女子だからこそ?歴女が生まれたワケ
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歴史好きの女性を指す「歴女」という略語が使われ始まってからずいぶん時間がたちました。こんな言葉が使われ始める前から、「歴史好きの女性」は一定数いたはずです。では、かつての「歴史好き」と「歴女」の間にはどんな違いがあるのでしょうか。歴女の変遷についてまとめてみました。
そもそも歴女とは?
歴女が歴史好き、歴史ファンの女性を指す言葉であることは、漠然ながらも知っているという人は多いでしょう。これまで歴史好きの人は、男女を問わず、歴史上の人物が成し遂げた事績や時代背景などについて、資料的視点から調べる学者然とした行動をとることが多かったのです。
ですから、司馬遼太郎をはじめとするさまざまな歴史作家の作品を読む、雑誌『歴史人』(KKベストセラーズ)を定期購読する、博物館や資料館、ゆかりの地を訪れる、というものでした。例えば、ある武将が好きだと言う人でも、その武将が生きた時代の「歴史」に強い興味を持つ人たちが中心でした。
歴女の入り口は、歴史上の人物がゲームやアニメの中でキャラクター化され、その人物や人間関係に興味を持ったというものです。「武将萌え」という言葉も生まれ、それまで「オタク」たちが2次元のキャラクター(主に幼い女子)に抱いていた感情を、女性たちが戦国武将に抱くようになったのです。
「歴女」という言葉が生まれるきっかけは、2008年に公開された映画『レッドクリフ』の公開イベントでした。このイベントで歴史好きのアイドルである美甘子が「歴ドル」と略されたことから、その派生語として「歴女」という言葉が生まれたと言われています。
その後、大河ドラマや映画の影響を受けた女性が、歴史上の人物をアイドルのように捉え、まるで追っかけのようにゆかりの地を訪ね歩く、という現象が起きました。
歴女ブームの火付け役『戦国BASARA』
2005年7月21日、歴女を一気にブームにしたゲームソフトが発売されました。
カプコンのプレイステーション2向けソフト『戦国BASARA』です。このゲームの中では、戦国武将たちは8頭身で現代的な美形の男子として描かれ、超人的な技を繰り出して戦います。ゲームで遊ぶだけでなく、キャラクターやゲームの世界観にひかれた女性たちが関連商品を買うという行動にも発展。そのため、数々の関連商品が生まれることになりました。2006年7月22日にはZepp東京でイベント「バサラ祭2006夏の陣」が開催されるなど、多くの女性を虜にしていきます。
各地の知事選挙や車上ねらい防止などのイメージキャラクターに起用されたり、博物館や地方自治体とのコラボレーションを積極的に実施したり、戦国BASARAはジャンルにとらわれず広がりを見せています。2015年12月末時点での累計販売本数が380万本ですから、第1作のリリース以降、カプコンが展開してきた「ワンコンテンツ・マルチユース戦略」は、大量の歴女を輩出したことで大当たりとなりました。
カプコンのプレイステーション2向けソフト『戦国BASARA』です。このゲームの中では、戦国武将たちは8頭身で現代的な美形の男子として描かれ、超人的な技を繰り出して戦います。ゲームで遊ぶだけでなく、キャラクターやゲームの世界観にひかれた女性たちが関連商品を買うという行動にも発展。そのため、数々の関連商品が生まれることになりました。2006年7月22日にはZepp東京でイベント「バサラ祭2006夏の陣」が開催されるなど、多くの女性を虜にしていきます。
各地の知事選挙や車上ねらい防止などのイメージキャラクターに起用されたり、博物館や地方自治体とのコラボレーションを積極的に実施したり、戦国BASARAはジャンルにとらわれず広がりを見せています。2015年12月末時点での累計販売本数が380万本ですから、第1作のリリース以降、カプコンが展開してきた「ワンコンテンツ・マルチユース戦略」は、大量の歴女を輩出したことで大当たりとなりました。
歴女ブームを加速させた映画と大河ドラマ
戦国BASARAの成功を受けたのかどうかは定かではありませんが、2000年代後半には歴女ブームを加速させる映画や大河ドラマが相次いで上映・放映されました。
トップバッターは、NHKの大河ドラマ『篤姫』です。女性から支持されたこのドラマは、高視聴率を記録。歴史に興味を持つ女性の層を一気に広めたとされています。
歴女を確固たる存在にしたのが、2009年のNHK大河ドラマ『天地人』でした。主人公は兜の前立に「愛」の文字をあしらった直江兼続で、妻夫木聡がこの武将を演じました。ほかにもイケメン俳優が多数出演したこともあり、歴女たちの「武将萌え」はこの時期にマックスに達していたようです。
トップバッターは、NHKの大河ドラマ『篤姫』です。女性から支持されたこのドラマは、高視聴率を記録。歴史に興味を持つ女性の層を一気に広めたとされています。
歴女を確固たる存在にしたのが、2009年のNHK大河ドラマ『天地人』でした。主人公は兜の前立に「愛」の文字をあしらった直江兼続で、妻夫木聡がこの武将を演じました。ほかにもイケメン俳優が多数出演したこともあり、歴女たちの「武将萌え」はこの時期にマックスに達していたようです。
歴女が好む歴史上の人物
かつて中高年の男性を中心に支持されてきた歴史上の人物といえば、織田信長や坂本龍馬、土方歳三といった主役級の人物でした。
大成した人物よりも、悲劇性の強い生涯を送った人物に、ヒーローとしての憧れを抱いたり、歴史上タブーとされている「もし、裏切り者がいなければ」とか「もし、暗殺されていなければ」を想像したりして楽しんできました。歴女たちも基本的には同様に不遇の生涯を送ったような人物を愛好の対象とする傾向があります。先に挙げた3人のほかには、伊達政宗、真田幸村、直江兼続、石田三成、永倉新八といった人物が人気のようです。
しかし、歴女の中には一般的には名前の知られていない人物・武将を愛好する人も少なくありません。このあたりが従来の歴史好きとの大きな違いと言えるでしょう。
大成した人物よりも、悲劇性の強い生涯を送った人物に、ヒーローとしての憧れを抱いたり、歴史上タブーとされている「もし、裏切り者がいなければ」とか「もし、暗殺されていなければ」を想像したりして楽しんできました。歴女たちも基本的には同様に不遇の生涯を送ったような人物を愛好の対象とする傾向があります。先に挙げた3人のほかには、伊達政宗、真田幸村、直江兼続、石田三成、永倉新八といった人物が人気のようです。
しかし、歴女の中には一般的には名前の知られていない人物・武将を愛好する人も少なくありません。このあたりが従来の歴史好きとの大きな違いと言えるでしょう。
行政が歴女を積極的に誘致
2009年にブームが最高潮に達した歴女ですが、興味の範囲は歴史上の人物から広がりを見せることに。2009年に東京国立博物館の特別展「国宝 阿修羅展」には、仏像鑑賞の愛好してきた中高年だけでなく、若い女性も多数押し寄せ、阿修羅像を「萌え」の対象とする「アシュラー」や「仏女」も出現。城郭の大好きな「城ガール」というのもあります。
そんな歴女らに目をつけたのが、観光による地域の活性化を目指す地方自治体です。
歴女ブームの着火とタイミングが合った例として挙げられるのが、2008年の仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)でした。このとき、宮城県の自治体とカプコンが積極的に連携。キャンペーンが始まる前から戦国BASARAのキャラクターである片倉小十郎と伊達政宗のイラストのラッピングバスを運行するなど、様々な関連イベントが催されました。
名古屋市によって2009年1月に組織された観光パフォーマンス集団「名古屋おもてなし武将隊」(イケメン武将隊)が知名度を上げると、2010年8月には仙台市によって「伊達武将隊」が組織されています。
そんな歴女らに目をつけたのが、観光による地域の活性化を目指す地方自治体です。
歴女ブームの着火とタイミングが合った例として挙げられるのが、2008年の仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)でした。このとき、宮城県の自治体とカプコンが積極的に連携。キャンペーンが始まる前から戦国BASARAのキャラクターである片倉小十郎と伊達政宗のイラストのラッピングバスを運行するなど、様々な関連イベントが催されました。
名古屋市によって2009年1月に組織された観光パフォーマンス集団「名古屋おもてなし武将隊」(イケメン武将隊)が知名度を上げると、2010年8月には仙台市によって「伊達武将隊」が組織されています。