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将棋界初の偉業!?初代永世竜王の資格保持者『渡辺明』の伝説エピソード

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渡辺 明(わたなべ あきら)

プロフィール

1984年4月23日生まれ
東京都葛飾区出身
師匠 所司和晴七段
永世称号 永世竜王
2000年3月、プロ棋士を目指す若者が集まる奨励会の3段リーグにて13勝5敗という圧倒的な勝率で1位通過を決めた若者がいました。
その人は、当時はまだ15歳だった渡辺明棋士でした。
将棋界で4人目となる中学生プロ棋士の誕生ということで、当時は話題になり、羽生善治の後継者だと将棋関係者や将棋ファンの間では期待の声も聞かれました。

実際、竜王のタイトルを初め数々のタイトルを奪取し、現在も将棋界のトップで活躍されています。
この記事では、そんな渡辺明棋士の伝説やおもしろいエピソードなどを紹介していきたいと思います。

1 史上4人目の中学生プロ棋士

プロ棋士になるには、プロ棋士の養成機関である奨励会で一定以上の成績を残さなければなりません。
また、その奨励会に入る際にも試験があります。

地元の将棋大会に大人に混じって参加し、簡単に優勝してしまうような子たちが全国から集まり、奨励会の試験を受けます。
その中で優秀な子が選抜され奨励会への入会が許可されるのです。
ですから奨励会に入るだけでも並大抵のことではありません。

そんな全国の天才児たちが集まって、奨励会でライバル達と切磋琢磨し、将棋の腕を磨いているのです。
奨励会では将棋の腕ごとにいくつかのグループにランク分けされており、グループ内で上位の成績を収めると上位のグループへ移ることができます。

そういったグループの最上位にあるのが、通称3段リーグと呼ばれるグループです。
3段リーグは奨励会の中で一番上位に位置しており、このリーグで優秀な成績を収めた者だけがプロ棋士になることを認められます。

通常は小学校高学年の10歳~12歳ぐらいで奨励会に入会し、20歳前後で3段リーグを突破しプロ棋士になるというパターンがほとんどです。
ですが、渡辺明棋士の場合は小学校4年で奨励会に入会してから破竹の勢いで勝ち星を重ね、中学校3年の3月に3段リーグ突破を決めました。

長い将棋界の歴史の中でも、中学生という若さでプロ棋士になれたのは渡辺明棋士を含めてたった4人しかいません。
そのことからも、渡辺明棋士のすごさが分かるといえます。

2 将棋界初の永世竜王

将棋界には永世称号と呼ばれる称号があります。
これは、タイトル戦にて特に優秀な成績を収めた棋士だけに許された権利で、殿堂入りのようなものです。

将棋の7大タイトル戦すべてに永世称号がありますが、竜王戦に関しては長い歴史の中で永世竜王の資格を取れたプロ棋士はいませんでした。
タイトル戦ごとに条件は少しずつ異なりますが、竜王戦においては、連続5期もしくは通算で7期竜王位を保持すれば永世竜王の資格が与えられることになっていました。

当時の将棋ファンの間では、羽生善治棋士が初代永世竜王になるのは間違いないと言われていました。
実際、羽生善治棋士は通算で6期竜王位に就いており、永世竜王の資格まで後1期という状況でした。

ところが、2004年に竜王位に就いた渡辺明棋士は、その後破竹の勢いで竜王位を4連覇し、2008年には、もう一度連覇すれば初代永世竜王という状況になりました。
運命のいたずらなのか神様の気まぐれなのか、その年の竜王への挑戦者はなんと羽生善治棋士。

渡辺明棋士が勝てば連続5期で、羽生善治棋士が勝てば通算7期で、どちらが勝っても初代永世竜王という将棋界初の永世称号を賭けた戦いになりました。
挑戦者の羽生善治棋士が3連勝し、竜王位まで後1勝、渡辺明は崖っぷちに追い込まれました。

続く竜王戦第4局の終盤、局面は羽生善治棋士の優勢、この時渡辺明棋士は投了も考えていたそうです。
諦めかけていたその時、奇跡的な手順を発見して詰みを逃れ、そこから壮絶な終盤戦を制して逆転勝ちしました。

その勝利をきっかけに波に乗った渡辺明棋士は、その後の第5局、第6局、第7局も勝って、これもまた将棋界初となる3連敗からの4連勝で竜王位に就き初代永世竜王の資格を得ました。

将棋界初の両者に永世称号がかかったタイトル戦、将棋界初の3連敗からの4連勝でタイトル奪取、将棋界初の永世竜王。
この年の竜王戦は初めてづくしの竜王戦になりました。

3 無類の競馬好き!?

渡辺明棋士は、インタービューで「将来の夢は馬主になること」と公言するほどに競馬好きです。
一口馬主という立場ではありますが、実際に馬主になっているそうです。
本当の馬主になるには数億円単位の資金が必要といわれていますが、今後の活躍次第では本当に馬主になってしまうかもしれませんね。

また、馬券を買ってレースを楽しむこともよくあるそうで、タイトル戦に向かう道中に馬券を買っている姿を将棋ファンに目撃されたという話もあります。
将棋界以外にも渡辺明棋士の競馬好きは有名で、実際にG1レースのテレビ中継にゲストとして呼ばれたこともあります。

スポーツ新聞や競馬雑誌に記事を寄稿することも多く、競馬ファンの間では将棋界といえば渡辺明棋士だと知られています。
引退後は月曜日の朝から競馬雑誌を読んだりレースの予想をしたいと語っており、本当に競馬が好きなことがうかがえます。

すでに引退後の生活を口にする渡辺明棋士ですが、棋士としては現在も上位の成績を収めており、引退はまだまだ遠い先になりそうです。
今後のさらなる活躍に期待したいですね!
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