仏像

【前編】意外と個性あるんです。持ち物、乗り物などの観点で見る仏様

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スマホというもの、勿論会社によって色々と違う所もあるんでしょうが、分からない人には分かりません。プラン、機能、サービスその他諸々。スマホに限らず、あらゆる分野において、専門家或いは好きでのめり込む人でない限り分かり得ないものは存在します。仏像の世界の同じ。「いくらか種類がある」「如来が悟った仏様」「じゃらじゃら装飾品がないのが如来だよね?」といったところでしょうか。しかし細かい特徴があったりするものです。ある仏様はなにがしかの動物に乗り、ある仏様は武器を持ち・・・数えだしたら枚挙にいとまがありません。そんな「細かい特徴」に焦点を当ててみたいと思います。

着衣

まずは服装。単に「布を巻いた」だけのものではないのです。如来、菩薩、そして明王は皆下半身に裳(も)、あるいは裙(くん)という、巻きスカートのようなものを付けているのが特徴。上に何を着ているのかはそれぞれの位によって異なります。簡素な衣装で知られる如来は大衣(だいえ)呼ばれる布を着用。
これは「納衣(のうえ)、糞掃衣(ころも)」とも呼ばれるもので、袈裟の原型とされます。着方としては左肩を多い右肩を出した形で巻き付ける「偏袒右肩(へんだんうけん)」、両方の肩を覆う「通肩(つうけん)」が存在。日本の如来像は偏袒右肩型が多い模様です。ちょっと右肩にかかっている場合もこれに含まれます。「王族時代のお釈迦様がモデルなため、色々持っている、着けている」感のある菩薩の場合は左肩から右わき腹にかけ割りと幅の狭い条帛(じょうはく)という布を巻き、天衣(てんね)という羽衣のようなものを付けていることが特徴です。
明王は、上半身はほぼ裸に思われますが、条帛を着用。とはいえ、戦うこともあるためか如来や菩薩のようにゆったりしたスタイルではなく、いつでも動ける、戦える臨戦態勢の印象。たくましい様相の為か、条帛も申し訳程度に見えます。天部はと言えば、大半が甲冑姿。中には貴人スタイル、女性のような服装の仏像も見受けられます。まとめれば、「如来、菩薩、明王は下半身が裳、上半身は如来大きめでゆったりした布を着け、菩薩、明王が比較的細目の布を巻く。武装か貴人風のスタイルなら天部、と言ったところです。

頭部

位によって頭部も違います。

如来:髪型は螺髪。いわゆるパンチパーマのような髪型。実際には一本一本を巻いたものです。頭部が二段階になっているように見えますが、上のものは「肉髻」と呼ばれる「こぶ」。

菩薩:実は結構髪が長いようで、結い上げてるんです。「宝髻」という髪型に、頭部の職食品を付けたのが菩薩です。

明王:不動明王のみ辮髪にして一方に垂らしていますが、他は焔髪(えんぱつ)という逆立った髪型です。

位だけでなく、時代によっても仏像の目というものは変化してきたようです。

杏仁形:アーモンド形の目。うわ瞼とした瞼がほぼ同じ曲線を描くことからこの名前がついたそうです。飛鳥時代後半になると日と絵だった瞼が二重になります。仏像も二重ブームの時期があったんです。

怨霊調伏:平安時代の初期のもの。音量を調伏しているため、表情としては厳しめ。

入定相:平安時代の後期頃の表情。瞑想中の表情です。

忿怒相:明王や一部の点に見られる、「怒り」の表情です。飽くまで怒りの対象は仏敵ですのでご安心を。時代としては平安前期。

天地眼:平安時代後期のもの。忿怒相の一種とされますが、左右の目を違った大きさで開いているのが特徴。こっちの方が逆に怖いですね。

玉眼:平安時代末期、奈良仏師により確立。仏像の眼窩と抑えぎの間に水晶の瞳を入れることで、何となく仏像の表情にも現実味が帯びて見えます。

光背・頭光編

「光背」にも種類がありました。元々光背とはお釈迦様が悟りを開かれた際御身が金色に光り輝いたと言う説話が元になっています。大きく分けて頭部が光っているように見える頭光(ずこう)、全身が光って見える挙身光があります。

円光:単なる円状の板で表したもの。基本形で、日本のみならず初期の像に多いとされます。

輪光:円形の中に輪のような彫刻を施したもの。地蔵菩薩の光背としてよく使われます。

宝珠光:「ほうしゅこう」と読みます。飛鳥時代、菩薩像によく使われた形。てっぺんがとがっているのが特徴です。

放射光:放射状に光の筋を現したもの。漫画などでも使われる集中線を思わせる光背です。「後光」とはこれを指します。

光背・挙身光編

舟形光:元は蓮華の花びらですが、船に見えると言うことでこの名前になったそうです。如来、菩薩像の光背。

二重円光:頭部と身体部分を合わせた後輩。平安時代以降はこの光背が主流となった模様。主に如来像に使われます。

飛天光:二重円光の周りに、空を舞う天女を配したもの。平安時代以降如来像に多く使われました。天女ではなく化仏(小さな仏像)を配した光背は千仏光という別の名称で呼ばれます。

火焔光:明王や天が背中にしょっている炎ですね。これも光背です。ただの火ではなく、煩悩を焼くための清浄な炎です。

壬生光背:もはや単なる光背、後光の粋ではなく装飾品と言っても過言ではない見事なものです。背中に当たる部分に椅子のような壁のようなものを作り、円光と放射光を足したような豪勢な光背。「壬生」と名がついているのは、壬生寺の地蔵菩薩が始まりだから。
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