スイーツ

生の感動を味わえる落雁の世界! 食べるだけでない感じる奥深さ

関連キーワード

最近、和菓子の「落雁」を食べていますか?見たり聞いたりしたことはあるけれど、毎日のように食べるものではないな、という人も多いかもしれませんね。
お盆のときのお供えや、結婚式の引き菓子などでお目にかかることのある落雁。その名前の由来や知られざる歴史について、ちょっとのぞいてみませんか?

「落雁」の歴史と名前の由来

落雁の歴史は古く、もともとは中国(明の時代)から製法が伝わった「軟落甘」という菓子が起源と言われています。日本では茶席の菓子として用いられることが多く、記録では江戸時代の徳川三代将軍・家光公の時代に初めて登場したとされているようです。
「落雁」という名前の由来には諸説ありますが、一説によれば、中国から伝わった「軟落甘」が転じて「落甘」、「らくがん」となったとされています。
江戸時代よりお茶の席やお供えものとして親しまれてきた落雁ですが、庶民が気軽に口にできるようになったのは、もう少し後のようです。

落雁はこうして作られる

落雁の主な材料は、粉糖と米粉です。これらに水分や水あめなどを加えて混ぜ合わせ、型に入れて抜き、乾燥させて仕上げます。
非常にシンプルな材料だからこそ、使う素材やちょっとした配合によって仕上がりが変わってきてしまいます。誤魔化しが一切効かない、職人さんの腕が試される和菓子です。

また、米粉といってもさまざまな種類があり、寒梅粉、落雁粉、味甚粉、上南粉、粉糖も、一般的な上白糖のほか、キビ砂糖などを用いる場合もありますが、老舗和菓子店で使われる粉糖といえば、やはり「和三盆」です。

高級落雁に欠かせない、和三盆糖の魅力

和三盆糖は、非常に粒子が細かく、さらっとした淡い口どけが特徴の高級品です。原料は竹糖と呼ばれるサトウキビで、徳島県や香川県などの一部で主に生産されています。両者を区別するために、徳島県産は「阿波三盆」、香川県産は「讃岐三盆」などと呼ばれているんだとか。
和三盆糖は、盆の上で三度にわたり研ぐ、ということからその名が付いたとも言われていますが、詳細についてはよく分かっていません。
「研ぎ」とは、サトウキビの汁を煮詰めて冷まし、結晶化したものを荒がけしたのち、和糖蜜分を搾り取るための工程のこと。和三盆糖の製糖工程独特のもので、麻袋に入れた砂糖を盆の上に載せ、職人が手で圧をかけながら搾り取っていく作業です。
これを数回繰り返し、サトウキビの風味を生かしつつ製糖することで、和三盆独特の味わいがうまれるのです。
和三盆は、非常に手間暇かけて作られているんですね。

落雁を形づくる、美しい木型たち

落雁を成型するにあたり欠かせないのが、繊細で美しい木型です。最近では安価な陶器製やシリコン製のものが売られていますが、伝統的には仕上がりの形をイメージしながら木型を彫り、丁寧に使っていました。

落雁を美しく仕上げるためには、木型の彫りと型離れが重要です。老舗の和菓子店では、代々受け継がれている木型をメンテナンスしながら大切に使っています。こういったメンテナンスや、新たに木型を手彫りで作ることのできる職人さんも減ってきているようです。
伝統の落雁の味を守るためにも、それを支えてくれる木型職人さんたちも技を受け継いでいってほしいですね。

本格的な落雁を作ってみたい!

落雁は、専用の米粉や和三盆などの材料と型が手に入れば、自分で作ることができます。しかし、本格的に材料や道具をすべて自分で揃えて作るというのはなかなか難しいものですよね。そこで、本格的な落雁を作ることのできる場所をご紹介します!

○森八の落雁手作り体験

金沢にある老舗和菓子店・森八。日本三大銘菓のひとつ「長生殿」を生み出した、由緒ある和菓子店です。
ここでは、前日の15時までに予約すれば、だれでも落雁づくりを体験することができます。自分で作った落雁は、お抹茶とともにいただきます。また、残った落雁は小箱に入れてくれるので、お土産にもぴったりです。
また、森八には菓子木型のミュージアムもあります。自分で落雁を作った後に、菓子作りに欠かせない木型をじっくり鑑賞してみると、より和菓子作りへのモチベーションが高まるかもしれません。

・店舗情報
住所:石川県金沢市大手町10-15
営業時間:9:00~18:30(1月・2月のみ9:00~18:00)
定休日:無休(1月1日・2日除く)
電話:076-262-6251
体験料金:1296円(税込)
※体験料、お抹茶、おみやげ用小箱、金沢菓子木型美術館含む
http://www.morihachi.co.jp/honten_rakugan

木型職人さんの手仕事を見たい!

菓子木型は、落雁の仕上がりを左右する大切な道具です。今や手彫りで本格的な菓子木型を作ることのできる職人さんは、かなり減ってきているようです。そんな職人さんの手仕事を実際に見ることのできるお店が、東京のかっぱ橋道具街にありました。

○馬嶋屋菓子道具店

この道60年以上の名工・大河原氏が手がける菓子木型は、とにかく美しく、精緻な仕上がり。店頭で手彫りの作業を見ることができます。押しながら回すという技法を会得するまでに何年もかかるという職人技を、ぜひ目の前で確かめてみて。

・店舗情報
住所:東京都台東区西浅草2?5?4
営業時間:平日 9:30~17:30/日曜 10:00~17:00
定休日:祭日・お正月・お盆
電話:03-3844-3850
http://majimaya.com/

まとめ

落雁は江戸時代からお茶の席やお供え物として親しまれてきました。そんな落雁を作るための材料である和三盆糖や、道具である菓子木型は、どれも熟練の職人さんたちによって支えられています。
そんな彼らの手仕事を、現地に足を運んで確かめてみてください。きっと、和菓子に対する興味が、ぐっと深まるはずです。
  • Facebook
  • Twitter
  • hatena

    ▲ページトップ