四字熟語

難攻不落

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もともとは城や砦の守りが堅く、攻め落とすことが容易ではないという意味です。
こちらからいくら干渉しても、思い通りにいかないというときにも使います。 

由来

戦国時代の軍事拠点であった城や砦などが地形上守備に適している、城壁が堅固であるなどの理由から「攻撃しても落城させることができない城や砦」「容易に陥落させることができない」という言葉ができていきました。それを「難攻」という言い方をしたのです。また攻撃に耐えて落城しないということを「不落」といい、この二つを掛け合わせることでさらに意味合いを強調して「難攻不落」という言葉になりました。

もちろん戦国時代には難攻不落と言われる城は一つではなく、守りの堅い城はいくつもありました。その全てが本当に「不落」であったわけではありません。中には、何度も落城している城もあります。難攻不落として有名なところでは上杉家の春日山城、北条家の小田原城、豊臣家の大阪城などでしょうか。

しかし、この「難攻不落」という言葉が人々に沁み渡ったのは、実は戦国時代を300年近くも過ぎ去った幕末でした。戦国時代には「防御力が高く、見た目にも美しい城」を造る築城名人と呼ばれた武将が二人いました。藤堂高虎と加藤清正です。このうちの加藤清正が建てた城、熊本城は戦国時代から評判の高い城でした。
しかし幕末に西南戦争で新政府に反旗を翻した西郷隆盛が熊本城に攻め込んだときについにその真価を発揮します。攻めよせた薩摩兵は守備兵の3倍以上いたという話ですが、この熊本城はその猛攻に耐え抜き、ついに西郷は城攻めをあきらめたのです。そのとき西郷は「(目の前の)官軍に負けたのではなく、(熊本城を造った)加藤清正に負けた」と言ったといいます。これぞ難攻不落といったところでしょうか。

意味の変遷

もちろん現在に城や砦を攻め落とすことはありません。
こちらが仕事や恋愛ごとなどで相手に誘いかけても説得できない、精神的に落とすことができない、というときに使われるようになっています。
また、逆説的に「あの相手は難攻不落だから」と困難さを先に打ち出しておくことで失敗したときのリスクを減らすということにも使われており、本来の意味が薄れている部分もあるようです。

使用法、使用例

「あのA社と契約を結びたいので営業に行きなさい」
「A社は新規取引に関しては難攻不落と言われています。厳しいのではないでしょうか」

「明日B子さんに告白することに決めたぞ!」
「あの子は誰からの告白も断っているらしいぞ。難攻不落の女性だな」

類似する意味のことわざ

要害堅固・・・とにかく城や砦の守りが堅いこと。物質的な意味合いが強い。
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