ネアンデルタール人と共生?ホモ・サピエンスの最新研究事情
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はじめに
現代の私たち人間は、ホモ・サピエンス種に分類されます。
私たちホモ・サピエンスの他にも、さまざまな種類の人類が存在していました。
しかし、現在まで生き残っているのはホモ・サピエンスだけです。
ホモ・サピエンスの祖先が現れたのは約20万年前といわれています。
ホモ・サピエンスが出現する前は、ネアンデルタール人が約40万年前から存在していましたが、3万年前にホモ・サピエンスとの生存競争に敗れ、絶滅したと考えられています。
しかし、ここ十数年の遺伝子学研究が進んだことにより、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、生存競争の関係にあったのではなくて、共生していたという説が浮上しています。
そして、ネアンデルタール人の遺伝子が、現代の私たちの心身的な健康にも影響を及ぼしている可能性が出てきました。
私たちホモ・サピエンスの他にも、さまざまな種類の人類が存在していました。
しかし、現在まで生き残っているのはホモ・サピエンスだけです。
ホモ・サピエンスの祖先が現れたのは約20万年前といわれています。
ホモ・サピエンスが出現する前は、ネアンデルタール人が約40万年前から存在していましたが、3万年前にホモ・サピエンスとの生存競争に敗れ、絶滅したと考えられています。
しかし、ここ十数年の遺伝子学研究が進んだことにより、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは、生存競争の関係にあったのではなくて、共生していたという説が浮上しています。
そして、ネアンデルタール人の遺伝子が、現代の私たちの心身的な健康にも影響を及ぼしている可能性が出てきました。
ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の起源
ホモ・サピエンスとネアンデルタール人は共通の祖先を持ちます。
約60万年前にアフリカに出現したホモ・ハイデルベルゲンシスです。
ホモ・ハイデルベルゲンシスの一部がアフリカを出てヨーロッパへ向かいました。
そしてヨーロッパで進化し、約40万年前に誕生したのがネアンデルタール人だとされています。
一方で、アフリカに残留したホモ・ハイデルベルゲンシスは、アフリカで進化を遂げ、約20万年前にホモ・サピエンスが誕生します。
ホモ・サピエンスは約5万年前にアフリカを出てユーラシア大陸へ広がります。
そして約4万5千年前にヨーロッパに渡ると、そこにはすでにネアンデルタール人が存在し、数千年間は互いの生存圏が重なる時期がありました。
しかし、ネアンデルタール人は姿を消し、絶滅したと考えられています。
原因は氷河期という気候変動に対応できなかった、あるいはホモ・サピエンスの食料獲得における身体能力の優位性から駆逐されたとも言われています。
約60万年前にアフリカに出現したホモ・ハイデルベルゲンシスです。
ホモ・ハイデルベルゲンシスの一部がアフリカを出てヨーロッパへ向かいました。
そしてヨーロッパで進化し、約40万年前に誕生したのがネアンデルタール人だとされています。
一方で、アフリカに残留したホモ・ハイデルベルゲンシスは、アフリカで進化を遂げ、約20万年前にホモ・サピエンスが誕生します。
ホモ・サピエンスは約5万年前にアフリカを出てユーラシア大陸へ広がります。
そして約4万5千年前にヨーロッパに渡ると、そこにはすでにネアンデルタール人が存在し、数千年間は互いの生存圏が重なる時期がありました。
しかし、ネアンデルタール人は姿を消し、絶滅したと考えられています。
原因は氷河期という気候変動に対応できなかった、あるいはホモ・サピエンスの食料獲得における身体能力の優位性から駆逐されたとも言われています。
ネアンデルタール人とホモ・サピエンスは共生していた?
こうして、従来では、ネアンデルタール人はホモ・サピエンスとの生存競争に敗れて絶滅したという見解が一般的でした。
しかし、ここ十数年の化石人類の発見と遺伝子学研究の進展により、どうやら両者の間には、共生と混血が生じていたという可能性が浮上しました。
ある研究チームが2012年に出した発表では、ネアンデルタール人の遺伝子を解析したところ、現生人類の遺伝子には、ネアンデルタール人のDNAが1~4%含まれていることがわかりました。
ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の遺伝子は、別種と考えられるほどの違いがあります。
そのため、これまでネアンデルタール人とホモ・サピエンスの混血は不可能であると考えられてきたのです。
ネアンデルタール人は従来、荒々しく原始的な生活をしていたといわれてきました。
しかし、彼らは火も使えば、死者も埋葬し、思慮深い一面も持っていたということが分かっています。
脳の容量でいけば、ネアンデルタール人のほうが大きいものの、ホモ・サピエンスとの体格の差にさほど大きな違いは見られません。
しいて言えば、ネアンデルタール人のほうが顔のつくりが猿人寄りで、体つきもズングリしていることと、脳機能と思考の様式が異なっていたことです。
一方で、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の身体的な成長については激論が交わされてきました。ネアンデルタール人はホモ・サピエンス、つまり私たちと同じようにゆっくりとした速さで成熟していったのか、それともゴリラなどの霊長類のように早く成長したのか、ということです。
この議論についても、ネアンデルタール人の子どもの化石を調査した結果、個体の差はあるが、少なくともホモ・サピエンスと同じぐらいの速度で成長していたのではないかという可能性が出ています。
このようなことから、ここ十数年における人類学の研究では、両者の間には共生と混血があったと広く認識されています。
もちろん、現代人の遺伝子にあったネアンデルタール人の遺伝子は、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の祖先であるホモ・ハイデルベルゲンシスの遺伝子が残ったものでないかという反論もあります。
しかし、ここ十数年の化石人類の発見と遺伝子学研究の進展により、どうやら両者の間には、共生と混血が生じていたという可能性が浮上しました。
ある研究チームが2012年に出した発表では、ネアンデルタール人の遺伝子を解析したところ、現生人類の遺伝子には、ネアンデルタール人のDNAが1~4%含まれていることがわかりました。
ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の遺伝子は、別種と考えられるほどの違いがあります。
そのため、これまでネアンデルタール人とホモ・サピエンスの混血は不可能であると考えられてきたのです。
ネアンデルタール人は従来、荒々しく原始的な生活をしていたといわれてきました。
しかし、彼らは火も使えば、死者も埋葬し、思慮深い一面も持っていたということが分かっています。
脳の容量でいけば、ネアンデルタール人のほうが大きいものの、ホモ・サピエンスとの体格の差にさほど大きな違いは見られません。
しいて言えば、ネアンデルタール人のほうが顔のつくりが猿人寄りで、体つきもズングリしていることと、脳機能と思考の様式が異なっていたことです。
一方で、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の身体的な成長については激論が交わされてきました。ネアンデルタール人はホモ・サピエンス、つまり私たちと同じようにゆっくりとした速さで成熟していったのか、それともゴリラなどの霊長類のように早く成長したのか、ということです。
この議論についても、ネアンデルタール人の子どもの化石を調査した結果、個体の差はあるが、少なくともホモ・サピエンスと同じぐらいの速度で成長していたのではないかという可能性が出ています。
このようなことから、ここ十数年における人類学の研究では、両者の間には共生と混血があったと広く認識されています。
もちろん、現代人の遺伝子にあったネアンデルタール人の遺伝子は、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人の祖先であるホモ・ハイデルベルゲンシスの遺伝子が残ったものでないかという反論もあります。
ネアンデルタール人のゲノム解析に成功
人類史研究で有名なドイツのマックス・プランク研究所は、2017年にクロアチアの洞窟ヴィンディアで発掘された女性のネアンデルタール人の化石から、全ゲノムを解析したという研究を発表しました。
ネアンデルタール人のゲノムを解析したのは2例目となります。
研究では、ユーラシア系の祖先を持つ人々の1.8~2.6%の遺伝子がネアンデルタール人のものに由来していることがわかりました。
さらに、ヴィンディアの洞窟から発掘されたネアンデルタール人の一部の遺伝子領域が、一部の現代人の遺伝子内の健康問題に関わる部分と一致していることも明らかとなりました。
ネアンデルタール人のゲノムを解析したのは2例目となります。
研究では、ユーラシア系の祖先を持つ人々の1.8~2.6%の遺伝子がネアンデルタール人のものに由来していることがわかりました。
さらに、ヴィンディアの洞窟から発掘されたネアンデルタール人の一部の遺伝子領域が、一部の現代人の遺伝子内の健康問題に関わる部分と一致していることも明らかとなりました。
ネアンデルタール人の遺伝子が現代人の健康に影響?
マックス・プランク研究所は、発掘されたネアンデルタール人のDNAと比較し、欧州系の約2万8千人のDNAの中にネアンデルタール人とホモ・サピエンスの混血による変異があると発表しました。
そして該当する人々の病歴と、変異との関連があるか調査しました。
関連があるのは、血中コレステロール濃度や関節炎、統合失調症や摂食障害など現代の私たちを悩ませる病気です。
しかし、これらの病気の原因はネアンデルタール人にあるわけではありません。
あくまでも現段階では可能性があるというぐらいで、病気はあくまでもさまざまな因子が複雑に絡み合って引き起こされるものであることを覚えておかなければなりません。
研究チームは、さらにネアンデルタール人のDNAがホモ・サピエンスに与えた影響を明らかにするために研究を進めています。
そして該当する人々の病歴と、変異との関連があるか調査しました。
関連があるのは、血中コレステロール濃度や関節炎、統合失調症や摂食障害など現代の私たちを悩ませる病気です。
しかし、これらの病気の原因はネアンデルタール人にあるわけではありません。
あくまでも現段階では可能性があるというぐらいで、病気はあくまでもさまざまな因子が複雑に絡み合って引き起こされるものであることを覚えておかなければなりません。
研究チームは、さらにネアンデルタール人のDNAがホモ・サピエンスに与えた影響を明らかにするために研究を進めています。