ガーデニング

初心者でもできる胡蝶蘭の育て方

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豪華な胡蝶鉢植えをもらうのはとても嬉しいことですが、「育てられない!」と思う方が多いものです。
開店祝いや新築祝い、母の日の贈り物などに胡蝶を贈ると、とても喜ばれますが、その後、何年もその胡蝶が育っていくと考える人は、贈る側も贈られる側もあまりいません。

実際は、胡蝶は開花期間が何ヶ月も続くほど長く、管理方法を間違えなければ誰でも簡単に育てていくことができる植物です。
初めて胡蝶を育てる人でも長く栽培していくことができる、胡蝶の育て方・管理方法をご紹介しましょう。

豪華なラッピングを取り除く

胡蝶の鉢の周りには、豪華なラッピングがなされていることがほとんどです。
このまま育てていきたいと思うものですが、豪華なラッピングがついたままでは、鉢の中の様子が全くわかりません。
栽培に失敗しやすくなるので、胡蝶が手に入ったら、まずは豪華なラッピングを外してしまいましょう。

店頭を飾る場合など、どうしてもラッピングを残したい場合、まずは一度外してから、鉢底穴をラッピングが覆ってしまわないように、切り抜いたり、うまく折り込んだりして、つけ直すようにしてください。

株の周りを覆っている水苔を取り除く

ラッピングを外し終わったら、次に行うのは、胡蝶の株の周りの水苔を、指でつまんで取り除く作業です。
一番上に敷き詰められている水苔は、鉢の中が見えないように隠す目的の、化粧用の水苔です。

化粧用の水苔を取り除いておくことで、株元ではないところに水をやってしまうことが防げ、根の状態を簡単に確認できるようになります。
化粧用の水苔は、良質のものが使われているので、ビニール袋に入れてとっておくと、後の胡蝶のメンテナンスのときに使えます。

胡蝶蘭は狭っ苦しいところが好き

化粧用の水苔を外すと、豪華な鉢の中に、直径10cmくらいの小さなポリポットに入った胡蝶が2~3株、発泡スチロールの破片などで動かないように固定されて入っているのがわかります。

胡蝶は狭っ苦しいポリポットサイズの場所で育てられるのを好みます。
胡蝶をポリポットから出して、大きな豪華な陶器の鉢に水苔を敷き詰めて育てようとすると、てきめんに枯れてしまうので、ポリポットから出さないようにしましょう。

一株ずつ分けて育てたい場合は、ポリポットがちょうど入るくらいの素焼きの鉢に、ポリポットごと入れて育てるのがおすすめです。
ポリポットサイズの小さな素焼きの鉢を使うと、胡蝶の苗をポリポットから出して直接素焼きの鉢に入れて育てることもできますが、鉢から出してメンテナンスすることが難しくなるのでおすすめではありません。
胡蝶は樹木や岩などに張り付いて育つ性質があるので、素焼き鉢にそのまま入れると、根が鉢に張り付いて取れなくなり、根の状態を確認するためには、根を切るか鉢を割るしかなくなってしまいます。
胡蝶を素焼きの小さな鉢で育てるときも、ポリポットから出さないで、ポリポットごと入れて育てる方が管理も容易になります。

気になるときは根の状態を確認する

胡蝶の調子が悪いときは、ポリポットから株を取り出して、根の状態を確認します。
水苔が汚くなっている場合は、新しい水苔に取り替えると元気になることもあります。

新しい水苔に水を含ませたらギュッと絞ってこぶし大の水苔ボールを作り、水苔ボールに胡蝶の根を広げながらかぶせ、その周りも絞った水苔で覆ってから、ポリポットに詰め直します。

水苔が常時湿りっぱなしのときは、根の状態が悪くなって、腐ったような根やスカスカの根になることがあります。

プロが手塩にかけて育てた胡蝶は、花がなくなったような見切り苗であっても、店頭で根の状態まで悪くなっていることはまずありません。
そのため、購入後すぐに根を確認する必要に迫られることは考えにくいのですが、育てているうちに元気が無くなってきたときは、根の状態を確認するのがおすすめです。

根が腐ったりスカスカになっていたら、その部分を取り除いて、水苔が汚くなければ同じ水苔で、汚ければ新しい水苔で、植え替えます。

胡蝶蘭は直射日光が嫌い

胡蝶は、原生地の熱帯ジャングルでは、生い茂った大木の下に張り付く「着床」をして育ちます。
熱帯ジャングルは気温や湿度が高く、風通しの良い明るめの場所ですが、樹木が生い茂っているので直射日光は当たりません。
したがって、胡蝶を強い真夏の直射日光に当てるのは、適切ではなく、大きな木の下のような、柔らかな日差しの当たる風通しの良い場所が、最もふさわしいことがわかります。

購入したばかりの胡蝶は、温室育ちのデリケートなものが多いので、強い日差しを浴びると、てきめんに葉焼けして枯れてしまうこともあります。
春と秋は、遮光しなくても屋外で栽培することも可能ですが、温室育ちのデリケートな胡蝶を急に明るいところに出すと逆にダメージになりかねません。

はじめて胡蝶を屋外に出すのであれば、春、気温が安定してきた頃に、室内の明るい窓辺から、徐々により明るい場所に移していきましょう。
1週間毎により明るいところに置き換えるように、ゆっくりと慣らしていきます。
日差しが強くなってきたら、遮光ネットの下に置くか、室内の明るい窓辺に置場所を替え、涼しい秋が来るのを待ちましょう。

夏以降は、はじめて屋外に出すのには適した条件ではないので、屋外には出さないで室内の明るい窓辺で管理し続け、次の春になるのを待つようにしましょう。

胡蝶の生育適温は25~15℃なので、この条件に当てはまる場所が維持できるかどうかもポイントです。
冬季も、できれば15℃前後に温度を維持する必要があります。
屋外栽培には適さないので、明るい室内に置場所を変えるようにしましょう。
エアコンや暖房に近すぎない場所で、夜も温度が下がりにくいところで管理しましょう。

胡蝶蘭の肥料と水

胡蝶は、多肥を好まない植物です。
開花期間は追肥の必要がありません。
葉を育てるために、花のない時期なら肥料を与えることができますが、施肥するときは、液体肥料を時々、通常の100倍以上に薄めて施肥しましょう。
逆に、全く肥料を与えなくても、葉がしっかりしていれば花を咲かせます。

胡蝶の水やりは、水苔が乾いてきたら、株元から水をジャーっと水苔にかけて与えます。
水苔が常時湿っていると根腐れしやすいので、水苔の表面が乾いてから水やりしましょう。

水苔が完全に乾いてしまっても、葉っぱが水を貯めているのですぐには枯れません。
しかし、水苔が完全に乾いてしまうと、さっと水をかけても水を含みにくくなってしまうので、数回に分けて水やりして、水苔全体に水を含ませるようにする必要があります。

胡蝶は葉っぱの付け根に水が貯まると、腐りやすいので、葉に水をかけないようにして、水が溜まったときはタオルの端などを当てて吸い上げます。

胡蝶の大きな葉は、ホコリやゴミが付きやすく、ハダニが付くことがあるので、時々濡らしたタオルで葉の両面を拭き取っておきましょう。

胡蝶蘭の花が終わったら

胡蝶の花茎についている花がなくなってしまったら、支え棒を外して、付け根から数えて4つ目くらいの、芽のぷくっと大きくなっているところの上で、茎を切り落とします。
切ったところの芽が大きくなって、新しい花芽がついていきます。
明るい窓辺に置き場所を替えて、葉っぱを育てて、株を充実させていきましょう。

葉っぱがシオシオ気味で元気がないときは、花茎の根本から切り落として、二番花を育てるのを諦め、葉っぱの生育に栄養を回すのがおすすめです。

胡蝶の花は気まぐれで、春に咲くこともあれば、年末に咲いたり、夏に咲いたりもします。
一度咲き始めると、数カ月は花が終わらないので、一株あるだけでも、とても長く花を楽しむことができます。

胡蝶は、花が咲いている間、あまり日当たりが良くない場所でも問題なく育ちます。
開花期間の胡蝶の置場所は、日当たりよりも、飾りたい場所かどうかを優先できます。
花のない時期は、葉っぱを元気に育てることで、良い花を咲かせることができるようになるので、なるべく日当たりの良い、明るい窓辺に置場所を替えましょう。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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