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世界を虜にするキルトを知って、大いに楽しむ

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世界を虜にするキルトを知って、大いに楽しむ

趣味を持つ人が多くなっている昨今では「手芸」に注目が集まっています。その中でも「キルト」は人気が高く、毎年、東京ドームを会場として1週間のフェスティバルが開催されています。今回は注目度の高い「キルト」について、その魅力を紹介していきます。

キルト愛好者が集まるイベントが毎年開催!

毎年、1月に東京ドームで開催されているのが「東京国際キルトフェスティバル」です。期間中の来場者数は23万人を超え、日本国内だけではなく、アジア諸国をはじめ世界各地からキルト愛好者が集まる一大イベントです。

2016年に開催された第15回のキルトフェスティバルでは、「ウィリアム・モリス 地上の楽園」として、特別企画も披露されました。現在第一線で活躍されている25人の作家によって、ウィリアム・モリスの布を駆使したキルト作品が作成され、展示されたのです。
そして、斉藤謠子のグループが作成した「ピーターラビットの世界」は、原画をもとに忠実にキルトで表現しており、来客者の撮影の的でした。どれも布の染色から手掛けているものばかりで、キルトにかける思いを垣間見ることができます。

三浦百恵さんの作品も第15回では全4点展示されました。そのなかでも、フラワーアーティストの川崎景太さんとコラボし、かすみ草などの花を背後に展示された作品「冬のブーケ」。師である鷲沢玲子さんの作品とともに展示されているこちらは、三浦さんが3年かけて制作した力作だったそうです。オフホワイトの「冬のブーケ」は、まさに荘厳な印象を受ける盛大な作品でした。

もはやキルトの枠を超え、芸術の域に達している作品ばかり。会場はかなりの人込みで、キルトの注目ぶりがうかがえます。

また、「わたしの“手仕事”シリーズ」として、女優の秋野暢子さんや雅楽師の東儀秀樹さん、女優の安達祐実さんによるキルト作品も展示されたほか、さまざまな作家によるワークショップも開講されています。造り手によってさまざまな色や表現を持つキルトの世界を間近にみることができるとあって、連日大盛況のまま幕を閉じた第15回。第16回の開催は、2017年1月19日(木)〜25日(水)までの7日間を予定しています。

世界中の人が夢中になるキルトとはどのようなものか?

このように世界各国の人々が夢中になって取り組み、日本でも広がりを見せているキルトとは、どのようなものでしょうか。キルトは手編みや刺しゅうなどと並ぶ手芸のひとつで、またの名を「パッチワークキルト」といいます。一般的に表地(トップ・キルトトップ)と裏地の間に薄い綿を入れ、重ねた状態で指し縫い(キルティング)する手芸のことを呼んでいます。よくコートの裏地などで施されている加工なので、名前を聞いたことのある人は多いでしょう。発祥地については諸説ありますが、ヨーロッパの寒冷地で保温のために布地に綿をはさんだのが始まりといわれています。ヨーロッパ各地で、上流階級の女性の手芸として様々な技法が編み出され、受け継がれてきたキルトは、その後、清教徒の移民によってアメリカに伝わりました。

アメリカでは当初ベッドやソファーのカバーなどの実用品として使われ、やがて室内装飾のタペストリーなどに応用されるようになると、徐々に実用的なものから趣味のものへと変化していきます。これがアメリカから世界各地に伝わっていき、現在のように多様なキルトが生まれることになったゆえんです。ちなみにイギリス・スコットランドの男性が着ているスカート状の伝統衣装もキルトと呼ばれていますが、ここで紹介するキルトとは、全く別物です。

アメリカでは当時、少ない布片をつなぎ合わせてリサイクルとして活用されていました。その後、生活が豊かになっていくうちに、手縫いで作るハンドキルトは姿を消していきますが、アメリカ建国200周年を迎えた1970年代には、アメリカ独特の文化として注目されるようになります。その後は今に至るまで、パッチワークキルトはアメリカで親しまれ続けているのです。
キルトと聞くと、ハワイアンキルトを思い浮かべる人も多いかもしれませんね。花や木、海の生き物をモチーフにしているハワイアンキルトは、それぞれに意味を持ちます。例えば「パンの木」というモチーフは、豊穣や繁栄を意味しています。ほかにも「プルメリア」は特に大切な人の幸せを祈るものとして、また身を守る象徴としても1針1針思いを込めて制作されます。そもそもハワイアンキルトとは、アメリカに伝わったパッチワークキルトが独自に発展したものでもあり、今でも継承されている文化なのです。一見難しそうですが、他のパッチワークキルトと同じように、初心者でも製作することができますよ。

愛用者が世界中にいるキルトの奥深い魅力について

手芸のひとつであるキルトは厳しいルールや難しい規則がなく、自分の好きな布地を組み合わせて作ることができる自由さが魅力の一つです。特にパッチワークは色や柄など様々な布片を組み合わせて作っていくので、100人いれば100通りのデザインやアイデアが生まれます。作る人の創作欲をかきたて、無限に楽しめるほか、制約がないからこそ意外性が生まれるのも魅力ですね。それが世界中にファンがいるという理由のひとつでしょう。

日本におけるキルトの人気について

自由で気軽に始めやすく、それでいて創造性の高さが魅力のキルト。日本ではどのような人がどのような楽しみ方をしているのかというと、キルトを楽しむにあたり、独創的なデザインやアイデア、予想外の発見は万国共通のため、思わぬ間違いによって、今までにない斬新なデザインを生み出したという人は多いようです。

さらに幅広い年齢層の方が楽しめるのもキルト人気の理由のひとつです。かつては主婦だけの趣味だったものが、最近では親子やご夫婦、またお孫さんと一緒に楽しんだりと、楽しみ方が変化してきています。まだ少数ですが、男性同士で楽しんでいる方も見受けられます。
もちろん一人で黙々と作ることもおすすめです。布片をつなげ、縫い合わすことは集中力を必要とします。没頭することで悩みや不安を忘れることもできるので、ストレス発散にも最適です。また、自分で作ったものは愛着がわくので、親子で、もしくはお孫さんと一緒に作業することで、子供やお孫さんに物を大事に扱う心を養ってもらう機会を作ることもできます。

最近は、海外のカラフルな布地だけでなく、日本の伝統的な染め物や織の布を用いたキルトも人気を博しています。特に藍布や浴衣地、手ぬぐいなどを使って、日本らしいキルトを制作する人も多いとか。布地を変えるだけで全く違う印象を持つキルトは、まさに個性の発揮場所なのかもしれませんね。

初心者から上級者まで、キルトには無限の楽しさがあります。その楽しさをあなたも味わってみてはいかがでしょうか。きっとあなたもキルトの魅力にはまるはずです。
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