うどん

文化の融合、うどんの“異端児”カレーうどんの歴史

関連キーワード

カレーうどんの歴史

今や定番メニューとして、正統派の「うどん」とはまた別格の地位を確立している「カレーうどん」。

ある意味、“異端児”と言えなくもないカレーうどんですが、最近では専門店もあるほど、独自の世界を展開しています。文明開化の象徴である洋食文化と日本の麺文化が融合して生まれた日本独自の麺料理ですが、誕生の要因は、舶来文化を取り入れて、うまく咀嚼するという日本人ならではの柔軟な分か体質によるところも少なくないと思います。カレーうどんとは、そんな日本人の文化に見事馴染んで、今では日本食と言ってもいい麺料理ですよね。

言うまでもなく、カレーの発祥の地は、インド。
それをいち早く、自国の文化の一部として取り入れたのが、イギリスです。18世紀にインドを植民地にしていたイギリスが、カレーライスを自国の文化に持ち込んだことで、それまでインド国内だけで食べられていたカレーは初めて海外へ伝わっていったのです。そんな過程を経て、イギリスで発展していったカレーライスが日本に伝えられたのは、文明開化の波が押し寄せた明治時代。
海外から渡来した様々な外国文化のひとつとして、カレーも日本の食文化の中に定着していったのです。しかし、当時、日本に入ってきたカレーは、発祥の地インドのものではなく、イギリスで親しまれていた欧州カレーだったといいます。現在、日本の家庭で食べられているカレーライスが、野菜や肉を炒めて煮込んだ欧州風が主体になっているのは、それを物語っています。

他の洋食同様、当初はカレーも主にハイカラ好きな裕福層の間で食されていた高級料理でしたが、時の流れとともにやがて庶民の間にも広まっていきました。
それに伴い、日本では洋食人気が高まり、逆に和食は衰退していきます。和食店は死活問題に直面することになり、うどんや蕎麦といった和麺のお店も経営の危機に直面。そんな背景の中、既存の和食に洋食のエッセンスを加える、和洋折衷的なメニューが登場します。カレーうどんも、そんな時代が生んだ、新しい和麺メニューなのです。

カレーうどん発祥のお店

日本で初めてカレーうどんがお目見えしたのは、1904年(明治37年)頃と言われています。
そのカレーうどん発祥の地は、東京・早稲田の老舗のお蕎麦屋さん「三朝庵」。和麺・うどんをカレーの汁でいただくという、この斬新なメニューは登場するやいなや早稲田の学生の人気を獲得したといいます。
また、余談ですが、あのカツ丼も、ここ「三朝庵」が発祥の地と言われ、日本人の味覚を虜にしてきた二大メニューを生んだ「三朝庵」は今も変わらず、早稲田大学の校外食堂として、食欲おう盛な学生たちのお腹を満足させています。

誕生以来、本来の純うどんとともに人々に愛されカレーうどんは、その誕生から1世紀を経て、その味も進化してきています。本場のカレーばりに様々な香辛料を入れた激辛派、反対に牛乳やココナッツを入れたマイルド派、香味野菜や果実を使った甘辛派etc。味にさらなる深みが加味され、舌の肥えたグルメたちをも満足させています。

カレーうどんとカレー南蛮

うどんをカレー汁で食べるという、うどん料理は、カレーうどんの他にもカレー南蛮があります。カレーうどんとカレー南蛮の違いって、ご存知ですか?

一般的によく耳にするのは、カレーうどんの麺は「うどん」、カレー南蛮の麺は「蕎麦」という、ズバリ麺の違いですが、お店によっては、カレー南蛮を注文すると店員さんに「うどんですか、蕎麦ですか?」と訊ねられることもあるので、う~ん??? 

しかも、どちらも単にカレーのルーをそのまま汁として使うのではなく、必ずダシの効いた出汁を入れて、カレー本来の味をもっとまろやかにしています。このまろやかさが、インド生まれのカレーと和麺の相性を絶妙なものにしているように思います。

また、カレーうどんとカレー南蛮の相違点は、中に入っている具と薬味にも見られます。どちらもカレーの具の定番であるお肉が入っていることが多いのですが、カレーうどんには大抵タマネギが入っていて、カレー南蛮には長ネギが入っているというのが、ほとんどのお店の定番のようです。ちなみに、カレー南蛮の「南蛮」とは大阪・難波産のネギを「ナンバ」と呼称していたことに由来するという説があるそうで、カレー南蛮と長ネギの組み合わせの理由として納得できそうな気がします。

なお、余談ですが、幅広うどん=きしめんが有名な名古屋では、カレーうどんならぬ「カレーきしめん」が人気。
カレーの深いコクと、きしめん独特の喉越しと食感が絶妙なバランスで思わず「うみゃ~」と言ってしまうこと必至です。是非一度、お試しあれ!
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ