金のなる木はどんな木？金のなる木の魅力と育て方

金のなる木は、南アフリカ原産のベンケイソウ科クラッスラ属の、低木になる常緑の多肉植物です。
ベンケイソウ科の植物は、乾燥地帯などの厳しい環境に適応しやすく、世界中に分布している丈夫な植物です。
金のなる木の和名は「フチベニベンケイ」ですが、「金のなる木」か「花月（カゲツ）」の名前で流通しています。

金のなる木には、子株でも花がよく咲く品種と、大株にならないと花が咲かない品種があり、葉色も緑のイメージが強いのですが、白・ピンク・赤の斑入りの葉の品種と、葉が巻いている品種、葉が細い品種もあります。

葉も茎も厚みのある多肉質なので、水分をたっぷりと蓄えるため、乾燥に強いのですが、多湿に弱く根腐れしやすくなっています。
寒さに弱いので、0℃以上の環境で育てる必要があります。

金のなる木は日当たりが悪いと緑色が濃くなり、茎が伸びて間延びしてきます。
一度間延びした茎は短くならないので、間延びしないように日当たりの良い場所で育てましょう。
金のなる木は寒さに弱いので、春〜秋にかけて屋外栽培し、霜が降りる前に室内に取り込んで越冬させます。
金のなる木の葉が斑入りの品種は、真夏の直射日光に当てると葉やけしてしまうので、夏は明るい半日陰に置いて管理しますが、斑入りでない品種は夏も明るい場所で育てます。

気温が5℃を下回る前に室内に取り込み、明るい窓辺で、5℃を下回らないように注意して育てます。
ずっと屋外栽培していた鉢植えを室内に取り込むときは、鉢を外して虫や虫の卵がついていないか確認し、鉢の内外をしっかり洗って乾かしてから鉢に戻してから、室内に取り込むようにしましょう。

金のなる木の水やりは、春と秋に、表面の土がしっかり乾いているのを確認してから、鉢底から流れ出るまで水やりします。
葉に水をかけても構いませんが、葉の付け根に水が溜まったままにしていると腐ってくることがあるので、葉にかけてしまったときは水をタオルの端などで吸い上げて置きましょう。
夏場の7月下旬〜9月下旬は、葉が萎れてきても水はやりません。

冬場は休眠気味なので、乾燥気味に管理するので、土が春や秋よりも強く乾燥しているのを確認してから鉢底から流れ出るまで水やりします。
水やりする水の量を減らすのではなく、水やりの頻度を大きく減らしましょう。
冬は月1回程度の水やりでも十分です。
気温が高くなってきた午前中に水やりするようにします。

金のなる木も多肉植物なので、春〜秋にかけての生育期であってもあまり肥料を必要とはしません。
肥料を全くやらないでも枯れませんが、春〜秋にかけては緩効性化成肥料をひとつまみ株元にまいておいたほうが良い状態に育ちます。

金のなる木は7月下旬から9月下旬まで、葉が萎れてきても、水やりを控えます。
10月頃に葉がしわしわになってきたら、水をたっぷり与えるようにすると、花芽が一斉に成長し始めます。
真夏に水が十分にあると、花芽をつけずに葉の成長にエネルギーを使ってしまうので、　かわいそうに思っても夏場は水やりしないようにしましょう。
からからになって萎れてきた金のなる木の葉も、水をやれば勢いを取り戻し、ピンクがかった小さな蕾をたくさんつけて、一斉に花を咲かせてくれます。

金のなる木は、真夏を除いた春か秋であれば、いつでも植え替えができますが、2〜3年ごとに植え替えるようにしましょう。
通常は、鉢を外して、いたんだ根や伸びすぎた根を取り除き、古い土を少し落として植え替えますが、根が傷んでいる部分が多い場合は多めに土を落として、一回り大きな鉢に植え替えるようにします。
植え替え直後に水やりはせず、新芽が伸びてきたのを確認してから水やりしましょう。

根を多く切り取ったときは、2、3日切り口を乾かしてから植え付けするようにします。
金のなる木の植え付け用土は、水はけの良い土を使いましょう。
多肉植物用の土かサボテン用の土を用いるか、小粒の赤玉土にパーライトを1/3ほどブレンドしたものを用いるのもおすすめです。

金のなる木は挿し木で増やしましょう。
挿し木の適期は植え替えの適期と同じです。
大きくなりすぎた枝を剪定したとき、挿し木してみましょう。
切り取った枝はどこでも挿し木に使えますが、切り口がしっかり乾くまで1週間程度乾かしてから土に挿して挿し木します。

挿し木に用いる用土は水で濡らさずに、乾いたまま使います。
挿し木に用いる土は新しい多肉植物用かサボテン用の土を用います。
新しい芽が伸びてきて、グラグラしないくらいに根が伸びてきてから水やりします。

金のなる木は、取れた葉を挿し木に使う「葉挿し」でも増やすことができます。
葉っぱを土の上に置いておくだけなので、簡単です。
根が伸びてきて、新しい芽が出てきたら挿し木が上手く行っています。
葉挿しに使った葉は萎れてしまうので、しっかり育ってきたら、取り除くようにします。

金のなる木は縁起がいいと言われていて人気ですよね。
金のなる木と呼ばれますが、木ではなく、多年生の多肉植物です。葉っぱが丸くてコインのように見えるので、金運が良くなるなどとよく言われています。
英語でも「dollar plant（ダラ−プラント）」「Money tree（マネーツリー）」と呼ばれているほどで、縁起の良さは共通しているようです。
その縁起のいい金のなる木には花が咲くのを知っていますか。
花についても縁起がいいのかをご紹介していきたいと思います。

風水的にも金運や繁栄にいい植物となっている金のなる木です。葉っぱが丸い形で上向きに付くことから、元気で心も丸くなるとされています。縁起がいい植物として育てたいという人も多いでしょう。

そして、縁起のいい植物として育てるからには、枯れたりしないように気も付けたいですね。そんな金のなる木も、時々葉っぱが落ちて枯れてしまうこともあってとても心配です。その多くの原因は、根腐れで、根腐れをおこすことによって葉っぱが落ちてきます。日によく当てなかった場合や、水を遣りすぎた場合など、水の管理もしっかりしないと、根腐れ状態で枯れてしまいます。多肉植物で育てやすいのですが、水遣りや耐寒性が弱いことなどもあり、くれぐれも気を付けて育てたいものです。

そんな金のなる木を上手に育てると花を咲かせることができます。1月〜3月の冬の時期にピンクや白の花が咲きます。あまり花が咲いた様子を見たことがないので、金のなる木に花が咲くと縁起が悪いなどと言われたりしますが、どうなのでしょうか。

そもそも金のなる木に花を咲かせるのは少し難しく、少しコツが要ります。花芽が作られるのが8月下旬からですので、夏の間の水遣りを控えることが大切です。2週間に1回ほどの水遣りにし、雨にも当てないようにします。通常ですと、夏にしっかり水を遣らなければならないところですが、その水を控えることが花を咲かせるには大事なことです。

水をしっかり遣ることで、花よりも葉っぱがよく生長してしまいますので、花を咲かせる際には、水遣りを控えるよう注意しましょう。水を控えると、見た目で葉っぱがシワシワに乾燥していく様子が見えますが、そこは我慢して花を咲かせることを優先させて育てましょう。そして、秋分の日が過ぎたころから水を遣り始めます。そうすることで、また葉が元のふっくらした丸い葉の状態に戻りますので大丈夫です。秋に花芽が付いてくれたら、成功と言えるでしょう。

金のなる木は、また、よく日に当てることでも花を咲かせるようになります。耐寒性は弱いので、寒さに気を付けながら1年中、日に当てるようにします。そして、夜は暗くなる場所におくことも大切です。戸外に置くのがおすすめでしょう。

そして、肥料は施さないでおきましょう。そうしたコツをつかむことで珍しい金のなる木の花を咲かせることができます。

そんな金のなる木の花ですが、あまり花が咲いているのを見かけないために、花が咲いたら縁起が悪いのではと言われてしまうことも多いようです。確かに以前は、大株に成長しないと、花が咲かないようでした。

しかし、現在では小さな株でも花が咲く品種も登場しています。小さな株でも花が咲きやすい系統と、何年か長く育てて大きな株にしないと花が咲かない系統がありますので選んでみましょう。濃い緑の葉で赤い縁取りの金のなる木は、大株にならないと花が咲きません。

花が咲きやすい系統としては、「花月」と「華花月」と呼ばれる種類があります。名前に花が付いていますので咲きやすそうですよね。また、「桜花月」は、丈は小さな品種ですが、小さな株でも花芽が付き、ピンクのかわいい花を咲かせる品種です。花がなかなか咲きづらいと言われていた金のなる木に、長年かけなくても小さな株で、花が咲くのは嬉しいものでしょう。

また、金のなる木は、花が咲くと1月〜3月など長期間にわたって花が咲くのも一つの魅力です。ピンクや白の花をゆっくり楽しむことができます。花が早く咲きやすい系統を選び、花を咲かせるコツを習得することで、金のなる木に花を咲かせることができます。ぜひ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

そんな少し珍しい金のなる木の花言葉をご紹介しておきます。「一獲千金」や 「富」、 「幸運を招く」、 「不老長寿」と言った花言葉があります。葉っぱの丸い形から来たもので、全部縁起のいいものです。花言葉を見ても、金のなる木は、大事に育ててみたい多肉植物ですよね。

金のなる木に、珍しい花も咲かせることで、しっかり大事に育てていて、縁起がいいことになるでしょう。花のあまりない冬の時期に咲いてくれる金のなる木は、様々な意味で貴重です。ピンクや白の可憐な花が長い期間、たくさん咲きます。花も楽しみに育ててみてはいかがでしょうか。

監修：きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物、多肉植物、
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。