今に伝わる江戸の味「どせう鍋」は「どじょうなべ」と読む
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夏といえばウナギ! 夏バテ対策として昔から重宝されてきましたが、高いし、数も減ってるし、最近はなかなか手が出しづらい食べ物になっています。
ウナギを愛した江戸の人たちにとっても、状況は似ていました。そんな彼らが代わりに食べたいたのが、ドジョウです。ウナギと比べて安価で手に入りやすく、庶民にとっては夏といえばドジョウでした。
今に受け継がれるドジョウ料理の代表がどぜう鍋です。表記が独特だったり種類があったりと、意外に奥深い伝統があるどぜう鍋について、詳しくご紹介します。
ウナギを愛した江戸の人たちにとっても、状況は似ていました。そんな彼らが代わりに食べたいたのが、ドジョウです。ウナギと比べて安価で手に入りやすく、庶民にとっては夏といえばドジョウでした。
今に受け継がれるドジョウ料理の代表がどぜう鍋です。表記が独特だったり種類があったりと、意外に奥深い伝統があるどぜう鍋について、詳しくご紹介します。
「どぜう鍋」と書く由来
「どじょう鍋」ではなく「どぜう鍋」と書くのが定番ですが、旧仮名遣いでどじょうは「どじやう」か「どぢやう」と書きます。「どぜう」という表記になったのは、江戸ならではの理由がありました。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われる通り、住宅が密集していた江戸は火事の多い町でした。初めてどじょう鍋を出したとされる店「駒形どぜう」も、創業5年後の文化3(1806)年に類焼に遭いました。
火が収まってから、店主の越後屋助七は考えました。「どじやう(どぢやう)」という四文字は「死」につながって縁起が悪い。ならば、音も似ている「どぜう」という3文字で書くことで、店を守ろう。面積の小さいのれんに書くには、字数が少ない方が都合が良いという面もあったようです。
「どぜう鍋」という表記が誕生すると、料理ともども江戸の町に少しずつ広まっていきます。こうしてどぜう鍋は、幕末頃には江戸の定番となりました。
「火事と喧嘩は江戸の華」と言われる通り、住宅が密集していた江戸は火事の多い町でした。初めてどじょう鍋を出したとされる店「駒形どぜう」も、創業5年後の文化3(1806)年に類焼に遭いました。
火が収まってから、店主の越後屋助七は考えました。「どじやう(どぢやう)」という四文字は「死」につながって縁起が悪い。ならば、音も似ている「どぜう」という3文字で書くことで、店を守ろう。面積の小さいのれんに書くには、字数が少ない方が都合が良いという面もあったようです。
「どぜう鍋」という表記が誕生すると、料理ともども江戸の町に少しずつ広まっていきます。こうしてどぜう鍋は、幕末頃には江戸の定番となりました。
どぜう鍋は大きく分けて3種類
どぜう鍋とはどんな料理なのでしょう。一口にどぜう鍋と言っても、調理法で大きく3種類に分かれます。それぞれの特徴をご紹介します。
丸鍋
ドジョウをそのまま煮る鍋が丸鍋で、「丸ごと」「丸々」が由来のようです。どぜう鍋と言えば基本的にはこの丸鍋を差します。
見た目はかなり豪快ですが、元々ドジョウはウナギより脂が少なく淡白な味。さらにそれを酒に漬けて、味噌汁で煮て、さらにタレで煮込んで……と、手間暇をかけて作られ、臭みもなくあっさりした味わいです。一緒に煮込むたっぷりのネギが消化を助け、まさに夏にふさわしい料理です。
見た目はかなり豪快ですが、元々ドジョウはウナギより脂が少なく淡白な味。さらにそれを酒に漬けて、味噌汁で煮て、さらにタレで煮込んで……と、手間暇をかけて作られ、臭みもなくあっさりした味わいです。一緒に煮込むたっぷりのネギが消化を助け、まさに夏にふさわしい料理です。
抜き鍋
錦糸状のフカヒレがスープに入ったものや、フカヒレの姿煮が丸ごと具に使われたものが、フカヒレラーメンの主流。チンゲン菜などの限られた具材のみを使用することで、フカヒレの味と存在感がより際立ちます。
柳川鍋
白石市にある本格中華のお店「東天閣」は1971年に創業されました。開放的で落ち着いた店内では、ゆっくりとワインを飲みながら伝統の中華料理が楽しめます。
人気のどぜう鍋店を3軒ご紹介
どぜう鍋が食べられるお店は、現在も浅草を中心に点在しています。その中でも有名なお店を3軒、ご紹介します。
どせう鍋
画像出典:駒形どぜう
駒形どぜう
初めて丸鍋を店に出し、「どぜう」という表記を考案した駒形どぜうは、なんと現在も営業中です。創業以来の調理法を今に受け継いでいる、どぜう鍋の生きる歴史と言えるお店です。
浅草本店の1階は入れ込み座敷で、江戸時代の雰囲気そのままにどぜう鍋を堪能できます。椅子席を希望する場合は地下階や2階、渋谷店がおすすめです。
どせう鍋
どぜう 飯田屋
明治36年創業の老舗で、椅子席と18席ほどの入れ込み席があります。浅草に店を構えていて、寄席帰りの人が多く足を運んでいます。
天然物のドジョウを厳選して使っているのが飯田屋の特徴。お好みで七味や山椒、また別注文になりますがゴボウや豆腐を入れると違う味が楽しめます。
明治36年創業の老舗で、椅子席と18席ほどの入れ込み席があります。浅草に店を構えていて、寄席帰りの人が多く足を運んでいます。
天然物のドジョウを厳選して使っているのが飯田屋の特徴。お好みで七味や山椒、また別注文になりますがゴボウや豆腐を入れると違う味が楽しめます。
どせう鍋
画像出典:どぜう ひら井
どぜう ひら井
飯田屋と同じく明治36年創業のお店です。お寿司屋さんのようなカウンター席と座敷席からなるお店で、どことなく高級感が漂うきれいな内装です。
甘みを抑えたタレでドジョウの味を活かしているのがひら井のどぜう鍋です。さっぱりした味は根強いファンを集めています。
夏にふさわしいどぜう鍋、一度食べてみて!
ドジョウは漢字で泥鰌。そのせいか、どぜう鍋は現在では「泥臭い料理なのでは?」と敬遠されがちですが、まったくそんなことはありません。ぜひ一度、伝統を受け継ぐお店で江戸の歴史と共にご賞味ください。
また、土用の丑の日はウナギが定番ですが、本来は「う」のつく食べ物なら何でもありでした。どぜう鍋も「う」がつく料理。選択肢の一つに加えてみるのも良さそうです。