ナポレオンに関する雑学―もしかしたらイタリア人かも知れなかった、から始まる6つのお話!
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ナポレオン・ボナパルトの名前を知らないという日本人は果たしているのでしょうか。ナポレオンはその世界史な存在感の大きさから、遠く海を隔てた日本においても絶大な人気を博してきました。戦争における軍師としての活躍のみならず、近代法典の礎となるナポレオン法典の起草など政治家としても世界史に大きな足跡を残しました。これだけの人物になると、様々な逸話や雑学が登場するのが世の常。ナポレオンに関する、知っているとちょっと自慢できる雑学を紹介します。
1. ナポレオンはイタリア人かも知れなかった。
ナポレオン・ボナパルトは1769年、地中海のコルシカ島に生を享けました。このコルシカ島はイタリアの都市国家ジェノヴァが13世紀ごろから支配していましたが、1729年にコルシカ独立戦争がはじまると、鎮圧のためにコルシカ島にはジェノヴァに代わってフランス軍勢力が入り込みます。こうして1769年、ポンテ・ノーウの戦いでフランス軍はコルシカ軍を破り、コルシカ島はフランス領となります。この戦争後まもなく、ナポレオンがフランス人として生まれるのです。つまり、ナポレオンが少し早く生まれていたら、ナポレオンはイタリア人かも知れなかったのです。
2. ナポレオンは小説も書いていた。
ナポレオンはいわゆる「ナポレオン法典」を作ったことで知られていますが、実は若い時に小説を書いています。その名も『クリソンとウージェニー』(Clisson et Eugenie)。ナポレオン26歳の時の作品で、青年兵士の恋愛や兵役を題材としています。ナポレオンは主人公に自身を投影していたのでしょうか。
3. ロゼッタストーンはナポレオン一行が発見した。
エジプトのロゼッタで1799年に発見された、通称ロゼッタストーン。古代エジプトの神聖文字(ヒエログリフ)と民衆文字(デモティック)、ギリシャ文字が刻印され、のちにシャンポリオンによって解読されることになるこのロゼッタストーンですが、発見したのはナポレオンのエジプト遠征に同行していた兵士でした。ナポレオンはエジプト遠征にあたって数学者フーリエなどの研究団を引き連れており、エジプト遠征は軍事的なものであり、文化的な調査事業でもあったのです。こうしたエジプト遠征の学究的側面を論じたものとしては、エドワード・サイードの著作が有名です。
4. ナポレオンは自殺を図っている。
ナポレオンは1821年、セントヘレナ島で胃がん(諸説あり)によりその生涯を終えますが、ナポレオンは以前に自殺を図ったと言われています。1812年のロシア出征に失敗し、ライプツィヒの戦いでも敗戦、イギリスなどの包囲が強化されるなかで絶望したナポレオンは1814年に服毒自殺を図ります。この自殺の失敗後、エルバ島から再びフランス国王に返り咲き、いわゆる「百日天下」を成し遂げることになります。
5. ナポレオンは絵画を通じて自らを宣伝した。
白馬にまたがるナポレオンを描いた「サン=ベルナール峠をこえるナポレオン」や、ナポレオンが自らフランス王の冠をかぶる様子を描いた「ナポレオンの戴冠式」といった絵画は有名ですが、これらはダヴィド(1748~1825)という画家による作品です。ダヴィドの絵では雄壮なナポレオンが描かれていますが、いずれも脚色が施されています。たとえば、「サン=ベルナール峠をこえるナポレオン」では、赤いマントに身を包んだ颯爽なナポレオンが描かれていますが、実際のところは、ポール=ドラーシュの絵に見られるように、雪の中を寒さにこごえながら行進していたようです。また、ダヴィドの絵では、ナポレオンは愛馬「マレンゴ」に乗っていますが、実際はロバに乗っていたと考えられています。こうした脚色はナポレオンの名声と権威を高めるためになされたと考えられ、ナポレオンがダヴィドの絵画をひとつのプロパガンダの手段として利用していたことが伺えます。
6. フランスではブタに「ナポレオン」と名付けることが禁止されている?
誤解の無いようにはじめに断っておきますが、フランスにはブタの名前として「ナポレオン」が禁止されているという事実はありません。こうした噂が広まった原因はおそらくジョージ・オーウェルの『動物農場』にあるようです。『動物農場』にはリーダとしてブタの「ナポレオン」が登場するのですが、フランス語バージョンにおいて「カエサル」と改名した翻訳が存在したようです。しかし、ネットで調べてもWikipediaの記述程度しか見つかりませんし、本当に「カエサル」という名前のフランス語訳が存在したかどうかについて筆者は確認が取れていません。なにはともあれ、フランスにおいてブタに「ナポレオン」と名付けることを禁止する法律はありませんし、『動物農場』のフランス語訳についても「ナポレオン」という名前で翻訳がなされています。ちょっとしたジョークのようなものでしょうか。
以上、ナポレオンに関する雑学でした。みなさんはいくつ知っていたでしょうか。
ナポレオンほどの大人物となるとあることないこと、いろいろ言われます。「余の辞書に不可能という言葉はない」といったそうですが、(これも実はあやしい)、少なくとも逸話上のナポレオンに不可能はないようです。
以上、ナポレオンに関する雑学でした。みなさんはいくつ知っていたでしょうか。
ナポレオンほどの大人物となるとあることないこと、いろいろ言われます。「余の辞書に不可能という言葉はない」といったそうですが、(これも実はあやしい)、少なくとも逸話上のナポレオンに不可能はないようです。