枝分かれは宗教の常?派生する真言宗
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十人十色と人は言います。人の数だけ考えがあり、好みがあって当然、見解、解釈の違いがあって当然です。
そして、宗教という物は、必ず枝分かれしていくものなの。日本の仏教宗派、真言宗もまた、枝分かれした宗教の一つです。元は仏教というより密教。仏教との違いは、トップが大日如来であること、曼荼羅が存在していることくらいでしょうか。
そして、宗教という物は、必ず枝分かれしていくものなの。日本の仏教宗派、真言宗もまた、枝分かれした宗教の一つです。元は仏教というより密教。仏教との違いは、トップが大日如来であること、曼荼羅が存在していることくらいでしょうか。
そもそも密教、曼荼羅とは
「言葉じゃ言い表せません」というのが密教。その割に経文があったり真言なんていう呪文があったりしますが、「百聞は一見に如かず」もしくは「感じろ!見ろ!」とばかりに、仏の世界を分かりやすく資格化。これが曼荼羅です。
「仏様がずらずら規則正しく座ってるだけじゃん」とお思いかもしれませんが、これが宇宙の真理、世界の本質を突き詰めた姿なんです。
「仏様がずらずら規則正しく座ってるだけじゃん」とお思いかもしれませんが、これが宇宙の真理、世界の本質を突き詰めた姿なんです。
金剛界と胎蔵界
また分裂した感がありますが、胎蔵界というのは大日如来の側面を、理(ことわり、真理)もしくは慈悲という点でとらえたもの。字面から連想されるように、全てを含む、包み込むとも言われており、蓮華に象徴されます。浪漫ですね。曼荼羅では各区切りを「院」と称します。
金剛界は大日如来の側面の、智慧の部分を表したもの。金剛、つまりダイヤモンドのごとく硬い名を与えられているのは、それだけ大日如来の放つ知恵の光が尊く、あらゆる煩悩を打ち砕くとされるためです。
金剛界は大日如来の側面の、智慧の部分を表したもの。金剛、つまりダイヤモンドのごとく硬い名を与えられているのは、それだけ大日如来の放つ知恵の光が尊く、あらゆる煩悩を打ち砕くとされるためです。
基本の真言宗
またの名を真言密教。「色々宗派あるけど、他のは真言密教に至るまでの途中段階ね」とします。
生きたまま悟りを得る即身成仏が目的。その為にはまず「あ、俺仏と同じじゃん」との考えに至らなくてはなりません。思い込み、妄想ではなく実感するのが大事なんです。
妄想だけなら、そりゃあだって神仏になれますが、真に悟らないと駄目。一方、政治的な混乱の合った時代柄、護国鎮護の性格もあったようです。嵯峨天皇の信頼を受け、空海は高野山に寺を建てることが許されました。
生きたまま悟りを得る即身成仏が目的。その為にはまず「あ、俺仏と同じじゃん」との考えに至らなくてはなりません。思い込み、妄想ではなく実感するのが大事なんです。
妄想だけなら、そりゃあだって神仏になれますが、真に悟らないと駄目。一方、政治的な混乱の合った時代柄、護国鎮護の性格もあったようです。嵯峨天皇の信頼を受け、空海は高野山に寺を建てることが許されました。
空海について
インドで生まれたこの密教を唐で学び、より洗練させたのが開祖空海。
幼少期より神童とされていたので大学に進みますが、他の学生たちとは違い役人ではなく仏門に入ります。神秘的体験や唐への留学などを経て密教を習得。日本での布教に勤めました。「弘法筆を選ばず」などの言葉が残るように、文筆に秀でた人物でもあったようです。唐では密教だけでなくゾロアスター教やイスラム教など、意外な宗教まで勉強しました。
幼少期より神童とされていたので大学に進みますが、他の学生たちとは違い役人ではなく仏門に入ります。神秘的体験や唐への留学などを経て密教を習得。日本での布教に勤めました。「弘法筆を選ばず」などの言葉が残るように、文筆に秀でた人物でもあったようです。唐では密教だけでなくゾロアスター教やイスラム教など、意外な宗教まで勉強しました。
真言八祖
空海は唐において恵果という僧侶に師事。ここで、真言八祖と呼ばれる、いわば跡継ぎに選ばれました。と言って「ずっと唐にいてね」というものではありません。各人を記すと以下の通りになります。
【龍猛菩薩】
大日如来の直弟子、から密教の経典を授かったとされる人物。この辺は最初の方なので「盛ってる」感がありますね。
【龍智菩薩】
龍猛菩薩の弟子。二人の弟子のうち、こちらが密教を授かり、もう片方が顕教、分かりやすい方の武卿を授かったとされます。差別じゃありませんよ。
【金剛智三蔵】
インドで修行し、唐へ密教を伝えた人物。
【不空三蔵】
金剛智三蔵の持ちかえった経文を唐の言葉に訳した人物。かなりの名僧だったようで、空海は子供時代から優秀だったなどの伝承から、この人の生まれ変わり、と後々この人の命日を誕生日にされました。いつの時代もあるんですね、こういうコジツケ。
【善無畏三蔵】
インドのご出身。貴族の生まれで神童の誉れ高かったそうです。密教だけでなく顕教も研究、80歳になってから唐に渡った、チャレンジャーな坊様です。
【一行阿闍梨】
善無畏の弟子。後述筆記により、経文の一つを完成させます。
【恵果阿闍梨】
密教にある胎蔵界、金剛界という考え。これは唐に渡った時期が違うため、「最初の方しかないじゃん!」といった事態にもなっていた模様。そんな二つの密教をひとまとめにしたのが、この人。両界曼荼羅、もしくは両部曼荼羅と呼ばれます。空海の師匠です。
彼ら皆、第一祖、二外呼ばれる中国密教の伝承者。これに、日本から来た空海が加えられて、第八祖となったんですね。それだけ、人として優れていた上、「盛ってない?」と思われるような伝承もあります。
【龍猛菩薩】
大日如来の直弟子、から密教の経典を授かったとされる人物。この辺は最初の方なので「盛ってる」感がありますね。
【龍智菩薩】
龍猛菩薩の弟子。二人の弟子のうち、こちらが密教を授かり、もう片方が顕教、分かりやすい方の武卿を授かったとされます。差別じゃありませんよ。
【金剛智三蔵】
インドで修行し、唐へ密教を伝えた人物。
【不空三蔵】
金剛智三蔵の持ちかえった経文を唐の言葉に訳した人物。かなりの名僧だったようで、空海は子供時代から優秀だったなどの伝承から、この人の生まれ変わり、と後々この人の命日を誕生日にされました。いつの時代もあるんですね、こういうコジツケ。
【善無畏三蔵】
インドのご出身。貴族の生まれで神童の誉れ高かったそうです。密教だけでなく顕教も研究、80歳になってから唐に渡った、チャレンジャーな坊様です。
【一行阿闍梨】
善無畏の弟子。後述筆記により、経文の一つを完成させます。
【恵果阿闍梨】
密教にある胎蔵界、金剛界という考え。これは唐に渡った時期が違うため、「最初の方しかないじゃん!」といった事態にもなっていた模様。そんな二つの密教をひとまとめにしたのが、この人。両界曼荼羅、もしくは両部曼荼羅と呼ばれます。空海の師匠です。
彼ら皆、第一祖、二外呼ばれる中国密教の伝承者。これに、日本から来た空海が加えられて、第八祖となったんですね。それだけ、人として優れていた上、「盛ってない?」と思われるような伝承もあります。
割と重要、事相と教相
真言密教における重要な要素が事相、教相です。事相というのは灌頂(密教僧になる為の儀式、キリスト教で言う洗礼のような物)、護摩、真言の詠唱といった実践修行を示し、教相とは理論を示します。体育か教室で行う授業かの違いにも似ていますね。
枝分かれする真言宗。野沢十二流
お釈迦様の遺した仏教がインドで大乗仏教、上部座仏教に分かれたように、真言宗もまた空海の死後枝分かれしました。野沢(やたく)十二流とは、小野流六派、広沢流六派を合わせた物。密教の規律、規則を重視するのが広沢流で、経典ではなく口伝により伝えるのを重んじた小野流というのが大まかな選別。
更に分裂、古義、新義
鎌倉時代辺りになると、更にぱっかり分かれます。それが古義と新義。
古義というのは、「念仏を唱えることで、大日如来様がおいでになり、説法をしてくれる」というもの。新義は、念仏に三密加地という修行法を加えることで大日如来の説法を受けられる、と言った内容です。三密加地とは、口で真言を唱え、手で印を結び、心に大日如来を描くという物。このように枝分かれしていったわけですが、多くが空海の弟子によるもの。
彼らは派祖と呼ばれます。ついでにいうと大きな協議の違いはなく、統一こそできませんでしたが、今も真言宗仲間として協力することもあるようです。「元は同じだから」と何だか穏やかな感じがいかにも仏教風ですね。
古義というのは、「念仏を唱えることで、大日如来様がおいでになり、説法をしてくれる」というもの。新義は、念仏に三密加地という修行法を加えることで大日如来の説法を受けられる、と言った内容です。三密加地とは、口で真言を唱え、手で印を結び、心に大日如来を描くという物。このように枝分かれしていったわけですが、多くが空海の弟子によるもの。
彼らは派祖と呼ばれます。ついでにいうと大きな協議の違いはなく、統一こそできませんでしたが、今も真言宗仲間として協力することもあるようです。「元は同じだから」と何だか穏やかな感じがいかにも仏教風ですね。
大真言宗
第二次大戦中、「元は一つの宗派なんだし、一緒にしない?」と古義、新義が合体。大真言宗が生まれますが、結局は枝分かれになっています。
すでにインドの段階で、胎蔵界、金剛界と分かれているようです。これが日本に入ったらどう発展するのか?後半では、真言宗と関わり深い、通称十八山をご紹介いたします。
監修:えどのゆうき
日光山輪王寺の三仏堂、三十三間堂などであまたの仏像に圧倒、魅了されました。寺社仏閣は、最も身近な異界です。神仏神秘の世界が私を含め、人を惹きつけるのかもしれません。
すでにインドの段階で、胎蔵界、金剛界と分かれているようです。これが日本に入ったらどう発展するのか?後半では、真言宗と関わり深い、通称十八山をご紹介いたします。
監修:えどのゆうき
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