藤井システムで一世風靡！？将棋界のファンタジスタ『藤井猛』の伝説エピソード

藤井猛棋士は、一時期将棋界で猛威を振るった戦法である「藤井システム」の考案者です。
詳しい解説は後ほどしますが、この「藤井システム」はそれまでの将棋界の常識を根底から覆すような戦法で、古典的な将棋と現代将棋の転換点を作ったと言われています。

実際、藤井猛棋士はこの「藤井システム」でタイトルを次々と奪取しました。
最近ではそのキャラクターばかりが注目され将棋界のファンタジスタの愛称で親しまれています。
この記事ではそんな藤井猛棋士の伝説や、エピソードを紹介していきたいと思います。

藤井猛棋士といえばなんといっても「藤井システム」です。
当時の将棋界の常識を覆し、新しい将棋の潮流を作ったとも言われ、現在でもその功績は高く評価されています。
では、藤井システムの何が優れていたのか説明していきます。

そのためにはまず、将棋界全体の流れを把握する必要があります。
藤井システムが世に出る前までの将棋界は、いい意味でも悪い意味でも牧歌的な雰囲気でした。
将棋の序盤はお互い定跡通りに手を指すことが暗黙の了解とされ、終盤の局面、詰むや詰まざるやの場面でこそ棋士の実力が発揮されるという考えが常識とされていました。

序盤の研究という発想すらありませんでしたし、将棋の研究といえば主に詰め将棋のことでした。
後は将棋以外の遊びなど人生経験が将棋の勝敗に関わってくるという、今考えるとよく分からない論理がまかり通っていました。
実際、当時の棋士は毎晩飲み歩いたり、ギャンブルに手を出したりと、破天荒な生き方をする人が多かったそうです。

そんな中、序盤こそが大事なのではないかと考えた棋士がいました。
その人こそが、藤井猛棋士だったのです。
藤井猛棋士は将棋を始めた年齢が他のプロ棋士より遅かったこともあって、終盤の寄せの局面で逆転されて負けることが多く、このままではプロ棋士として生き残っていけないと考えたそうです。
自分が終盤が苦手であっても、相手に逆転されないような圧倒的な状況を序盤のうちに作ってしまえばよい。
そんな発想で序盤の研究に取り組み、藤井システムが考案されたのです。

矢倉戦法、棒銀戦法など将棋には数多くの戦法があります。
そういった戦法と藤井システムでは大きく異なる点があります。
いったいなんなのでしょうか？
これが即答できる人は相当将棋通といってよいでしょう。

それまでの他の戦法では、まず自分の陣形を整え、玉を安全な位置に移動し、複数の駒で玉を囲ってから攻めるというものばかりでした。
そういった中で、藤井システムには玉を囲うという発想がありませんでした。
相手が玉の安全を確保する間に、自分も玉の安全を確保するのではなく、相手の陣に攻め入って、囲いが完成する前に勝負をつけてしまう狙いがあったのです。

この戦法は、ある意味で諸刃の剣です。
自分の玉は危険なままで相手の陣に攻め入るわけですから、もし失敗すれば逆に反撃を受けた場合簡単に自分の玉が詰まされてしまいます。
藤井猛棋士は、相手がこう対応してきたらこの手、別の対応をしてきたらまた別の手という風に、あらゆる局面を想定しそのすべてにおいて自分がどういう手を指せばよいのか研究し尽くしました。

そういった努力の結果、相手に反撃できる隙も与えず圧倒的な差で押し切って勝つことができるようになりました。
藤井猛棋士が初めて公式戦で藤井システムを披露した光景は今でも伝説になっています。

相手は強豪の井上慶太棋士だったのですが、僅か47手で井上慶太棋士を投了に追い込みました。
プロ棋士同士の対局において、たった47手で圧倒的大差がついて投了するなんてことは前代未聞です。
あまりの衝撃に対局を解説していた棋士も絶句してだまりこんでしまったそうです。

当時は誰も藤井システムを止めることができず、藤井猛棋士は藤井システムで将棋界の最高峰タイトルのひとつ竜王位を奪取することに成功しました。
その後も勝ち続けるだろうと予想されていましたが、ライバル棋士たちの必死の研究によって対策が考え出され、現在では藤井システムはほとんど見ることはなくなってしまいました。

しかし、藤井システム全盛期の圧倒的な勝率、序盤に玉を囲わずに攻めるという新しい発想は今も高い評価を受けています。
新しい戦法が生まれては消えていく将棋界で今も藤井システムが評価され続けているのにはそういった理由があったのです。

藤井猛棋士が終盤が苦手なことから序盤の研究に力を入れるようになり、藤井システムが考案されました。
実際、藤井猛棋士は終盤で見落としをしたり、大悪手を指すような場面が多く見られます。

ファンタジスタとは元々はサッカー用語の1つで、観客が思いもつかないような創造的なプレーをする選手を表す言葉として使われています。
終盤で将棋ファンが思いもつかないような手を指すことから、ネット上などで将棋界のファンタジスタと呼ばれるようになりました。

最近は勝率が落ちてきて、順位戦もB級2組まで落ちてしまった藤井猛棋士。
また藤井システムのような斬新な戦法を編み出して、タイトル戦や順位戦で活躍してほしいですね！