ立ち寄った際は、ぜひ人気の銘菓である柿羊羹をお手に取ってみてください。

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