ガーデニング

魅惑の花「月下美人」は不思議がいっぱい

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夜に数時間だけ花開く、薫り高い豪華な白い大きな花が魅力の月下美人は、開花できる株になるまで育てるのに数年を要することもあって、園芸店の店頭で苗が売られていることはあまりありません。
小さな株から育てると、株の端っこにちょこんと蕾をつけてくれるまでにも2,3年かかり、その蕾も、株の栄養条件や日光条件、気温などが整っていないと、咲かずに終わってしまいます。

10年以上育てていくと、6~11月の間に数回、一輪だけではなく数輪が咲き誇るようになっていきますが、開花時間が真夜中に3時間程度なのは変わりません。

そんなことばかり言われると、月下美人を育てていくには、それ相応の覚悟が必要に思えてきますが、ガーデニング全般が長い年月が必要で、気がつけば10年以上経っていたということはよくあるため、はじめてしまえばそれほど長い年月ではないでしょう。

月下美人に細長い棒状のシュートがでたときには

月下美人の葉は、うねうねとして幅のある長い葉ですが、横から棒状のシュートが勢いよく伸びてくることがあります。
この細長いシュートは、このまま育てていても、蕾がつくことはありません。
棒状のシュートを途中で切り落とすと、その先には普通の月下美人の葉が伸びてきます。

切る位置には決まりはないので、全体のバランスに合ったところで先端をカットしましょう。
切ったところから普通の葉が伸びてきて、その端に蕾がつくようになります。

寒いときは月下美人の花が長持ちすることも

月下美人の花は、たいてい夜中に咲き始め、満開になってから3時間ほどでしぼみ始め、朝にはすっかりしなびてしまいますが、まれに朝まで花が咲き続けていることがあります。
朝になり、気温が上がってくるとしぼんでしまいますが、開花したときに気温が少し低いときに長く咲いてくれることがあります。

月下美人が咲いてしまう前に蕾を切り落とし、膨らませたビニール袋に閉じ込めて、冷蔵庫においておくと、花が長持ちすることもありますが、年に数回しか咲かない花を咲く前に切ってしまうのには、やはりちょっと度胸が必要になってきます。

月下美人の花を綺麗なまま保つには

月下美人の豪華で美しい花は、短命だからこそ余計にその美しさが引き立つのではないかと思いますが、それでもできるだけ綺麗な状態のまま長く保たせたいと思ってしまいますね。
そのままではきれいに保つことは不可能なので、ホワイトリカーに漬けておいたり、ハーバリウム液に漬けておくと、花びらに透明感が出てしまいますが、きれいな状態のまま、1年以上維持することができるようになります。

本来ハーバリウム液に漬け込むのはドライフラワーにしてからですが、ドライになるまで月下美人の花びらが耐えることができないので、フレッシュなまま漬け込むしかありません。
フレッシュなまま漬け込むので、ドライフラワーよりも変質したりかびたりしやすくなりますが、数時間しか持たない花をロングスパンで楽しんだことを思えば、致し方ないのではないでしょうか。

他家受粉のはずなのに月下美人に実がなることも

近年まで国内で流通していた月下美人は、同じ株を葉挿しで増やしていったものなので、同じ遺伝子を持っているため、他家受粉しないと実をつけない月下美人は、実をつけることはありませんでした。

「食用月下美人」と名付けられて流通するようになった月下美人は、これまで国内で流通していた月下美人と異なる遺伝子を持つ月下美人であるため、実を収穫することが可能になりました。

しかし、何十年と、従来の月下美人だけを育てている愛好家には、終わった花を見たら不思議なことに付け根の方が膨らんできて、おかしいなと思ってそのまま花殻摘みしないでいたら、だんだん膨らんできて、緑色からやがて赤く色づいてきて、開花から3ヶ月後くらいに、明らかに実になって来ることがあるようです。

他の月下美人が身近にあるわけではないので、実がなったのを見たほうがびっくりするようですが、突然変異が自然界にはあるので、そういったことが起こることもあるのでしょう。

月下美人の実はドラゴンフルーツ似

月下美人の実は、赤く細長い形をしていて、花のついていたところに育っていきます。
収穫した実を半分に切ると、白い果肉の中に黒いごまのようなものが散りばめられていることがわかります。

この黒いごまのようなものが、月下美人の種で、周りの白い果肉はほんのり甘くて食べられます。
ちなみに、月下美人の花びらも茎も食べることができます。
さっと茹でて食べると、ちょっとぬめりがあるおひたしになります。

月下美人の実は、ドラゴンフルーツによく似ています。
月下美人ドラゴンフルーツも、共にサボテン科なので、サボテンらしい実がなっていることになります。

月下美人の実から取れた種で実生に挑戦

月下美人の実の中にある黒いつぶつぶを取り出して、きれいに洗って、周りについている白い実を取り除いたら、種まきに使えます。

小粒の赤玉土を湿らせたところに、月下美人の種をパラパラまいておきます。
発芽してある程度大きくなるまでは、水切れしないように、底面給水で管理していきましょう。

双葉が出てきて、段々と大きくなっていきますが、成長スピードはもともと早くはないので、1年位育ててから株分けしていきましょう。
あまり密に種まきすると、株同士がくっつきすぎて一年も一緒に育てることができなくなってしまうので、種と種の間隔は十分に開けて種まきするようにしましょう。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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