ことわざ

他山の石の意味・使い方

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意味

他人のつまらない言動や失敗を自分の糧とすること。
戒めや参考にするべき他人の失敗のこと。

由来

中国の最古の詩集と言われている「詩経」の中の小雅・鶴鳴に納められている詩がこのことわざの由来となっています。
その詩は、「他山の石を以て玉を攻むべし」というものです。

古代において「石」というのは、そのへんに落ちているつまらないものを表し、「玉」というのは宝石や非常に価値のあるもののたとえとしてよく使われます。この詩は、 「他の山のつまらない石でも、価値がある玉(宝石)を磨くのには役立つことがある」という意味になります。

 ここから派生して、「他人のつまらない行動や失敗」が「自分に役立つ」という意味合いになっていきました。ここで重要になるのは「他人の失敗」が前提になっていることです。他人がやっている素晴らしいことを見本として自分のためにする、という場合には使うことができません。また、他人の失敗を「自分には関係のないことだ」としてもいけません。あくまでも他人の失敗を自分の糧にする場合に使用されることわざなのです。

意味の変遷

文化庁が平成25年におこなった国語に関する世論調査において、この「他山の石」の本来の意味を知っている日本人は30%ほどしかいないという結果が出ました。それほど正しい意味で使われることが少ないことわざでもあるのです。

もっとも多い誤用は、「他人の行動を見本にして自分も見習っていく」という意味で使用してしまうことです。
「先輩がされていることを他山の石として自分も頑張っていきます」という使い方をしてしまう人が非常に多いということになります。これは本来の意味に当てはめていくと「先輩のように失敗ばかりしないように自分は気をつけていきたい」ということになり、先輩を褒めているどころか激しく貶している文言になってしまいます。相手が正しい意味を知っていると激怒されてしまうかもしれません。

とにかく間違えた使い方が多いことわざですので、使用する際、特に先輩や上司を前にして使用するときには注意が必要です。

使用法、使用例

「あのライバル会社、不正がばれて大騒ぎらしいな。倒産するかもしれないぞ」
「人ごとだと思わずに他山の石として自分たちも気をつけないといけないな」

類似した意味のことわざ

「反面教師」「人の振り見て我が振り直せ」・・・どちらも「良くないもの」「失敗しているもの」を見て、自分はそうならないように心掛けるというものです。
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