ことわざ

蓼食う虫も好き好きの意味・使い方

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意味

人の好みはそれぞれであって、違いがあるということ。

由来

ここで言われている「蓼」とは「やなぎだて」のことと考えられています。この植物は香辛料としても使用されるもので、非常に辛い葉が特徴です。そのために虫でもほとんどこの葉を食べることはありません。

しかし中には好きこのんでこの「蓼」を食べる虫もいます。そこから「それぞれに違った好みがある」という意味で使用されるようになったのです。

一番古い例では古代ラテン語にその意味の言葉があるとされており、英語表現でも似たものが多くあります。
There is no accounting for tastes.
(人の好みは説明のしようがない)
Every man has his delight.
(それぞれがお気に召すままに)
Tastes differ.
(人の趣味は異なる)
といったもので、「それぞれに好みがある」ということを示しています。

意味の変遷

現在使用される際には使用法がある程度決まっています。
例えば絶世の美女で性格も良く、誰からも好かれている人気の女性が、あまり風貌がさえない男性を選んで結婚したとします。このように多数の人が「なぜ?」と思うようなときに、「蓼食う虫も好き好き」と使用するのです。美女がハンサムを選んだりしてもそれは自然なこととして評価されるために「蓼食う虫も好き好き」とは言われないでしょう。

このように「それぞれに好みがある」という意味ではありますが、その使用法としては周囲が疑問をもつような判断をした人に対して使われることが多く、概して否定的な意味で使用することが多いことわざでもあります。ほとんどが「悪趣味」の人に対して使用するからです。

これはやはり元々の由来となっている「蓼」がほとんどの虫から嫌われている辛くて苦い葉であることが影響しているでしょう。わざわざそんなものを選んでいる、ととらえられるからです。もし周囲の人から「蓼食う虫も好き好き」と言われたことがあるのであれば、「変わった趣味」の人と判断されているのかもしれません。

似た意味のことわざとの比較

「面々の楊貴妃」・・・それぞれが絶世の美女と判断する人が違うということ。人の好みはバラバラであるということ。
「十人十色」・・・人が十人いれば、それぞれに性格や好みは違うということ。比較的否定的な意味でだけでなく普通の文にも使われることが多いことわざです。

使用法、使用例

「あの大会社の男前で有名な御曹司が外見も性格も悪いと評判の女と結婚したらしいな」
「蓼食う虫も好き好きだな。きっと御曹司にはあの女性が天使に見えたのだろうさ」
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