ことわざ

破天荒の意味・使い方

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意味

今まで誰もなしえなかったことを初めて行うこと。
未開の地を切り開いて進むこと。

由来

中国の宋の時代の説話集である「北夢瑣言」に記載されています。

中国の唐の時代に唐が成立して100年以上経っても、中国中央南部の荊州から科挙の合格者が一人も出ないという時代がありました。科挙は中国で行われていた役人の試験で、現在の国家公務員試験のようなものです。中国で高い役職に就くためにはこの科挙に合格することが必須とされていました。それだけに合格するのは難しく、何度受けても落第し続けてそのうちにあきらめて世捨て人のようになってしまった人も数多くいます。有名な詩人などの中にも科挙に合格しなかったために詩を作りながら旅に出たという人もいたのです。

この科挙に100年もの間一人の合格者も出せなかった荊州のことを人々は「天荒」と呼びました。「天荒」とはもともとは「人の手が入っていない未開の地」という意味合いで、誰も優秀な人が出ない荊州のことを表現したものです。ちなみに荊州は三国志の時代などは優秀な人が怒涛のごとく現れた土地で有名でした。時代によっての違いが大きくでています。

そんな荊州にもついに劉蛻という人があらわれて科挙に合格しました。ここから「天荒」を「破る」ということで「破天荒」という言葉ができたとされているのです。

意味の変遷

この本来の意味合いからすると正しい使い方としてはスポーツで新記録を作る、誰も到達したことのない土地にたどり着く、といったときに使用されるものです。

しかし言葉の意味の認識度を調査する「国語に関する世論調査」ではおよそ65%の人が「豪快」「大胆」「型破り」「常識破り」という意味で使用しているというデータがでています。これは漢字のイメージから来ているのと、テレビなどで「常識破り」の意味で「破天荒」を使用しているために、広がってしまった誤用です。破天荒にそのような意味はありません。

そしてこの間違えた認識のために、誰かが新記録を樹立したり、素晴らしい業務を行ったときに「破天荒」という言葉を使うと、相手が馬鹿にされたと認識してしまうことがあるのです。自分が正しい意味を知っていても相手が間違えて認識しているとうまく伝わらないために注意が必要と言えるでしょう。

使用法、使用例

「おい、聞いたか?ついにあの選手世界大会で10連覇らしいぞ」
「まさに破天荒だな。もうこれほどの選手は二度と出てこないだろう」
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