ガーデニング

ゲッカビジンの一夜だけの艶やかな花を楽しむには

関連キーワード

月下美人ゲッカビジン)」は、夜に白い大きな薫り高い花を咲かせ、朝になるとしぼんでしまう常緑の多肉植物です。
ゲッカビジンサボテン科クジャクサボテン属に分類される、クジャクサボテンの野生種・原種のひとつですが、クジャクサボテンと育て方や性質が全く違うので、分けて考えるのが一般的です。
ゲッカビジンの名前の由来や花の魅力とともに、特徴や育て方のコツなどをご紹介していきましょう。

ゲッカビジンと昭和天皇

1923年、当時皇太子だった昭和天皇が台湾をご訪問されたとき、ゲッカビジンの花を見て、側にいた台湾の田総統に何という花か尋ねられたところ、「月下の美人です」と答えられたことから、「月下美人ゲッカビジン)」の名前が広く用いられるようになりました。

ゲッカビジンは夜中に花を咲かせますが、香りがとても強く、その香りから花が咲いていることがわかるので、「月来香(ゲツライコウ)」の別名があります。
ヨーロッパで香水の原料としても用いられています。

ゲッカビジンは、満月の夜や新月の夜に咲くから「月下美人ゲッカビジン)」という説もありますが、開花と月の満ち欠けは関係ありません。

ゲッカビジンの原生地はメキシコの熱帯雨林

ゲッカビジンは、メキシコを中心とした中南米が原産地の、樹高が1~3mにもなるサボテンの一種です。
ゲッカビジンは高温多湿の熱帯雨林のジャングルの中に自生していて、腐葉土や苔の層に根をおろしたり、木の幹に根を張り付かせながら、葉を下向きに垂らして生育しているので、「森林性着床サボテン類」に分類されています。
生息地からも、ゲッカビジンは、直射日光をあまり好まないことがよくわかります。

ゲッカビジンの葉には節があって、うねったようになっていますが、実際は、これれは葉ではなく茎が変化したもので、節のところにはサボテンの特徴である産毛のような「刺座(シザ)」がついていて、この産毛のような「刺」が葉の退化したものです。

ゲッカビジンの花は一年に一度だけ?

ゲッカビジンは、6~11月の、夏から秋にかけて、真っ白で透けるような薄い花びらが重なった、薫り高い大きな花を咲かせます。
ゲッカビジンの花径は12~13cmですが、周りの白い花冠まで含めると大きさが20~25cmにもなります。
香り高く大きな花が咲くのは、コウモリに受粉させるためと言われています。

月下美人の花は、午後9時頃に満開になり、午前0時にはしぼんでしまう、儚い花です。
満開の状態で、すぐ摘んで焼酎漬けにすると、満開のまま保存できます。

ゲッカビジンは「一年に一度しか咲かない」ともいわれますが、これは、大きな花をつけるにはエネルギーが多量に必要なため、生育状態が良くないと花をつけにくいためです。
状態がいい株は一年に3~4回花を咲かせ、状態が悪いと全く咲かない場合もあります。

肥料や水が多いと花を咲かせにくくなってしまうので、花を咲かせるには、肥料と水を控えめにする必要があります。

ゲッカビジンは寒さに弱い

ゲッカビジンは明るい場所でないと育たないわけではありませんが、日にしっかりあたった方が、花芽がつきやすくなり、冬でも10℃以上あるような環境が生育に望ましい花です。
5℃を下回ると枯れることもありますが、水やりを控えめにして乾燥気味に管理すると休眠状態になり、耐寒性があがって0℃でも枯れずに越冬することもできます。
10℃以上で管理すると、夏の開花が良くなるので、できれば10℃以上で越冬させるようにしましょう。

ただし、熱帯原産のゲッカビジンは、暑くても枯れませんが、暑すぎると成長が止まるので、暑いときにぐんぐん大きくなるわけではありません。

ゲッカビジンの育て方と管理方法

ゲッカビジンはある程度の高温は、生育が旺盛になりますが、多湿と多肥が苦手なので、水も肥料も控えめに管理しましょう。
全く水やりしない場合も枯れますが、水が多すぎるとてきめんに腐ってきます。
肥料をあげなくても元気に育ちますが、肥料が多すぎるとダメージを受けてしまうので、肥料は控えめにしましょう。
葉を茂らせたいとき以外は、窒素分が少なめの肥料を、4~10月まで与えるのがおすすめですが、量は少なめを心がけてください。

11~4月までは明るい室内の窓辺に置き、5~6月は多少葉やけしても明るい日向に置くようにすると、花芽がよく付きます。
梅雨の間は雨に当たらないようにしましょう。
梅雨明けから9月中旬頃には風通しの良い半日陰に置いて直射日光をさけ、9月中旬~10月は再び明るい日向に置いてよく日に当てます。

5~10月は、表面の土が乾いたらたっぷりと水やりし、11~4月は、より乾燥気味に管理するようにします。

国内に古くからあるゲッカビジンは同じクローン株

日本国内に古くからあるゲッカビジンは、メキシコから持ち込まれた同じ株から、挿し木と株分けで増やしてきたもので、いわば「クローン株」なので、他家受粉のゲッカビジンは、受粉作業を行っても実が付きませんでした。

最近新たに「食用月下美人」が流通するようになりましたが、これは国内で流通していたゲッカビジンと異なる遺伝子を持つクローン株が輸入されたものです。

ゲッカビジンは花も実も茎も古くから食用にされてきました。
ゲッカビジンの実は、白い果肉で種が多いのですが、甘みがあっておいしく、生食も可能です。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

植物を探す

花の名前
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ