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食虫植物「ウツボカズラ」の魅力と育て方

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ウツボカズラは、壺の中に落ちた虫を消化液で溶かして吸収してしまう、ユニークな生体と姿形が面白い、熱帯地方が原産の食虫植物です。
捕虫袋が、矢を入れる「靭(ウツボ)」に似ている「つる植物=葛(カズラ)」なので、「ウツボカズラ」という和名がついています。
学名「Nepenthes(ネペンテス)」の名前で流通していることもあります。

ウツボカズラは、主な原生地が熱帯の植物なので、原生地と日本の気候が大きく違うこともあって、育てるのが難しい植物の一つです。

ウツボカズラの性質や魅力とともに、上手に育てるコツをご紹介していきましょう。

ウツボカズラは熱帯のジャングル以外にも

ウツボカズラは東南アジアを中心とした、赤道近くの熱帯に主に自生しているツル性の食虫植物です。
樹木などにツルを絡めて成長していきますが、大きなものでは15mもの長さのつるになります。

ウツボカズラは、世界中で約100種類が見つかっていますが、高温多湿の明るめのジャングル周辺が原生地のものが最もポピュラーです。
夜は冷え込む3000m級の高山地帯や、乾燥した砂漠地帯が原生地のウツボカズラも見つかっていますが、流通量が少ないため、入手困難です。

日本国内では、低地~1500m級の山岳地帯に分布しているウツボカズラが、日本の環境に近いので育てやすいため、園芸店などでもよく扱われています。

ウツボカズラの捕虫袋は葉っぱの先端にできる

ウツボカズラは、葉っぱの先端の細いところがだんだん伸びていき、伸ばした先がやがて大きくなってきて捕虫袋へと変化していきます。
その様子が面白くて、葉っぱの先端をいじってばかりいると、捕虫袋ができにくくなってしまいます。

捕虫袋には水が入り込みにくいように蓋がついていますが、蓋の裏側に虫を引き寄せる物質を出す蜜腺がついています。
蜜を舐めると虫は酔っ払ったようにふらつき、袋の入り口の「えり」は滑りやすくなっているので、袋に虫が落ちてしまいます。
袋の内側は滑りやすく、えりの部分が外に出にくい構造を作っているので、でられない虫はやがて袋の中の消化液で溺れ、消化液の強酸によって分解されて養分になっていきます。

ウツボカズラは15~35℃の環境に

一口にウツボカズラといっても、原生地が高温多湿地帯のもの、高温乾燥地帯のもの、冷涼多湿地帯のものに分かれるため、それぞれの原生地に合わせた管理が必要になります。
一般的に園芸店で出回っているのは、高温乾燥地帯のものが多く、次いで高温多湿地帯のものが多くなります。

したがって、希少種を購入したのではない限り、15℃以上の環境で育てるのがおすすめです。
とはいえ、ウツボカズラは35℃を超える高温は得意ではないので、真夏の気温の上がりすぎにも注意しましょう。

ウツボカズラは底面給水か水苔栽培に

購入してきたウツボカズラは土に植えられていることが多いのですが、水苔で栽培したほうが管理しやすくなります。
土に植えられているウツボカズラ水苔栽培に切り替える場合は、ポットを外して土を手でできるだけ落とした後、根をきれいに水洗いし、水を含ませて絞った水苔ボールを作り、水苔ボールを包むようにウツボカズラの根を広げたものを、鉢やポリポットに入れて育てます。

土でそのまま栽培する場合は、鉢底に水を貯める底面給水で管理するほうが管理しやすくなります。
ウツボカズラの植え替えの時期は、1~2年ごとが目安ですが、水苔が汚くなってきたら、植え替えの適期と考えましょう。

ウツボカズラの水管理

ウツボカズラは、室内の日当たりのいい場所において、水苔で栽培している場合は、水苔が乾き気味になってきたら水苔にざっと水やりするようにしましょう。
高温多湿の環境で生息しているウツボカズラであっても、湿地で生息しているわけではないので、常に水浸しの状態では根腐れしてしまいます。

底面給水にして土で栽培しているウツボカズラは、基本的には鉢皿の水が切れないように気をつけて、鉢皿に水を入れておけばよいのですが、時々土の上から水を与えて、土の中の老廃物を洗い流すようにしましょう。

ウツボカズラが冬の寒さで弱っているときは、休眠気味のために根があまり水を吸わなくなっているので、水苔への水やり頻度は、春~秋にかけてよりも間隔を長く取って、乾き気味に管理しましょう。
土で栽培する場合も、底面給水はやめて、表面の土が乾いてきたら水やりするようにします。

ウツボカズラは葉っぱと壺へ水やりを

ウツボカズラは、上から水をサーッとかけたり、霧吹きで水をかけたりする葉水を好みます。
また、捕虫袋の中の水が減ると、捕虫袋が破れやすいので、捕虫袋の中の水が1/3位になるよう、水や液体肥料を入れましょう。
葉水は水苔に与える水とは別に考えて、通年毎日与えても問題ありません。

ウツボカズラは多肥を好まないので、元気が無いときは、植え込み資材の上に緩効性化成肥料をおいたり、液体肥料を与えたりするより、薄めた液体肥料を少量捕虫袋に入れてあげたほうが元気になります。

しかし、ウツボカズラ肥料を与えすぎると、捕虫袋をつけなくなるので、肥料はなるべく与えないようにして、肥料の与えすぎに注意しましょう。
捕虫袋の中にせっせと虫を入れても入れすぎになり、元気がなくなります。

ウツボカズラはよく吊り下げて売られていますが、背の高い鉢に植えたり、台の上に置くなどして、捕虫袋が床面につかないようにすれば、吊り下げなくても育てられます。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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