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江戸の流行と成田の風土が生んだ名物「成田鰻」の歴史と今

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千葉県の成田山新勝寺。江戸時代には成田参詣が流行し、現在も多くの参詣者で賑わう関東有数の有名寺院です。毎年正月の参詣者数は300万人を超え、明治神宮に次ぐ全国第2位となっています。

人気寺社のあるところ、門前町あり。成田山の参道にはかつて旅籠や食事処が軒を連ね、その面影を今も色濃く残しています。特に多いのが、鰻を取り扱った料理店。参道沿いの店舗の実に3分の1が鰻料理を提供しているという、全国でも珍しい鰻の街が成田なのです。

成田で鰻が名物になったのは、参道と同じく江戸時代からの歴史がありました。その歴史は今に受け継がれ、さらに新しい食文化を育んでいます。そんな成田鰻の歴史と今をご紹介します。

万葉時代から鰻を食べた日本人

そもそも日本人はいつから鰻を食べるようになったのでしょうか。記録を紐解くと、日本最古の歌集『万葉集』に、鰻を食べることが歌われていました。

痩人(やせひと)をあざける歌二首
石麻呂に 吾もの申す 夏痩せに よしといふ物ぞ むなぎ取り食せ
痩す痩すも 生けらば在らむを はたやはた むなぎを捕ると 川に流るな

現代語訳:
痩せた人をからかう歌2首
「石麻呂、言わせてもらう。夏痩せに良いらしいから、鰻を食べなさい」
「痩せていても、生きてるから良いか。その体だと、鰻を獲ろうと川に入っても流されて死んでしまいそうだ。やめておきなさい」

現代でも夏の土用の丑の日は鰻が持て囃されますが、夏バテ対策に鰻が良いというのは日本有史以来から知られていたようです。

鰻の古語「むなぎ」の語源は諸説あり

『万葉集』の歌からもわかる通り、鰻は「むなぎ」と言われていました。語源は胸が黄色いこと、細長い姿が棟木に似ていること、身が長いことなど様々な説が唱えられています。また、「なぎ」は蛇など細長い生き物をさし、アナゴやイカナゴの「ナゴ」と同じ由来とも。

現在と同じ「うなぎ」という呼び方が定着したのは、12世紀の院政期頃のようです。

成田鰻の始まりは江戸の成田詣りブーム

成田で鰻が名物になったのは、江戸時代のこと。鰻の養殖が盛んになる前からの、長い歴史があります。

秘宝が頻繁に江戸で出張公開されたこと、人気歌舞伎役者だった市川團十郎が帰依して「成田屋」の屋号を用いたことから、江戸の人たちの間で成田参詣が大流行します。

多くの参詣者をもてなすために、成田山の参道沿いには旅籠や料理店が立ち並んで門前町を形成しました。特に得意としたのが、川魚料理。成田は利根川や印旛沼など水資源の豊富な土地で、川魚が豊富に獲れたのです。

江戸の鰻人気と成田の水が成田鰻を生んだ

川魚全般を扱っていた各店は、次第に鰻に的を絞り現在の成田鰻に繋がります。その変化も、江戸から訪れる参詣者に応えてのことでした。元々江戸では鰻がよく獲れ、「江戸前」と言えば鰻をさしたほど身近な食べ物だったのです。

さらに平賀源内が「土用の丑の日には鰻を」という宣伝文句を考案すると、これが大当たり。江戸の鰻人気はさらに高まります。ならばと成田山参道沿いの店も多くが鰻料理に力を入れていきました。利根川や印旛沼では天然鰻が獲れたことも、鰻特化の推進力となったようです。

参道は今も成田鰻の名店が勢揃い

画像出典:成田市観光協会


江戸時代から需要に応える形で発展した鰻の街・成田。現在も成田山参道沿いには、多くの鰻店が立ち並んでいます。中には江戸時代創業のお店や、旅籠だった当時の建物をそのまま使ったお店もあります。

熟練の職人が選んだ良質かつ新鮮な鰻に、創業当時からの秘伝のタレを使って調理する。こだわり抜かれた歴史の味を堪能できるだけでも贅沢の極みと言えます。さらにそれを、歴史ある門前町の、当時そのままの建物で食べれば、今に伝わる成田の歴史を五感で楽しめることでしょう。

7~8月はうなぎ祭が開催

成田鰻は伝統が守られるるだけではなく、新しい鰻料理も次々と考案されています。そんな時代の変化を感じられるのが、毎年7月中旬から8月中旬にかけて開催される「うなぎ祭」です。開催中は、鰻を使ったフランス料理をはじめ、鰻ピザや鰻アイスクリーム、鰻チーズケーキなど、一風変わった新作鰻料理が売り出されます。

江戸っ子がこぞって足を運んだ成田山に詣でながら、万葉時代から日本人が愛した夏の鰻に舌鼓を打つ。その傍らで、現代でしか味わえない鰻の味を食べ比べする。鰻と成田の歴史と今をまとめて楽しめるお祭りになっています。

駿河屋

画像出典:駿河屋


1790年代後半に旅籠屋として商いを始めたという駿河屋。さまざまな歴史ののち中食屋へと商いが変わりました。
代々受け継がれた「秘伝のたれ」からも老舗の風格と成田鰻の伝統が感じられますね。
丁寧に長州備長炭で焼いた鰻は、ジューシーで香ばしくふっくらとしています。

駿河屋は、新勝寺の釈迦堂の祭壇両脇に置かれている銅製の壺に、北魚河岸講の常宿として名前が刻まれています。
成田うなぎ祭りには駿河屋も参加していますので、伝統の味を堪能しにぜひ歩を向けてみてください。

駿河屋
【所在地】
千葉県成田市仲町359
【営業時間】
10:00~17:00
【定休日】
木曜日
【電話番号】
0476-22-1133
【アクセス】
JR成田線 成田駅/京成本線 京成成田駅から徒歩13分
成田山新勝寺総門脇

自然と人が生み出した成田鰻文化の今後は?

外部の文化と信仰、地元の努力と風土によって生み出された名物、成田鰻。その輝きは今なお褪せることなく、年々新しい魅力を生み出しています。

今はまだ物珍しいメニューも、数十年後には成田の定番商品になっているかもしれません。新しいものが伝統になる過程を見届けられるのは、現代に生きる私たちの最大の特権と言えそうです。

千葉県成田には鰻店が多くしかも美味しい!

千葉県成田市でお昼ご飯を食べよう!となると鰻店が多く、至る所にうなぎの看板を目にします。
特に成田表参道では鰻を出す旅館・料理店がなんと60件ほどもあり、美味しさを競い合っています。
成田鰻と言われるほど有名でとても美味しいお店が鰻の産地ではないのにあるのはなぜなのかというと昔からこの地域の有名な印旛沼では鯉や川魚の他、沢山の鰻が釣れたそうです。
そのため、新勝寺で成田詣などに訪れる参拝者を心からもてなそうと鰻のお店が増えて行ったのだとか。
長旅の疲れを落とし、元気になってもらおうという願いで増えていったお店は今でも数多く残っており、多くのお客様を美味しい笑顔にしています。
どの店舗も秘伝のタレがあり、お店の宝物。
香ばしく焼いた鰻と秘伝のタレの美味しさはまさに絶品です。
お店によっては鰻をさばいて、蒸して焼く過程をライブ中継のように楽しめるお店も。
また、鰻だけではなく米やお水にもこだわり、香の物などもすべて手作りという素材にとことんこだわったお店もあります。
鰻を堪能する際は鰻の美味しさだけでなく、ごはんの美味しさ、他ではなかなか食べられ梨肝吸いや肝焼きも是非じっくりと味わってみてください。

成田では夏の土用の丑の日に合わせ、鰻祭りがおよそ1カ月間あります。
スタンプラリーをすればデザートなどが食べられるスタンプなどもあり、様々な商品をもらえるチャンスがあります。

鰻祭りの時や成田表参道は鰻だけではなく、様々なお土産やグルメも売られています。
鰻だけでなく、鉄砲漬けや今川焼やジェラート、コッペパンや焼き団子、地酒や焼き立ての串せんべいやさつま揚げ、焼きそばなど食べ歩きグルメも充実しています。
中には変わった食べ物があり成田名物鰻のかば焼きの入ったパンなどを売っているお店も。
見どころも沢山あるので大いに楽しむことができます。

成田参道には美味しいウナギ屋さんが軒を連ねていますが、お店を選ぶ際はネットなどであらかじめお店をチェックしておくと安心。
混雑する時は整理券をもらい、入店待ちをするお店も沢山あるので人気店をチェックしておき、もしも食べられない時の為にいくつか他のお店もチェックしておくと安心です。
また、鰻は特上、上、並があり、価格もかなりの差があります。
その時のお腹の状態や気分で食べたい価格が変わります。
また、鰻以外の他のグルメもたっぷりと堪能したい。お土産も買いたいという場合にはちょっぴり余裕を持ってお財布を膨らませていきましょう。
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