仏像

自己中を卒業するには、四恩を知ること

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朝起きて、用意された食事をとって、洗濯された制服を着て学費の払われている高校へと向かう、そんな高校生がいたとします。
学費も部費も、部活に使う道具も全部払ってもらっていますし、携帯電話も親払いです。
つまり養われている身。しかし、彼は親に反抗し、「勝手に部屋に入るな」とも言います。結構自己中に見えますね。それというのも、まだ幼い為、恩を知らないからです。

恩とは

「この恩知らず!」と言われますが、恩というのはそもそも誰かのおかげで成り立つ恵みです。
親が産んでくれたからこの世にいるわけですし、食べ物だって畜産農家、漁業関係者等の方々がいるから食べられるのです。
何気なく使っているスマホや携帯電話も、元はグラハム・ベルの発明ですし、日本の漫画が芸術とまで称されるのは手塚治虫氏の尽力あればこそと言えます。
「恩」という字をばらしてみましょう。上と下とに分けると「因」と「心」になりますね。
これは、「今ある状況の原因を心に思い浮かべなさい」という意味なのです。
ただ思い浮かべるのではなく、ちゃんと心にとどめ記して感謝をすることが重要になります。
仏教では、大きく四つの恩、通称四恩(しおん)がクローズアップされています。

四恩内訳

クローズアップとは言え、実際には経典によりばらつきがあります。四恩は、概ね以下のように分類可能です。

【父母の恩】
この世にいられるのは、両親が産み育ててくれたからですね。一番の味方である親御さんに、まずは感謝をしましょう。

【衆生の恩】
すべての生物に対する感謝です。食物として口に入るものは、全てが生物です。「ベジタリアンだから」とかは関係ありません。植物も生物です。また、暑い時に木陰となってくれる木もまた生物であり、涼や時に実をくれることに感謝をしましょう。

【国王の恩】
これは今では「社会への恩」となるでしょう。「今の世の中に恩恵なんかあるか」と思うでしょうが、他国に比べると日本は治安が良いとされます。外国人が日本人のマナーの良さに感心することも多々あるのです。本当にあれている国なら、不満を抱く暇さえないでしょう。

【三宝の恩】
三宝とは、仏教における三つの宝、仏(如来)、法、僧侶です。仏教としては一番重要な恩と言えます。究極の安心であるところの悟りを得た仏、それを教えとした法、法を伝える僧侶です。

「当たり前」と思ってはいけない

四恩には他にも施主の恩(施しを受けること)など諸説ありますが、何にしても共通して言えることがあります。
「恩恵を当たり前だと思って胡坐をかいてはいけない」ということです。こうした恩に気付かせてくれる仏様の教えにも感謝をしましょう。
仏像を拝めと言うのではありません。「ありがとう」と心でも念ずるのだけでもいいのです。
一番いいのは声に出して親御さんへの感謝を述べることですけどね。

まとめ

もしも着の身着のままで放り出されたとして、やっていけますか?無理でしょう。
月並みな言い方ですが、一人だけで生きていけると言うことは絶対に不可能です。
「食糧調達くらいは自分で」とは言っても、その食糧は誰かが作った物。
完全自給自足にせよ、大地や自然の恩恵を受けていることに変わりはないのです。
恩を感じ、活力を得たらそのことにも感謝をして、明日も頑張りましょう。

監修:えどのゆうき
日光山輪王寺の三仏堂、三十三間堂などであまたの仏像に圧倒、魅了されました。寺社仏閣は、最も身近な異界です。神仏神秘の世界が私を含め、人を惹きつけるのかもしれません。
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