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区別がつかなくなった?パンジー・ビオラの魅力と育て方

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19世紀初頭に、イギリスの園芸家トンプソンによって、ビオラ・トリコロルを元に品種改良されて生まれたのがパンジーです。
パンジー」という名前の由来は、フランス語の「パンセ(物思い)」で、花姿が物思いにふけっているように見えることから名付けられました。

パンジーは、ビオラ・トリコロル、ビオラ・ルテア、ビオラ・アルタイカ、ビオラ・コルヌータの4種のヨーロッパの野生種が元になっている園芸品種で、複雑な交雑による園芸品種が、長い歴史の中で現在まで生まれ続けています。
ビオラ」はスミレスミレ属の学名なので、パンジービオラの一種とわかります。

かつては、花が大きい「大輪」をパンジー、花が小さい「小輪」をビオラと区別して、パンジービオラの境界は花径4cmとされていましたが、花の小さいパンジーや、花の大きいビオラもあり、交雑も進み、品種がどれほどあるのかもわからなくなってしまっているので、区別がつけられなくなっています。

パンジーの品種改良の歴史

パンジーの花びらの中心部分にある黒っぽい模様「ブロッチ」が、19世紀の終わりにフランスで生まれて人気を博しました。
20世紀になると、カラフルな花色のものや、大型なパンジーの開発競争が起こりました。
スイスで花径が8cmの「スイス・ジャイアント」が生まれ、次いでアメリカで花径が10cmの「ジャンボ」、戦後日本で花径が12cmの「マジェスティック・ジャイアント」が開発されました。

現在はあまり大型のパンジーは好まれなくなり、ブロッチの人気もなくなって、ブロッチのない中輪や小輪のパンジーに人気があります。
日本やイタリアで、八重咲き品種やフリルがたくさん入る品種など、豪華でボリュームのある品種が作られています。

パンジー・ビオラは花が食べられるエディブルフラワー

パンジーの花は、食べることが出来る、エディブルフラワーです。
店頭で売られているすべてのパンジーの花が、無農薬で栽培されて、鮮度保持剤なども使用されていない、食用に適しているもの、というわけではありません。
パンジービオラの花を食べる場合は、手に入ったものどれでも食べてみるのではなく、「エディブルフラワー用」「食用」として販売されているものを選んで食べるようにしましょう。

パンジーの花はクセがなく、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンB1なども含まれています。
カラフルな花なので、一輪あるだけで食卓が賑やかになります。
パンジービオラの花は、ゼリーの中に閉じ込めたり、ケーキのトッピングにするなど、飾り方は無限にあり、パーティーやおもてなしの料理にもぴったりです。

パンジービオラの花は食べられますが、パンジービオラの根茎や種には毒性があると言われているので、花以外は食べないようにしましょう。

パンジー・ビオラは条件が合えば四季咲き

パンジービオラは、寒さに強いものの、暑さには弱いため、夏の高温多湿で夏枯れしやすい植物ですが、条件さえ合えば四季咲きします。
通常は秋に苗を買って、気温が上がってくる夏を迎える前に栽培を終える一年草として扱うのが一般的です。

気温が上がってくると、花首がどんどん長くなっていき、蒸れて枯れてしまいますが、涼しい気温で管理すると、夏枯れさせずに夏越しが可能になります。
しかし、パンジービオラは年々品種改良が進んで花色・花姿が違うものが生まれている上、苗は非常に安価で、秋~春の長期に渡って大量に流通しています。
苦心して夏越しさせるより、新しい苗に買い替えたほうが、管理が容易になります。
また、流通期間が長いことから、生育が上手く行かなかった場合でも、いつでも買い換えられることも、手軽に楽しめる魅力の一つになっています。

パンジー・ビオラは日当たりの良い場所で育てて

パンジービオラは日当たりの良い場所で管理して、肥料をしっかり施肥していると花つきが良くなります。
日当たりが悪いと花首ばかりが伸びて、新しい蕾が上がってきません。
また、日当たりが悪いと株も弱って、病害虫の被害が出やすくなるので、できるだけ日によく当たるところで育てるようにしましょう。

パンジービオラは、夏が近づいて気温が上がってくると、日当たりで育てていても、花首が長くなってひょろひょろして来ます。
肥料を上げても花数も減ってきて、株全体が間延びした上に枝先などが枯れかかってきます。
そうなってきたときは、栽培の終了時期が来ていると考えるようにしましょう。

パンジー・ビオラには種のできないF1種も

パンジービオラの花数を多くつけるには、傷んだ花殻を早めに摘み取っておくことが大切です。
花殻が残っていると、種がついて、種の生育にエネルギーが渡ってしまい、蕾をつけなくなってしまいます。
こぼれ種からパンジービオラが新しく芽吹いてくることもあるので、種から育てたいときは種をとるようにしますが、種には毒性があるので、保存には注意しましょう。

しかし、現在国内で流通しているパンジービオラの多くは種のできないF1品種が多く、どんなに花殻を残しても種がつかないこともあります。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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