ガーデニング

デンドロビウムの種類とデンドロビウム・ノビル系の育て方

関連キーワード

デンドロビウム(デンドロビューム)」は、熱帯・亜熱帯のアジア・オセアニアに約1200種類が自生しているで、種によって姿かたちも花もバラエティーに飛んでいます。
デンドロビウムは木や岩などに根を張り付かせて育つ「着生」です。
デンドロビウムは、元となった原種名から分類がされていて、「ノビル系」、「デンファーレ系」、「フォーモサム系」「キンギアナム系」などに大きく分類されています。

デンドロビウムというとノビル系がメジャー

通常「デンドロビウム」というと、ノビル系のものをさしています。

デンファーレは、原種のデンドロビウム・ビギバムを元に作られていますが、日本ではデンドロビウムと分けて考えるのが一般的です。

フォーモサム系はデンドロビウム・フォーモサムを元に作られ、バルブに細かな黒い毛が生えているので、ブラックヘアータイプとも呼ばれています。
フォーモサム系では、交配種「フォーミブル」が一番多く流通しているので「フォーミブル系」と呼ばれることもあります。
フォーモサム系はバルブの上の方に花をつけますが、下の方に花を咲かせることはありません。

キンギアナム系はオーストラリア原産の原種デンドロビウム・ギンギアナムを元に作られ、根本が太く、上の方が細い硬いバルブに花を咲かせます。
香りの強い品種もあります。

デンドロビウム・ノビル系は寒さにも強い蘭

ノビル系のデンドロビウムは、太い茎「バルブ」が真っ直ぐに伸びて、艶と厚みのある葉を茎の左右に出し、バルブの節々から短い花茎を伸ばし、その先端に花を2~3輪ずつ咲かせます。

ノビル系のデンドロビウムは、株そのものが凍らない限り越冬できる、丈夫で耐寒性の高いです。
園芸店で開花株が出回るのは冬が多いのですが、通常の開花時期は春になってからです。

デンドロビウム・ノビル系の品種改良は日本がトップ

デンドロビウム・ノビル系は、デンドロビウムの原種の「ノビル」を元に作られたものなので「ノビル系」といいます。
ノビル系の品種改良は、現在日本がトップレベルで、新しい品種が次々と生み出されています。
日本原産の和「セッコク」との交配種も多く作られ、小型のものが増えています。
セッコクは長生とも呼ばれる、東北地方の岩場や崖にくっついて自生している、小型の着生です。

デンドロビウム・ノビル系の手入れ

デンドロビウム・ノビル系の花は、ランのほとんどに言えることですが、1つの花が約1ヶ月咲き続けるので、株としては長く花を楽しむことができます。

花が萎れてきたら、バルブについている茎からきっちり取り除きます。
茎がきちんと取り除かれていないと、その部分から根が伸びてきて、株が弱ってしまいます。

一度花芽がついた節の部分には、もう花は咲きませんが、次の新しい芽を株元から出し、まだ花芽を付けていない節に翌年花芽を出すために、バルブに栄養を蓄えていくので、花が終わってもバルブは切り取らずに育てていきます。

冬に開花株が出回るので、寒さにとても強いと思いがちですが、ランにしては強いだけなので、5℃以上で管理する必要があります。
通年明るい日の当たる場所で育てるようにしましょう。

デンドロビウム・ノビル系は春~秋まで屋外で管理する

デンドロビウム・ノビル系は、最低気温が10℃を超えてきたら、秋に気温が6℃前後になるまで屋外で管理しましょう。
春~秋にかけて屋外でおひさまによく当たることで丈夫でしっかりした株に育ちます。
晩秋に6℃前後の低温に1ヶ月近く当たることによって花芽ができてくるので、室内に取り込むのはギリギリまで待つようにします。
晩秋~春、気温が上がってくるまでは、室内の明るい窓辺で管理します。

暑くなってきてから急に室内管理していたデンドロビウムを外に出したり、日当たりがよすぎる場所で管理していると、葉やけしてしまうことがあります。
枯れた葉は戻らないので、明るい日陰に置き場所を替えて、葉やけしないように注意しましょう。

デンドロビウム・ノビル系の水やり

デンドロビウム・ノビル系は、水苔・バークチップ・ヤシガラチップなどに植え付けます。
植え付け資材をブレンドするのではなく、水苔なら水苔だけで植え付けます。
もともと植えられていた資材に合わせると上手く育てられます。

デンドロビウム・ノビル系の水やりは、植え付け資材が乾いてきたらたっぷりと水やりします。
植え付け資材の表面が乾いてから水やりしないと、過湿になって根腐れするので水のやりすぎには注意しましょう。
水苔が乾きすぎると、水を染み込ませにくくなってしまうので、何度も少しずつ水やりして、水苔全体にしっかりと水を含ませるようにします。

冬場は乾燥気味に管理したほうが、デンドロビウムがより寒さに耐えられるようになるので、植え付け資材が夏場以上に乾いてきてから水やりするようにします。

デンドロビウム・ノビル系の肥料は少なめに

デンドロビウムも他のラン同様、肥料をほとんど必要としません。
仮に全く肥料を与えなくても花を咲かせるので、肥料を与えすぎるよりは与えないほうが管理はしやすくなります。

デンドロビウム・ノビル系に肥料を与える場合は、3~7月の、新芽が伸び始める頃から夏までの間にします。
液体肥料を通常の1000倍に薄めた液体肥料を月1~2回与えるようにします。
着床ランは岩場などに張り付いて育っている植物なので、ほとんど肥料は必要としません。
肥料の与え過ぎはかえって生育を阻害するので、全く与えなくても育つことを念頭に、控えめに施肥していきましょう。

鉢の中が根でいっぱいになったら植え替えて

デンドロビウム・ノビル系の鉢の中が、根で一杯になってきたら、植替え・株分けをしましょう。
根を痛めないように気をつけながら、鉢を外して、傷んだ根や植え付け資材を取り除きましょう。
状態の良い植え付け資材はそのままにして、新しい植え付け資材を足して植え替えます。
植え替え・株分けは、4月ごろに行うようにしましょう。

バルブの節のところからでてきた芽「高芽」は、根のついた部分も含めてくり抜いて、水を含ませて固く絞った水苔ボールに根を拡げて乗せ、その周りも絞った水苔でくるんでポリポットに入れて育てます。

傷んだバルブは切り取りますが、状態のいい部分を挿し木に使うことができます。
花の咲いたあとのない節の部分を含めて切り取り、固く絞った水苔に挿すか乗せるかしておくと、節のところから芽や根が伸びてきます。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

デンドロビウムのバラエティ豊かな種類について知りたい!

デンドロビウム(ノビル系)は、美しい花で人気ですが、現在日本でたくさんの品種改良が行われていて、日本のデンドロビウム(ノビル系)は世界にも誇れるランとなっています。その日本のバラエティ豊かなデンドロビウム(ノビル系)の種類について少し詳しくご紹介したいと思います。

ノビル系以外にもたくさんの系統があるデンドロビウムです。原種でも1000種類以上あると言われています。その種類について見ていきます。

デンドロビウム(ノビル系)とは

ラン科のデンドロビウム(ノビル系)は、ネパール、インド東北部、ブータン、ミャンマーなどが原産地です。
茎の節についた短い柄の先に花が少しずつ付くのが、特徴です。ランは、耐寒性がないのですが、デンドロビウム(ノビル系)は耐寒性が割とあり初心者でも育てやすいランとなっています。ただし、最低気温7度以上には保つのがおすすめです。温室で育てられたものを私たちは購入して育てますので、育てる際には寒さ対策もすることが必要です。

バラエティ豊かなデンドロビウム!

そのデンドロビウム(ノビル系)は、花色が白、ピンク、オレンジ、黄、緑、複色などカラフルな色が揃っています。丈も20cm~60cmとなっていて、大きく育つものもあります。

デンドロビウム(ノビル系)は、原種である「ノビル」がもとになって、様々に開発されたもので、これらをノビル系と言います。日本では最近、日本原産の「セッコク」と交雑した小型のノビル系も多く作っています。小さなノビル系ならば、部屋の中で育てやすいという人も多いでしょう。

ノビル系の交配種の原種となった「デンドロビウム ノビル」は、インド、ヒマラヤ原産で、明るい赤紫色の花を節ごとに咲かせます。そして、「ハマナ・レイク ドリーム」などは、少し小型の品種として作られています。濃い赤紫の花をたくさん咲かせる春咲きの品種です。「セカンド・ラブ ときめき」は、薄いピンク色が魅力の白系の中輪の花を咲かせます。こちらもたくさん花が咲くのが魅力です。

オレンジ色の花が人気のデンドロビウム、「オリエンタル・スマイル ファンタジー」も作られ、明るくて美しい花が人気となっています。「イエロー・ソング レモン・ケーキ」などといった品種もあり、きれいなレモンイエローをしています。リップだけが少し濃くなって濃淡があってきれいな品種です。

「ノビル系」以外のデンドロビウムもいろいろ

「ノビル系」だけでなく、デンドロビウムには他の系統もいろいろあります。オーストラリアに自生しているのが「キングアナム系」で、小型のデンドロビウムの原種となるものです。花の形が「バルブ」と言われる茎の部分が異なって細いのが特徴です。花の色もたくさんの色が増えてきています。「キングアナム」や「シルコッキー」などは、耐寒性があり、戸外でも育てられ、初心者でも育てやすいのが魅力です。

「デンファレ系」もオセアニアの原種を元に改良されてきていますが、耐寒性は弱いものが多くあります。「デンファレ」は有名なデンドロビウムですよね。茎の先端から、長い穂のような花序を伸ばして咲き、「デンドロビウム・ファレノプシス系」の略として「デンファレ系」と呼ばれています。

原種は、ニューギニア、ボルネオ、オーストラリア北部などの熱帯性湿地でしたが、交雑によって改良されて育てやすいものも出てきています。熱帯でない、寒暖差の少ない地域でも花を咲かせられるようになり、人気が出ています。ただ、やはり耐寒性が弱い点があり、15度以下になると厳しくなり、冬は室内で育てる必要がありますので注意も必要です。

他にも、タイ、ミャンマーの原種を元にした系統で、たくさんの花が咲き、花色も多い「カリスタ系」などが存在しています。「フォーサム系」は、インドからタイの高地などを原産地にした原種から品種改良がされたものです。高温を好む品種と暑さが苦手な品種など、いろいろな品種があります。デンドロビウムとしては珍しい青紫色の花が咲く、品種も揃っています。

多種多彩やデンドロビウムを鉢で育てるのもおすすめ

こうして見てきますと、いろいろな原産地ごとに、様々な系統のものがデンドロビウムにはあります。耐寒性についても弱い品種とある程度なら大丈夫な品種がありますので、確認して育ててみるといいでしょう。最近では、いろいろな系統で品種改良が行われ、耐寒性についても強いものが作られてきていますので、それらを選ぶのもいい方法でしょう。

東南アジアが原産地でしたが、今では世界各地で愛されているデンドロビウムです。様々な種類とそれぞれの育て方があるために、鉢でたくさんの種類を育てている人も多くいます。まずは耐寒性のある品種や小さな丈のものなどを選ぶなどして、デンビロビウムの美しい花の魅力を楽しんでみましょう。きっとまた、その後もいろいろな種類のデンビロビウムを育ててみたくなるでしょう。

植物を探す

花の名前
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ