仏像

結構幅があった「ご本尊」の意味

関連キーワード

人間、思い込みというものはあるものです。「ご本尊」との言葉を聞き、何を連想しますか?「お寺のど真ん中にいる仏様」「宗派によって違う」と言った所ではないでしょうか。勿論それで間違いはありません。しかし実際にはそれだけではないのです。

仏舎利から始まったご本尊の変遷

最古の本尊、崇拝対象はお釈迦様の遺骨でした。舎利と呼ばれる遺骨を納めた仏塔、お釈迦様が悟りを得た菩提樹、足跡とされる仏足跡などもご本尊と言えます。その後仏像が作られるようになり宗派と仏の数が増えていくに従い、ご本尊の数も増加していきました。

日蓮上人の定めた定義

日蓮宗を開いた日蓮上人は、御本尊の定義を以下のようにまとめています。別名は三義。

【根本尊崇(こんぽんそんすう)】
世界の森羅万象の根本として崇められるべき存在のことです。

【本来尊重(ほんらいそんちょう)】
本来あるべき人間の姿を尊重するという考えです。

【本有尊形(ほんぬそんぎょう)】
元々存在していた尊い存在が、あらわになった物をいいます。「今まで知らなかった、目から鱗が落ちた。こんな尊い方がいらしたとは」と言った所です。

日蓮宗の本尊法華曼荼羅はご本尊クラスが勢ぞろい

宗派によっては更に枝分かれする流派により本尊が異なることがあります。
日蓮宗では法華曼荼羅と呼ばれる曼荼羅が本尊です。中央にあるのは清浄なる蓮華の花。その更にど真ん中には多宝塔があり、その中にはお釈迦様(向かって右)と多宝如来(向かって左)がおわします。蓮華の花弁には弥勒菩薩、観音菩薩、普賢菩薩と言った菩薩が座しており、花の外の四隅にはお釈迦様の直弟子のうち四人(迦葉尊者、舎利弗、目連、須菩提)がいます。結構そうそうたるメンバーで、この法華曼荼羅に描かれているうちの一尊でも十分にご本尊の役目ができそうな顔ぶれです。
実際、宗派によっては観音菩薩を本尊とする所もあります。

ミニサイズ仏像や掛け軸で、より身近にご本尊を

ご本尊に会えるのはお寺だけ。そんなことはありません。今や恐れ多くも通販で小さな仏様に来ていただける時代となりました。そして、ご御本尊とは、何も立体の仏像でなくてもいいのです。曼荼羅という絵がご本尊とされていますし、大切なのは信心となります。どでかい仏像を買ったり作ったりせずとも、掛け軸でも何ら問題はありません。自分はどの宗派に属しているのか?そこを検討してからご本尊の掛け軸、もしくはミニ仏像をお迎えしましょう。
参考までに、有名どころの宗派のご本尊をご紹介します。

【釈迦如来】
天台宗(特にご本尊はいないようです)、臨済宗(厳密にはご本尊を特定していません)、曹洞宗、黄檗宗

【阿弥陀如来】
浄土宗、浄土真宗、時宗

【大日如来】
真言宗

【毘盧遮那仏】
華厳宗、律宗

【弥勒菩薩】
法相宗

まとめ

仏様というと何だか遠い世界の存在に思われるかもしれませんが、お寺に行かずとも家に来て下さいますし、すぐそばで見守ってくださってもいるのです。重要なのは、ご加護を信じ、ちゃんと祈って感謝をすること。そうすればご本尊はあなたを救ってくれるでしょう。心に描いただけでもいいのです。重要なのは、真心の一言に尽きます。

監修:えどのゆうき
日光山輪王寺の三仏堂、三十三間堂などであまたの仏像に圧倒、魅了されました。寺社仏閣は、最も身近な異界です。神仏神秘の世界が私を含め、人を惹きつけるのかもしれません。
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ