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野ではもう見られない秋の七草「フジバカマ」を育てよう

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フジバカマは、奈良時代に中国から渡来した帰化植物と言われていて、「秋の七草」の一つです。かつてはあちこちの水辺に自生していていました。夏〜初秋にうす紫色の花をたくさん咲かせる、草丈が1〜2mにもなる野草で、タンポポの綿毛のような種を飛ばします。

野生のものはほとんど見られなくなり絶滅危惧種になりましたが、栽培品種のポット苗や鉢植えの苗が流通していて、丈夫で育てやすくよく増えるので、自宅で秋の七草フジバカマ」を育てることで、じっくり楽しむことができます。

フジバカマは花も葉も美しい

フジバカマは8〜9月になると、長くまっすぐ伸びた茎の先端が枝分かれして、赤紫色の小さな丸い花が寄り集まってできた頭花がたくさんついたブーケのような形になり、小さな丸い花の先端が星形に裂けると薄いピンク色になり、中から白いリボンのような2本のめしべが飛び出します。

1つの花の花もちは1週間程度ですが、花の最盛期の9月を過ぎた後も、11月くらいまでは残り花が咲き続けます。花が終わった後、タンポポの種のような白い綿毛のついた種ができることもあり、種は風が運んでいきます。

花色が藤色で花びらの形が袴に似ているから「フジバカマ」と名付けられましたが、「アララギ」とも呼ばれています。

川岸の護岸工事などで生息地を奪われてしまったために絶滅危惧種になりましたが、フジバカマは繁殖力の強い背丈が1〜2mにもなる丈夫な植物で、地下茎をどんどん横に伸ばして広がり、晩秋に地上部が枯れこみますが春になると新芽を出して成長してくる多年草です。

フジバカマの葉は同じ節から左右に伸び、本葉は切れ込みが左右に入る3つに裂けた葉になっています。そのままでは無香性ですが、茎や葉を乾燥させると、塩漬けのの葉(餅の葉っぱ)の香りに似た甘い香りがするため、中国では古くから芳香剤として使用されていて「香草」という別名もあります。

フジバカマは日当たりで育てると花つきがよくなる

フジバカマは日当たりがそれほど良くない場所でも育てることができますが、日当たりが悪いと間延びした育ち方になって、花数が少ない上に花色も悪くなってしまいます。また、風通しが悪いと蒸れて弱りやすいので、日当たりの良い風通しの良いところで育てるようにします。

フジバカマは盆栽に仕立てやすく、鉢植えでも庭植えでも育てられますが、地中で地下茎をぐんぐん伸ばして増えていくので鉢植えは毎年植え替えしないと根詰まりしやすくなってしまいます。

庭植えにするとよく茂りますが、横に広がりすぎて周りの花を追いやってしまうことがあるので、土の中で伸びすぎないように仕切り板や大きな植木鉢を埋め込んで広がりすぎないように囲っておく必要があります。草丈も剪定しないでそのままにしていると高くなりすぎるので、6月上旬ごろに全体を切り戻すのがおすすめです。

暑さにも寒さにとても強いので、夏も冬も特別な対策は必要ありませんが、土が極端に乾燥すると枯れてしまうので、庭植えにすると基本的には水やりは必要ありませんが、土の乾燥が激しいときは水をやるようにします。

フジバカマの水やりと肥料

庭植えにしたフジバカマは土の乾燥が激しいとき以外は水やりの必要はありませんが、鉢植えの場合は生育期の春〜秋は、表面の土が乾いてきたら底から抜けるまで水やりをし、鉢底に水をためないようにします。冬に地上部を刈り込んだ後は土が乾きすぎないように時々水をやるようにします。

フジバカマは乾燥より多湿を好むので土が乾ききらないように注意してください。乾燥が激しいときは朝夕水やりをしたり、株もとにマルティングをして乾燥を防ぐといった工夫をしましょう。

フジバカマを庭植えにするときは、植穴を掘った中に腐葉土をたっぷりと加えて庭土と混ぜ合わせた後、庭土でそのまま植え付けます。鉢植えの場合は、一般の培養土に緩効性化成肥料を少量加えた上に川砂をブレンドしたものが水はけがよくなるのでおすすめです。

春に芽出し肥として緩効性化成肥料を株もとに少量まくこともできますが、フジバカマを多肥にして育てると、株が脆弱になるだけでなく花つきも悪くなるので、肥料はなるべく控えめにしましょう。

フジバカマの植え替えと植え付け適期

フジバカマの植え替えと株分けの適期は3〜4月中旬なので、3月に植え替えと株分けを同時に行うのがおすすめです。地下茎が広がりやすいので、庭植えの場合は3〜4年ごとを目安に、鉢植えの場合はできれば毎年、最低でも2年ごとに植え替えないと、根詰まりして枯れてしまいます。鉢植えは、地下茎2〜3本が1株になるように切り分けて、根が1/3くらいの長さになるまで切り詰めてから植えるようにします。切り分けてすぐに植えることができます。

庭植えの場合は何年おきに植え替えるというより、株が混んで密集してきたら掘りあげて、生育の良い芽だけを選んで、増えすぎないように管理しながら植えなおすようにします。

フジバカマを増やすのは挿し木と種で

フジバカマは挿し木でも増やすことができ、挿し木は5〜6月に切り取った枝先を使って行います。丈夫な草花なので、水切れさえしなければ容易に根付きます。

フジバカマの花の後にできる種の数はあまり多くありませんが、タンポポの綿毛のような白い綿毛がついていて、風に遠くまで運ばれていきます。フジバカマの種は発芽率が高く成長も早いので、2〜3月にまいた種から育てたフジバカマがその年にすぐに花を咲かせることもあります。

魅力的な山野草のフジバカマはどんな植物?増やし方は?

フジバカマは質素な花ですが、たくさん咲くと優しくて魅力的な秋の花となり好きな人もいるのではないでしょうか。秋の七草としても知られていて、万葉の時代などの古い時代から日本では愛されている植物です。

小さな花がたくさん集まってまとまって咲いている様子を見るとなんだか愛着がわくフジバカマです。自然な雰囲気がたっぷりといった印象の花です。もっと詳しく魅力を知って庭で育ててみませんか。

フジバカマはどんな植物?

フジバカマは、東アジアが原産地で古くから日本でも見られる植物です。耐寒性、耐暑性のどちらもあり、初心者でも育てやすい山野草と言われます。

現在は自生する環境が少なくなり、実は絶滅危惧種となっている貴重な植物です。ただ、簡単に育てられますのでそれぞれの庭で育ててもっと増やしてほしい植物です。

8月〜10月頃まで優しげな花を咲かせるのが魅力で、優しい色合いが秋の花といったイメージをよく表しています。5mmほどの小さな花がたくさん集まって房状に咲きます。

その様子から花火みたいに咲く花といった印象を持つ人もいます。

まっすぐに茎は伸び、1m〜2mほどに成長し、きれいな株になり、その上部に房状の花が咲きます。

フジバカマといった名前は、花の色が藤色で、花弁が袴のような形をしていることから名前が付いていると言われます。他に、「ヒヨドリバナ」などといった品種もあり、白い小さな花がフワッと集まった状態で咲いているのでヒヨドリのイメージだったのではないでしょうか。かわいらしい白い花を咲かせます。

また、フジバカマの葉っぱは香りがし、中国では「草(らんそう)」や「香水」と呼ばれるほどです。例えると、餅の葉の塩漬けされた香りに似ているとも言われます。花の魅力や香りなど、いろいろな魅力を秘めた山野草と言えるでしょう。

そんなフジバカマ(藤袴)について、古今集では歌がいろいろ詠まれています。
「なに人かきてぬぎかけし藤袴くる秋ごとに野べをにほはす」
「やどりせし人のかたみか藤袴わすられがたき香ににほひつつ」
「ぬししらぬ香こそにほへれ秋の野にたがぬぎかけし藤袴ぞも」
どれもフジバカマ(藤袴)の香りにまつわる歌です。いかに印象的な香りになっているかということでしょう。

フジバカマの魅力は?

こうして花も香りも魅力的なフジバカマですが、あらためてフジバカマの魅力をまとめますと素朴で野趣あふれる花がやはり魅力ではないでしょうか。秋を伝える花としての雰囲気を備えています。

一般的な品種は、つぼみの時は濃い色をしていて赤紫の色をしていますが、咲くと薄くて優しいピンクの花が咲きます。ちょっとイメージが変わります。また、白い花を咲かせる「白花フジバカマ」などの品種もあってどの色も優しい色合いが魅力です。

実はキク科のフジバカマだということを知っていますか。キクと同じように清楚な魅力が確かにありますよね。

草丈は、自然に放っておくと2m位までに大きくなるものもあります。全体的に和風な雰囲気がする植物ですが、最近人気のナチュラルガーデンにもおすすめです。山野草の自然な雰囲気、花や葉の色や姿がナチュラルな魅力を持っています。

広がって育っていきますが、フジバカマの魅力を大切に自然な形に育ててみるのがいい育て方です。山野草として成長していく過程の醍醐味も味わってみませんか。

フジバカマを増やすには?どうやって増える?

もし、大きくなりすぎて困る場合には、5月〜6月に株を1/3または1/2程度までに切り戻してあげると同じような大きさが保てますのでおすすめです。増やす場合には、切り取った枝を挿し芽にして増やしていくのがいい方法です。

株が混んできた場合には株分けをして増やしてもいいでしょう。

自生しているフジバカマは減ってきていますので、庭でフジバカマを育ててみることをおすすめします。

耐寒性と耐暑性もあり、植えておくだけで毎年花を咲かせてくれますのであまり手間がいりません。水切れにだけは注意をして育ててみましょう。水辺のような所が元々は好きですので水遣りは気を付けましょう。また、日当たりがいい場所も好きなフジバカマです。

ただ、フジバカマは増える際に、地下茎を横に伸ばしてどんどん増えていきますので少し注意が必要です。特に、地植えの場合には、他の植物の邪魔をしてはびこってしまうことがあります。邪魔をしそうな場合は増えないように区切って植えることも考えておきましょう。

フジバカマでナチュラルガーデンを目指そう

ナチュラルガーデンを目指す場合に植えると、大きくなりますし、自然な姿を楽しむことができます。庭の後ろの方の日当たりが良く、乾燥しづらい場所にフジバカマガーデンコーナーを作ってみてはいかがでしょうか。

秋になって優しい雰囲気の花が咲き、茎の魅力的な香りもするフジバカマを楽しんでみませんか。初心者でも育てやすいので自然あふれる姿を楽しみましょう。葉っぱもたくさんできれいで斑入りの種類もあります。できればたくさんに増やしてみたい植物ですね。

絶滅危惧種になっているフジバカマの種類をもっと知ろう!

フジバカマは、東アジアが原産で、日本でも万葉の時代から親しまれてきた秋の七草のひとつです。そのフジバカマが日本で現在絶滅危惧種となっています。耐寒性も耐暑性も強く、日本で育てやすいフジバカマですが、育つ環境が変化していることによって絶滅しかけています。

もっとフジバカマについて知ることで、少なくなりつつあるフジバカマとその環境も大切にしてみませんか。いろいろな種類があるフジバカマについてもご紹介します。

フジバカマの自生している環境は

フジバカマが自生している環境は、元々は川沿いの湿った草原などです。以前はそういった場所が多く見られましたが、最近では護岸工事などが進むことで育つ環境自体がなくなってきています。歴史のあるフジバカマが危機に瀕しています。

そうした川沿いに生えていたような植物が段々と見かけなくなってきていますよね。庭に植えられているのは見かけても、自然に生えているのを見る機会が徐々に減ってきています。

フジバカマは原種、園芸種と多種多様!

フジバカマの中には、葉っぱに斑が入るものもあります。また、淡い紫色の花が野趣あふれるフジバカマですが、その花の色も種類によって少し異なります。

絶滅危惧種となっているフジバカマは、交雑種がよく売られています。花の色が全体的に濃い紫色のフジバカマで小型の種類です。「サワフジバカマ」と呼ばれていて、「フジバカマ」と「サワヒヨドリ」の交雑種として作られています。

この「サワフジバカマ」には純白の花もあり、園芸種として流通しているものは、概して少し花色のはっきりしたフジバカマとなります。

フジバカマ」や多く売られている「サワフジバカマ」は、地下茎がとても伸びるため、繁殖力が大きいのも特徴です。そのため、広がりすぎないように気を付ける必要もあります。他のフジバカマの種類の中には、地下茎が伸びないものも多いのですが、地下茎を伸ばすものは要注意です。

本来なら「フジバカマ」も繁殖力が旺盛なのですが、今ではそれでもあまり見られなくなり、やはり環境の変化は大きいものです。

また、「サワフジバカマ」の元にもなった「サワヒヨドリ」については、湿原や湿った場所で育つのが特徴です。薄紫色の花をはじめとして全体的に少し紫がかって見えます。草丈は、50cm〜100cmとフジバカマとしては平均的な大きさとなります。

「ハマサワヒヨドリ」は、関東地方の南部などの浜、海岸沿いの乾燥した草原や斜面に育つ種類です。湿地が好きな「サワヒヨドリ」とは生育環境が逆のような感じですね。こちらは、草丈15cm〜30cmほどしかないかわいらしいサイズです。葉っぱも卵型やそれを少し細くしたようなふっくらした形になっているのが特徴です。

屋久島にだけある「ヤクシマヒヨドリ」もあります。屋久島の大自然の森林の中で湿った地に育ちます。草丈は、15cm〜30cmとかわいらしく花を咲かせます。水はけがいいように育てるのが良く、高山植物培養土で育てます。森林の中に咲いていると自然な可憐さが印象的です。

「ヒヨドリバナ」もちょっと育つ場所が異なり、山の日当たりのいい場所に育ちます。草丈も100cm〜150cmにもなるという大型種です。葉っぱがギザギザしているのも特徴です。

こうして見てみますと、フジバカマは、原種、園芸種と多種多様です。背丈がかわいらしい15cmから150cmになるものまであります。花も優しい薄紫から少し濃い目の紫まであります。

ただ、どれも自然な雰囲気がやはり人気と言えそうですね。葉っぱや花の漢字が何とも優しげな山野草と言った感じです。下草などに植えても雰囲気を作ってくれるのがフジバカマですよね。

フジバカマの花の咲き方を詳しくみると

こうした多くの種類が作られているフジバカマで、花の特徴をあらためて見てみたいと思います。

フジバカマの花は、1mmほどの花が密集して咲きます。そして、花が咲くと細いめしべがたくさん糸のようになって出てくるのが印象的です。育てている人たちからはその様子がヒラヒラした花火のようだと楽しまれているフジバカマの花です。

そして、それをそのままにしておくと、ヒラヒラが付いた種となり、そのまま綿帽子として飛んでいきます。まさに花色といい、種と言い、育てていると自然な感じが特徴で和める植物です。

開花時期は、7月から遅いものは10月頃まで咲いているものもあります。長く楽しむことができ、秋の七草として楽しみたいですよね。

園芸種を育てることで魅力を知ってみませんか

いかがでしょうか。フジバカマは、日本で絶滅危惧種になっていますが、元々は繁殖力もあって日本の気候にも向いている植物です。育てやすいので園芸種を買って身近に育ててみてはいかがでしょうか。庭の下草などにもいい雰囲気です。

また、野趣あふれるフジバカマは、川岸や森などの自然にもやはりよく似合います。もし、そうした場所で出会ったならばとても貴重な機会です。そんな貴重なフジバカマと自然も大切にしていきたいですね。

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