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エジプトのアブシンベル、造ったのもすごいけど、移築したのもすごい!年2回像を照らす日の光

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エジプトの歴史に名を刻む「最強のファラオ」ラムセス2世。彼が建造したアブシンベル神殿は、エジプト考古省も「エジプトで最も畏敬の念を抱かせる遺跡のひとつ」と紹介するほどの圧倒的な存在感を放つ遺跡です。首都カイロから飛行機で約2時間という道のりも、アブシンベル神殿の魅力の前には取るに足りません。世界中から観光客が押し寄せるこの地には、一体どんな見どころや歴史が詰まっているのでしょうか。

今回は、アブシンベル神殿の歴史的価値や見どころに加え、年に2回だけ神秘の光が指す特別な日「ラムセスデイ」についても詳しく解説していきます。

建築王ラムセス2世が遺した「アブシンベル神殿」

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ラムセス2世は、古代エジプト史上最長となる60年以上もの間ファラオとして国を治め、「建築王」とも呼ばれた人物です。彼が紀元前1300年頃に建造したアブシンベル神殿は、砂岩をくり抜いて造られた高さ30m以上、幅40m近い巨大な神殿。入口には、ラムセス2世の威厳に満ちた高さ20mの彫像が4体、さらに内部にはオシリスの姿をしたラムセス2世が左右に4体ずつ立っており、訪れる人々を圧倒します。

さらに奥深く足を踏み入れると、そこは神聖な空気に満ちた至聖所。太陽神「ラー・ホルアクティ」、テーベの守護神アメンとラーが融合した神「アメン・ラー」、そして闇の神「プタハ」とともに、「ラムセス2世」の彫像が並び座る、まさに神々の領域です。

アブシンベル神殿、水没の危機から移築計画へ

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アブシンベル神殿の誕生から3000年余りが経ち、消滅の危機が訪れます。ナイル川流域でのダム建設計画によって、水没する可能性が高まったのです。しかし、ユネスコが地球の財産を守ろうと世界に呼びかけました。結果として50カ国以上からの支援が集まり、移築計画が始まります。神殿を800近いパーツに分割し、60m以上高い場所に再建する、という過去に類を見ない一大プロジェクトとなりました。

作業は1963年に開始され、1968年ついに移築が完了します。単に神殿を移築するだけでなく、以前の状態を忠実に再現することにこだわり、地面に落ちた像の破片なども同じ位置に移設されました。細部へのこだわりによって、現代の私たちも移築前の空間をそのまま感じられるのです。

移築計画は、アブシンベル神殿を救うだけでなく、「歴史的な建造物を後世に残そう」という、世界的な機運を高め、「世界遺産条約」採択へと繋がっていきました。

神秘の光が指す、年に2日だけの「ラムセスデイ」

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2月22日と10月22日、アブシンベル神殿は特別な日を迎えます。「ラムセスデイ」と呼ばれるこの日は、朝日が神殿正面から差し込み、60mも奥にある至聖所の彫像を照らし出すのです。しかも、光が当たるのはラーとアムン・ラー、ラムセス2世のみ。闇の神プタハには光が当たらないよう設計されているというから驚きです。

2日間は神々の力が最も増大すると信じられ、世界中から観光客が訪れる「ラムセスデイ」。神秘的な光景を目に焼き付けようと、長蛇の列ができるほど賑わいを見せる特別な1日です。

水没危機を乗り越え、現代に蘇るアブシンベル神殿

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アブシンベル神殿は、ユネスコや世界各国の助けによって、現代までその雄姿が守られ続けています。神々とラムセス2世の彫像を照らし出す「ラムセスデイ」は、人生で一度は見ておきたい光景です、アブシンベルに宿泊すれば、夜にはライトアップされた幻想的な神殿を、早朝には観光客が少なく静かな神殿を鑑賞できるため、宿泊して観光するのも通な楽しみ方となっています。世界遺産アブシンベル神殿で、古代エジプトの壮大なロマンを感じてみてはいかがでしょうか。
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