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チューリップの球根について知っているようで知らないこと

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チューリップと言えば、誰もがチューリップのついては知っていると言ったイメージですが、実は意外と詳しいことについては知らないことも多いのではないでしょうか。

その一つに、元々のチューリップの自生地は砂漠のような場所であったことなど、意外なことではないでしょうか。

ここでは、チューリップの球根などについてもっと知ってみたいと思います。知っているようで知らないことをまとめてみました。

チューリップは砂漠のような水はけのいい所が好き!

チューリップは、水はけのいい土地を好む植物です。トルコや中央アジアなどの高地が実は原産地で、涼しい気候が好きな植物と言えます。逆に高温には弱く、日本の高温多湿の気候に強い品種も望まれている植物です。

冬の寒さには強いのですが、ベランダで育てる場合には冬の乾燥には注意が必要です。生育期の極端な乾燥には気をつけることも育てるポイントです。

そして、チューリップに関しての注意点をまとめると3つほどあります。涼しい場所で育てること、連作して同じ土では育てないこと、球根を浅く植えないことです。

球根は深く植える!

チューリップの球根は何故浅く植えないのでしょうか。実は浅く植えると、球根から出た根が下に伸びようとして球根を持ち上げてしまうからだと言われています。それほど根が伸びる力があるということですよね。

10月~11月上旬に球根を植えるのですが、その根をうまく充分に張ることで冬の寒さを越して春に美しいチューリップの花を咲かせることができます。しっかりとした根を張ることが春にチューリップの花を咲かせる条件です。寒さを経験して花を咲かせるようになります。

庭植えの場合は、球根2~3個分の深さに植え、鉢植えの場合は2cm程深く植えこむのがおすすめです。横に球根をいくつも植える場合は1~2個分の余裕があれば大丈夫です。根は横にはあまり伸びず深く伸びていくことがそこからわかりますね。

鉢植えの場合も、一杯詰めて植えていいことになります。チューリップはカラフルな色が多いことが人気の秘密でもありますので、沢山の色の球根を寄せ植えするのもいいですよね。

そして、球根を植えた場合に10月~11月上旬に植えた球根は実は1月ごろまで芽が出てこないということをしっかり理解しておくことです。この長い期間が心配ですが、きちんと根は土の中で伸びていますので、1月頃芽が出てひと安心します。そして、そこから葉が展開し、花茎が伸びて4月頃になると花開くといったことが一連のチューリップの成長過程と言えます。

茎や葉は枯れるまで切らない!

さて花が咲いて咲き終わったら茎から摘み取ってしまう方がいい植物もありますが、チューリップは、茎や葉を自然に枯れるまでそのままにしきます。花がら摘みとして、花が終わった花の元の部分、子房を折って取るだけで大丈夫な植物です。

子房をそのままにしておくと種ができて栄養がそこにいってしまいますので子房だけは取っておきます。実は種からも育てられるチューリップということを知っていましたか。種から育てると大きな球根になるまでに5年以上はかかってしまいますが、育てることはできます。

そして、子房の部分は折り取りますが、茎や葉は球根に栄養を蓄えるために切らないでおくことが大事です。葉は光合成をするのでよくわかりますが、茎の部分も光合成をしますので切らないでおくことが大切と言われます。

6月頃に葉が黄色く自然に枯れてきたら球根を掘りあげます。それまで見栄えは悪いのですが、あまり暑くならないようにしながら日光には当ててそのままにしておくことが大事です。

掘り上げた球根は小さなものが数個できていますので、根が分かれているものは一つずつ分けていきます。最初の親球と同じくらいの大きさがあれば来年また咲いてくれます。球根は陰干しして表面の土を落として、そして、ネットなどに入れて風通しのよい日陰で貯蔵しておきます。

球根への栄養を貯めたあと、夏のチューリップは休眠状態へ

ただ、ここでも注意をしなければいけないことが一つあって、関東地方より以南の暖かい地域では、花が終わって急に葉っぱが枯れてしまうことがあることです。急に気温が高くなる時期がやってくるために葉っぱが枯れてしまうということが起きます。

そうなると、花を咲かせた後の球根に次の栄養が行く前に葉っぱが枯れてしまうことになるのです。夏の暑さは苦手で休眠状態になるチューリップがあまりに早く休眠してしまえば次に備えることができなくなるのです。

球根は小さなままになってしまいます。掘り起こしてみて球根の状態が悪ければ購入したものを植えた方がいいことになることも知っておきましょう。休眠状態に入る前に、どれだけ球根を大きくできるかが大事だということになりますよね。

開花期間を長持ちさせる方法がある?

そうやってやっと咲いたチューリップが、きれいに咲いている期間が短いのは少し残念ですよね。そんなチューリップの花を長持ちさせる方法を最後に少しご紹介します。

せっかく育てて短期間で散ってしまわないように一工夫することができます。開花前に針でチューリップの花の根元部分を貫通させて傷つけます。こうすることでエチレンガスが発生し、花を長く保つことが出来ると言います。不思議ですよね。

逆に開花後にこれを行うと開いている時間が短くなってしまうのでそれも注意です。開く前にやるよう注意しましょう。こんな耳寄りな情報がありますので、庭や鉢で植えているチューリップ、そして切り花にしているチューリップでぜひ試してみませんか。

チューリップについては、球根についてだけでなく、他にも知らないことが意外といっぱいあります。私達に身近で人気のあるチューリップのことをもっと知ってみたくなりますね。

人を夢中にさせるチューリップは国をも動かした?

チューリップと言うと愛好家も多く、世界中で愛されているというイメージの花だと思います。歴史上もイギリスでは17世紀の「チューリップマニア」という熱狂的なチューリップ愛好家がいたくらいです。そんなチューリップの魅力って一体何なのでしょうか。
世界中に愛されるチューリップの魅力にいろいろな面からここでは迫ってみたいと思います。何故そんなにチューリップが人を惹きつけるのかについてゆっくり考えてみませんか。

まずはチューリップの歴史から

チューリップの原産地って知っていますか。実はオランダなどではなく、なんとトルコなんです。トルコは、チューリップが主力の輸出品です。海外へ輸出することで沢山の外貨を獲得しているとも言われている国です。
また、オランダはチューリップの国という美しい国のイメージもあって観光が成り立っているなど、古くから経済や観光にまで大きな影響を及ぼしたほど、チューリップには魅力があります。現在、チューリップを国花としているのはトルコ、オランダはもちろん、イラン、アフガニスタン、ハンガリーなど多くの国の国花に選ばれています。
そんなチューリップの歴史は古く、オスマン帝国でもてはやされた後に、ヨーロッパへは初めてオーストリアに伝わったと言われています。その後、チューリップを伝えた大使の友人がオランダへさらに伝え、そこでオランダのライデン植物園でとても評判になり、人気が出たという話です。その植物園での栽培の際には、何度もチューリップが盗まれ、嫌になるほどだったとも言われています。オランダでも「チューリップ狂時代」という時代が訪れたり、その後イギリスでも栽培され、両国に「チューリップマニア」というのができたりという、人や時代、国をも翻弄してきたチューリップの魅力です。

あなたもチューリップマニア!?

まずは、「チューリップ狂時代」って何?と言いたくなりますよね。「チューリップ・バブル」とも言われ、オランダで起こった世界最初の1637年のバブル経済事件と伝えられています。当時オスマン・トルコから輸入されたチューリップの球根に異常なほどの高値が付き、その値段が急に暴落したことによってバブルが崩落した経済事件です。やっぱりチューリップは国の経済をも動かしていましたね。
また、「チューリップマニア」というのは、そういった球根を買い集めるような熱狂的なファンのことを言います。イギリスではイングリッシュガーデンが有名ですが、今でもイングランドでは庭に必ずと言っていいほどチューリップを植えます。それも100球ほどのチューリップの球根を植えるためにそれでお金を使ってしまってチューリップ貧乏になるとさえ言われています。一人で100球も買えば、貧乏にもなったり、みんなが100球も買えば確かに経済も動いたりするかもしれませんよね。
 では、なぜチューリップにそんなに魅力を感じる人がいるのでしょう。それは、カラフルな色合いにあるとも言われています。シンプルな可愛らしい形の花ですが、とてもカラフルな色合いが一番の人気です。沢山の色や種類を一緒に植えて色を楽しみたくなるのがチューリップの魅力となっています。
ほとんどの色が揃っているチューリップにもまだない色が実はあります。それが青色でなのですが、そのうち青色が開発されたら、また経済が動くかもしれないとちょっと思ってしまいます。

オランダのチューリップ公園へ

チューリップで有名なオランダのリセには、東京ドーム7個分の大きさの圧巻のチューリップ公園があるのを知っていますか。700万株とも言われる世界最大の球根公園「キューケンホフ公園」は3月末~5月末に450万本のチューリップの花に覆われます。4月半ば位が一番満開の時期とも言われ、この頃にぜひ出掛けてみませんか。「マルチレベルプランティング」と言う植え方でその植え方にも工夫がなされ、早咲きと遅咲きの品種を組み合わせながら植えることでその時その時に咲き変わり、時によって異なった美しさのチューリップを長い期間楽しめるようになっています。
この植え方は自分の庭でも実行できそうですよね。いろいろな品種を植えて、長い間チューリップをその時々の景色で楽しむという素敵な植え方です。

日本のチューリップフェアにも行こう!

オランダだけではなく、日本でも沢山のチューリップの名所があります。ここでは2つだけご紹介しておきます。

毎年の地上絵が楽しみな富山県となみチューリップフェア

日本ではチューリップで有名な富山県では、4月下旬~5月初めまで行われる富山県砺波市のチューリップフェアでは大花壇でチューリップによる地上絵が描かれます。チューリップ20万本による人気の巨大地上絵です。描かれるテーマも異なりますので、毎年のファンもいて、五連水車や水上花壇で水に映るチューリップも楽しめます。色が沢山あるチューリップの楽しみ方として、こんなに絵を描くような楽しみ方もできるのは素敵ですね。

大自然の中のチューリップも素敵な上湧別チューリップ公園フェア

北海道にもラベンダーだけでなくチューリップ公園でも有名な所があります。オホーツク海沿岸、サロマ湖のやや内陸側の上湧別では「花と緑あふれる自然豊かなまち」として、チューリップの栽培がおこなわれています。ここでは、まさに大自然中で見る北海道らしいチューリップが見られます。5月1日からおよそ1ヵ月間、そこにある「上湧別チューリップ公園」でチューリップフェアが行われ、「金太郎」や「桃太郎」、「かぐや姫」、「白雪姫」など童話の主人公の名前のチューリップや本場オランダから直輸入の珍しい品種を含めて120品種120万本が咲き誇ります。畑からお好きなチューリップを直接球根ごと採取するチューリップ販売も楽しみですよ。

チューリップを綺麗に咲かせたい人へ!

こんな写真を見ていると、自分でもチューリップをきれいに咲かせてみたいと思ってきますよね。
ところが、チューリップが上手に咲かないということで悩む人もいるのではないでしょうか。そんな場合は、ぜひ世界的産地のオランダや日本での産地の新潟県や富山県などの産地の気候を考えてみるといいと思います。冬はしっかりと寒くて降水量が多く、日照は少ない場所などにチューリップは育っています。つまり、寒さには結構強くて大丈夫で、水分も多い場所が好きということになります。春までは日照もあまり必要がなかったり、寒さのために室内に入れるという心配もあまりしなくていいことが自然とわかってきます。
チューリップを上手く咲かせるコツはというと、秋に涼しくなったら球根を植え、冬は日陰の寒いところで乾燥しないようにすることが大事です。春になって3月頃から日の当たる戸外に置いてやることも大切で、そこでやっと春に花が咲きます。実はチューリップは5度以下を1か月以上経験しないと花が咲かないそうです。冬の寒さを越して春になったことを体験してチューリップは咲くのです。なるほど、咲かせるためのいろいろな条件が大事なのですね。

最後にチューリップの魅力をまとめると

さて、今回は、チューリップの魅力についてご紹介してきました。
沢山の色があることが一番の魅力とされているチューリップです。チューリップマニアと言う人がいる位、ヨーロッパでは多くの色の沢山の種類の球根を揃えて楽しんでいるというのが特徴的です。どれだけの種類を揃えることができたということや新しい品種を植えることに楽しみも覚えているようです。そんな魅力で人を惹きつけているチューリップ、地上絵とまでとは行きませんが、小さな絵を楽しむ事はできそうです。もし、それも難しい場合は、ぜひ絶景のチューリップフェアでも楽しんでみませんか。

チューリップとオランダの関係が不思議!

チューリップと言えば、オランダということをすぐに思い浮かべる人が多数ではないでしょうか。そんなチューリップとオランダの関係が実は少し不思議です。

あらためて両者の関係を探ってみました。チューリップの歴史はその美しさのために波乱とも言える歴史を持ったものです。歴史を知ることでチューリップの魅力をもう一度再確認できるのではないでしょうか。

チューリップの原産地はどこ?

まず、チューリップの原産地はどこかということですが、多くの人がオランダだと思っていることでしょう。実はトルコから中央アジアにかけてが原産地と言われています。もともとは、中国の西部のチベット地域に咲いていたものでトルコ民族によって中東から地中海沿岸に植えられたものとなっています。

チューリップよりも花弁が細長いチューリップでした。

チューリップはトルコではその名前を「ラーレ」と言い、赤い花を意味します。トルコで砂漠のような場所に実は自生していた植物です。なんだかオランダの自然豊かな場所で誕生したと言ったようなイメージからは程遠いものですよね。

また、もう一つの原産地として中央アジアにもチューリップは古くからあり、原種系が多く見られます。パミール高原から天山山脈にかけて約150種以上が当時自生していたそうです。原種は草丈が低く、花も小ぶりなチューリップでした。チューリップは、高原や平均標高が約5000mの山地にかけて咲く花だったのです。

そして、今ではチューリップの産地として有名になっているオランダに伝わったのは16世紀になってからで、それより以前に古くはオスマン帝国時代のトルコにチューリップが植えられていたということになります。正しく言えば、トルコがチューリップの原産地で、オランダが生産地と言った言い方をすればいいようですね。

また、チューリップと言う名前になった由来も不思議です。トルコからヨーロッパに伝来した際に「チュルバン(tulbend、ターバン)と言う言葉と通訳が聞き間違えて現在のチューリップと言う名前になったと言われています。本当のところは、間違いから生まれた名前ということになります。

当時、トルコではチューリップを自分の国の花として民族衣装のターバンやアクセサリーなどにチューリップを使っていたのでその辺の話から通訳の誤解が生まれたのでしょう。トルコ国内のトプカプ宮殿やモスクなどに貼られたタイルにはチューリップがたくさん描かれているそうです。

そして、ヨーロッパに伝わった当時は、チューリップは高価な高値の花としてまだ上流階級だけが楽しめる花だったと言われています。その後、そうした人気のチューリップを巡り、よく言われる「チューリップ狂時代」と呼ばれる時代となっていくのもそうした背景があるからです。「チューリップ・バブルの時代」とも言われるような時代を迎えます。

「チューリップ狂時代」はオランダだけでなく原産地トルコでも!

また、こうした時代は、オランダだけでなく、トルコでも同じような時代があったと言われます。1718~1730年頃、1300種以上のチューリップが存在したトルコでは、王様や首相がチューリップ園で宴会を開いてはその美しさを堪能していた時代でした。
当時、様々な物にチューリップが描かれています。チューリップに熱中した時代がどこの国でもあったということになります。

また実は、オランダに最初に伝わったチューリップが実はウイルス病にかかったチューリップだったことも伝えられています。ちょっと不思議な話です。病気で白字に赤のラインが入ったものなどが伝わっているのですが、それが新しい品種として受け留められたのです。病気のチューリップでさえ新しい魅力のチューリップとしても捉えられたのです。

こうして、それぞれの国で美しさを愛で、美の果てなき追求が行われたのがチューリップの歴史と言えます。チューリップは多くの国や地方団体などの象徴的な花として定められていることも多い花です。チューリップの栽培で有名になり、オランダのように国を挙げて観光地として有名になってきている所もある花です。

チューリップの魅力がどんなに大きなものであるかということはこうした歴史と今が物語っています。

花好きのオランダ人が広めたチューリップの魅力!

オランダにチューリップが入ってきてから、歴史的にも広くチューリップが普及していきます。今でもオランダでは広く栽培が行われ、品種改良も盛んです。チューリップの新しい美しさを求め、世界へそれを発信し、輸出している国がオランダです。オランダ人の花好きが世界へチューリップを広めていったと言ってもいいでしょう。

そして、日本にもそんなオランダ産のチューリップが多く出回っています。

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