景勝地

日本三名園よりも高評価?栗林公園

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 栗林公園は紫雲山東麓にある国指定特別名勝の庭園です。日本の庭園と言えば、日本三名園が有名です。水戸偕楽園、金沢兼六園、岡山後楽園の3つですが、明治時代の高等小学読本には「栗林公園はこの3つに優っている」という表記があります。これほど評価をうけている庭園なのです。現在でもフランスの評価大手ミシュランの旅行ガイドブックでも最高評価である★3つを得ています。また、2011年の日本庭園ランキングでも足立美術館、桂離宮に次ぐ第三位となっています。

 「栗林公園」という名前がついてはいますが、庭園は造られた当初から「松」がメインとなっています。元々は栗の木が群生していたという説や、中国ではいろいろな樹木が植えられていることを「栗林」というから、などという説があります。イメージキャラクターのマスコットは公募で名前が決まった「りんちゃん」です。

 ちなみに栗の木はかつては群鴨池をとりまいて繁茂していたものを、松平氏10代の頼胤がカモ猟の邪魔になるからと伐ってしまったと言われています。

 約75万平方メートルの広大な園内は池泉回遊式大名庭園の南庭と、西洋風に改修された北庭に分かれています。南庭は讃岐藩主、生駒家の別荘だったところを1642年(寛永19年)に初代高松藩主の松平頼重が庭園整備に着手したところから始まります。松平家5代、100年の歳月を費やして完成しました。後の廃藩置県のときに政府の管轄下におかれ、その後、県立公園に指定されました。そして戦後に特別名勝に指定されることになります。

 紫雲山を借景に6つの池と13の築山で構成されており、松や泉、石組みを巧みに配置し、四季折々に風情のある表情を見せます。その見事さは一歩あるくごとに景色が変わる「一歩一景」と評されています。また、南湖では、観光用の和船である「千秋丸」が配備されていて、舟遊びを体験することができます。(入園料とは別に乗船料が必要)

 春は梅と桜、夏は新緑やハス、冬は椿などが鮮やかに彩っています。晩秋から初冬にかけての紅葉が美しく、園内南側の南湖の園路沿いに「楓岸」と呼ばれる場所があります。華麗にあやなす赤や黄色の自然のグラデーションは一見の価値があります。

 春の桜としては、330本のソメイヨシノをはじめ、ヒガンザクラ、ヤマザクラ、チトザクラなどが咲きます。高松地方気象台が開花予想に使う標本木もここにあります。

 また、一番多く植えられている松ですが、この庭園の松は鑑賞ポイントとして有名な「一に肌(幹の模様のこと)、二に振り(枝ぶりのこと)、三に姿(樹形)」を感じることができるようになっています。特に、亀を連想される石組みの上に鶴が羽を広げて舞っているような形の「鶴亀松」は栗林公園でも随一の美しさと評されています。そして江戸時代に徳川将軍から拝領した盆栽が高さ8mを超えるまでになったといわれる「根上り五葉松」、箱の形をとっていて連続する造形美が有名な「箱松」の「栗林公園の三大松」は必見の美しさです。また、外国からの来賓や、皇族がお手植えした松も多くあるのが特徴です。

その他、池の畔の掬月亭、池をまたぐ偃月橋からの眺めが素晴らしいものです。めた、名木も多く、茶亭日暮亭のかたわらにそびえるモガシは、1748年(寛延元年)に平賀源内が紀州から移植したものと言われています。ソテツの岡は掬月亭の前の丘の部分には樹齢200年を超えるソテツが30数株が茂り合い、公園の見どころになっています。そのうち最大の一本は幹回り1.3m、高さ5.5mに達しています。江戸時代の前期、薩摩藩主の島津氏が造園の時に寄進したのが繁茂したものと言われています。

 根上がりガシは迎春橋の東方にあります。高さ8mで地上2m余りまで根が露出していて非常に珍しい樹形をしています。

 現在園内には数件の茶店と商工奨励館、讃岐民芸館などがあってにぎわっています。
讃岐民芸館は栗林公園内にあり、建物は古民芸館と新民芸館、家具館の三つに分かれ、讃岐地方に古くから伝わる民芸品を中心に広く全国から集められた約4000点余りの民芸、民俗資料が収蔵されています。

 主な展示品はワラで作った讃岐円座、一閑張りのうちわ、香西の赤土瓶、むかでだこ、竹細工、観音寺の各種焼印などがあります。

 商工奨励館は明治の雰囲気を色濃く残す建物です。

栗林公園が1889年(明治32)年に県立公園として一般公開されることを機に建てられた建物で、その頃は「香川県博物館」という名称でした。日本の古風な建築様式をベースにしながらも西洋建築の流れも汲んでいるのが特徴的な建物です。

 1938年(昭和13年)年には現在の「商工奨励館」という名称になりました。

本館、北館、西館からなっていて、本館では世界的な家具デザイナーの作品である家具が展示されています。

 北館は飲食ができる空間になっており、ここで結婚披露宴やパーティーなどを行うことができるようになっています。北側のガラス戸を開ければ、隣接する芝生広場と連結して、ガーデンパーティーを行うことができます。

 西館では最近、「ガーデンカフェ栗林」がオープンしました。地元の食材を使って本格的なイタリア料理を楽しむことができます。
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