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ヒメシャラは「ヒメ」でも小さくない。ヒメシャラをシンボルツリーにするには。

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ヒメシャラは、6〜7月にツバキに似た直径2cmくらいの、花びらが5枚の白い花を咲かせ、幹が美しい木なのでシンボルツリーとして・庭に植えたい木としても人気があります。

別名ナツツバキの「シャラ」は日本原産の木なので北海道以南でどこでも栽培できますが、樹高が10〜20mの大木になるため、庭植えするのは不向きです。
そこで、シャラに代わる木として、園芸用語では「小さい」を意味する「ヒメ」が付いた「ヒメシャラ」に注目されています。

確かに、ヒメシャラはシャラよりは大きくならないので、「ヒメ」という名前が付くのは偽りではないのですが、それでも15mくらいまで育ってしまうので、ヒメというには大きすぎる大木に育つ木です。

横に大きくならないとはいえ、植え場所には注意が必要です。
ヒメシャラの魅力と育てる上での注意点などをご紹介していきましょう。

ヒメシャラは白い花と落葉と美しい幹肌が魅力

ヒメシャラやシャラは6〜7月ごろの夏に椿のような花を咲かせるので、ナツツバキとも呼ばれますがヒメシャラの花の方が小ぶりで、直径2cmくらいの白い5枚の花びらと黄色い花芯でできた花で、花一輪一輪は朝咲いて夕方落ちてしまいます。

木が成熟してくると樹皮がはがれて美しい幹肌が見えてきます。
白樺・青桐と並んで「日本3大美幹」に数えられ、淡い赤褐色の光沢のあるすべすべとした幹が魅力です。

10月ごろ紅葉して葉っぱが落ちてしまいますが、紅葉の美しさとともに、春の芽吹きの葉色の美しさも見ごたえがあります。

ヒメシャラは一本立ちより株立ち仕立てが人気

ヒメシャラは一本だけを育てるより、数株を寄せるように雑木のようにはやした株立ちの方が庭木としては人気があります。
株立ちにすると一本ずつが太く大きく育つのが抑えられ、もともと成長がゆっくりのヒメシャラなので、大株に育ちすぎるのも防ぐことができます。

しかし、株立ちにする場合、一本立ちよりも横に広がり気味になるので、ある程度の伸びていくスペース・敷地は必要になってきます。
結果的にはどちらの場合も縦に大きく育つので、上に電線や屋根などが広がっているような場所に植えると数年で困ったことになってしまいます。
大きくなってくると移植も難しくなるので、植え場所は十分考慮しましょう。

ヒメシャラの剪定はなるべくしないで自然に任せて

ヒメシャラは自然にきれいな樹形を保ちやすく、強剪定すると一気に枯れこんでしまうことや、切ったところから新しい芽が全く伸びてこないこともあって、剪定は最低限にする方が美しい姿を保てるので、剪定に慣れていない方にはかえって育てやすい木になります。

そうはいっても、枝が混みあって風通しが悪くなっているところは虫が発生しやすくなるので、混んでいるところはあまり大きくない枝を少し切り落として風通しをよくしておいた方が木を健康に保てます。

樹形を整えなおす剪定は葉のない冬〜春先に行いますが、この時も強剪定せず、混みあった枝を切り落とす程度にとどめておきます。
大きくなりすぎるのを防ぎたいときは、てっぺんの枝を切っておく摘芯を行うようにすると、多少縦方向の成長を遅めにできます。

ヒメシャラの植えつけは腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで

ヒメシャラの植え付け適期は、厳冬期を除いた葉っぱのない時期で、日当たりの良いところか半日陰に植え付けるようにします。
日当たりがよい方が花つきと葉色がよくなるのですが、乾燥に弱く、乾燥すると枯れこんでしまうことがあるので、強い直射日光が当たるところよりも半日陰の方が管理しやすくなります。

植えつけるとき、大きく掘った植穴に腐葉土をたっぷり混ぜ込んだ上に元の土で植えつけるようにします。
ポット苗のポットは外しますが、むしろなどが巻かれた根巻苗はそのまま植えつけ、たっぷりと水をあげ、最初の1年くらいは土が乾き気味の時や、葉っぱがそってくるようであればたっぷりと水を与えるようにします。

乾燥に弱いのでマルティングとチェックを欠かさずに

ヒメシャラは乾燥に弱いので、株の周りに腐葉土かココピートなどのマルティングをするか、グランドカバーになる草花を植えて、土の乾燥を防ぐようにします。

ヒメシャラは多肥にすると樹皮が荒れるので、肥料は控えめにして、冬に施肥する「寒肥」として木の周りに穴を掘って腐葉土か油粕を埋めておくようにしますが、毎年でなくても構いません。

−10℃まで耐えられますが、寒冷地では幹の周りにわらやむしろを巻き、敷き藁をして冬支度をするようにしましょう。

ヒメシャラを種や挿し木・取り木で増やすことも

ヒメシャラは、10月ごろに完熟した種が取れるので、種から育てることができます。
湿り気が切れないところに植え付けると、春に芽が出てくるので、挑戦してみましょう。

挿し木もできますが、幹の一部の皮をはいでミズゴケを巻き付けてビニールをかぶせておいて発根させてから切り落として新しい株を作る「取り木」でも育てることもでき、失敗しにくいやり方です。

ヒメシャラは背が高いのに虫がつく

ヒメシャラはシャラより小さいとは言え高木になるのに、チャドクガなど、びっしり葉につく害虫が付きやすい傾向があり、あまり背が高いと殺虫剤を塗布するのも困難になってしまいます。

まだ手が届く範囲の低木の場合は、春から夏にかけて、ポツンと一部だけ茶色い葉や、食害されて穴の開いている葉っぱがないかよく観察しておき、見つけたら枝ごと落とさないように気を付けて切り落としてビニール袋に密閉して処分すると他に移るのを防ぐことができます。

殺虫剤もかけられますが、上に向かってスプレーするので、虫がぼとぼと落ちてくるし、スプレー液が自分にもかかるので、十分に防御して行うようにしましょう。

大木に育ってしまって虫がついてしまった場合、ほとんど手の施しようがありません。周りに広がらないようにするために、伐採するしかなく、伐採そのものにも危険が伴うので、プロの園芸業者にお願いするようにしてください。

スペースがじゅうぶんにないなら盆栽仕立てで楽しんで

ヒメシャラは、盆栽で育てるのに人気がある植物でもあります。スペースが十分でないのに無理をして高木を庭植にしようとするよりは、盆栽仕立てにして身近に置いて楽しんだ方が失敗しにくくなります。

ヒメシャラの盆栽は1〜2年ごとに地上部も地下部もきれいに整理しながら、厳冬期を除いた葉っぱのない時期に植え替えをします。
土は赤玉土など粒土でも構いませんが、慣れていないのであれば盆栽用にブレンドされた土を使うようにしましょう。

乾燥に弱い木なので、水切れがないように注意して育てますが、庭植と同じく自然な形を楽しむ木なので、針金で誘引などしないで育てます。
盆栽で育てる場合も、一本立ちのものだけでなく、株立ちにして育てるのにも人気があります。

シンボルツリーとしてのヒメシャラの植え方&育て方

ヒメシャラの木は、シンボルツリーとして植えるのが人気ということですが、実際にシンボルツリーにする際の植え方や育て方をさらに具体的にご紹介します。

ヒメシャラをどう育てるとおしゃれなシンボルツリーになるのでしょうか。

ヒメシャラの魅力は美しい樹形と樹皮、そして瑞々しい葉と花

美しい樹形と樹皮、そして葉や花も人気ということで、全てにおいて鑑賞できる木ですよね。幹は、大きくなるにつれて樹皮がはがれ、光沢のある美しい木肌になっていきます。木肌の美しさや葉の雰囲気が洋風の庭にも似合うのも人気の秘密と言えるでしょう。

樹形は自然にしていても幹や枝がまっすぐに伸びていき、それほど広がらず上に伸びますので狭い庭でも植えることができます。

ヒメシャラの植え方、育て方は

高さは12m〜15mの高木です。場所を取りませんので玄関脇などにもシンボルツリーとして植えることができますね。日向や半日陰でも育てることができます。

夏の強い日差しや西日が当たらないところに植えるのがおすすめです。直射日光が当たるようであれば、根元の周りに下草や低木を植えてあげるのもいい方法です。ヒメシャラは水を好みますので、水遣りもよく遣るようにします。

秋には落葉し、春には新緑の美しい葉っぱが涼やかで人気ですよね。そして、6月頃に咲く白い2〜3cmの小さな花も清楚で魅力的です。

新緑の春から6月の花の頃を楽しんで、落葉したら木肌の美しさを観賞するのもいいですね。ずっとシンボルツリーとして見ていられます。マイナス10度まで大丈夫など耐寒性もありますので本州でしたらシンボルツリーにできそうですね。

ヒメシャラとシャラの木の違いは

また、ヒメシャラとシャラの木もよく間違えられます。シャラの木の小さなものがヒメシャラという風に考えておくといいでしょう。シャラの木は10m〜20mに大きくなり、ヒメシャラはそれよりは少し低い15m程度までに成長します。

また、ヒメシャラは高木ですが、成長が遅い点もシンボルツリーとしておすすめです。狭い庭などに植える際にはゆっくり成長していきますので手入れが楽ですよね。

花については、ヒメシャラのほうがシャラの木よりも小さくて、葉の陰に隠れたように咲きます。枝にまとまって咲きますが、気づかれないことも意外とよくあります。

ヒメシャラを株立ちで育てる方法は

ヒメシャラは1本立ちで育てるのか、株立ちで育てるのかといったことも選ぶことができます。最近では株立ちで育てる人も多く人気ですよね。雑木のような自然な雰囲気を株立ちで感じられるように育てるのもいいですよね。

そんな人気の株立ちに育てるには具体的にどうしたらいいでしょうか。1本立ちで大きく育ったヒメシャラを剪定して株立ちにしたいという人もいるでしょう。

2m程度になったら、育ったヒメシャラの状態を見て、どのような樹形にするのかを計画するのもいいでしょう。剪定をして、根元から出ている枝を切ることでヒコバエが数本出てきます。それらの中からまっすぐに育ちそうな枝を育てていくことで株立ちにすることもできます。また、自然にヒコバエが出て株立ちになることもあります。

株立ちにすることでよりゆっくりと成長します。あまり高く育てたくない場合はいい方法かもしれません。ただ、成長が遅いため理想の株立ちには長い期間がかかるでしょう。特に強く剪定すると枯れたり、夏の剪定にも弱かったりしますので気を付けましょう。

通常株立ちとして最初から市販されている場合は、寄せ株にされているものが多くなります。寄せ株として最初から株立ち風にそれらを育ててみるのもいいでしょう。

シンボルツリーとして虫には注意

また、シンボルツリーとして植えた場合は病害虫も気になりますよね。ヒメシャラは、病害虫はあまりつかないのですが、「チャドクガ」が発生することがあります。毒のある毛虫の「チャドクガ」が大量に発生して気持ち悪くなることもあります。

地面にフンが落ちていることもありますのでよく観察しましょう。「チャドクガ」がいた際は殺虫剤で駆除してしまいましょう。

シンボルツリーとしてのヒメシャラはやはりおすすめ

いかがでしょうか。シンボルツリーとして人気のヒメシャラは、育てやすく樹形も幹や葉っぱもきれいですので楽しみな木です。花も楽しむことができますので植えてみるのにおすすめです。

ただ、高さはある程度高くなりますので最初に計画して植えましょう。もし、あまり高くない方が良ければ、スペースがある場合には株立ちを最初から選んで植えるのもいいのではないでしょうか。

また植える場所は直射日光や西日を避けて植えてみましょう。ヒメシャラの木が成長するにつれて幹の美しさも増していきます。成長がいろいろと楽しみな木ですのでシンボルツリーとして長く育ててみませんか。

洋風の庭にも和風の庭にも似合うというのも大きなおすすめのポイントと言える木です。

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