ことわざ

窮鼠猫を噛むの意味・使い方

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絶体絶命の窮地に追いつめられると弱い者でも強い者に逆襲することがある。
弱い者でも逃げ場を失うと異常な力を出して反撃するというたとえ。

そこから転じて、「相手を追い詰めすぎてはいけない」という意味合いや、「弱い者でも侮ってはいけない」という教訓的な意味合いで使われることもあります。

由来

もともとの出典は中国の漢の昭帝の時代に有識者や学者を集めて編纂された書物である、「塩鉄論・詔聖」からです。

原文は、
「死不再生、窮鼠齧狸、匹夫奔万乗、舍人折弓、陳勝呉広是也。」
書き下し文では、
「死して再び生きざれば、窮鼠狸を齧み、匹夫万乗を奔り、舍人弓を折る、陳勝呉広は是なり。」
現代語訳では、
「死んでしまっては命もないのだから、追い詰められたネズミはネコにも噛み付くでしょう。そして庶民は天子から逃げ、家来は弓を折り戦いを止めるでしょう。陳勝呉広の敗北はまさにこの例です。」
となります。

「窮」という字にはギリギリの場所、状態という意味があります。「窮地」という言い方が有名です。古来より追いつめられて逃げ場がなくなると開き直って全力で反撃してくるとされてきました。

そのために三国志で有名な諸葛孔明なども城攻めをして相手を追いつめたときは完全に城を囲んでしまわずにどこか一方をわざと空けておいたとされています。
そうすれば城兵たちは「そこから逃げられる」と思い、死ぬ気で反撃をしてこないと考えられていたのです。
古代の兵法書「孫子」でも、敵を壊滅したい時は空けていた一方に罠や伏兵を置いて攻撃するのが、一番味方の被害が少ないとされていました。

意味の変遷

現在でもほぼ同じ意味で使用されています。「あまり追い詰めすぎると逆上したり自暴自棄になって想像もつかない反撃に出ることがある」とされており、いじめられていた子が急に刃物を持って暴れたりするような事例に当てはまると考えられています。

英語の表現でも、
A baited cat may grow as fierce as a lion.
(犬にけしかけられれば猫もライオンのように荒々しくなる)
Despair makes cowards courageous.
(絶望は臆病者を勇敢にさせる)
というものがあり、どちらもほぼ同じ意味合いで使用されています。

使用法、使用例

「ずっと新入社員をいじめて辞めさせようとしていた部長が逆にパワハラで訴えられたらしいな」
「窮鼠猫を噛むというやつだな。追い詰めすぎたんだろう」

類似した意味のことわざ

窮寇は追うことなかれ・・・追いつめられている敵を必要以上に追ってはいけないということ。意味合いとしては似た意味で使用されます。
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