ガーデニング

リンドウの園芸品種と育てて楽しむコツとポイント

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秋を代表するリンドウの青い美しい花は、かつては日本中の野山や田んぼの畦など、いたるところで見られ、古くから親しまれてきましたが、野生種はだんだんと減ってきて、自然公園や植物園以外ではあまり見られなくなってきました。

現在、リンドウ園芸品種が切り花や鉢花で数多く流通しています。
リンドウの可愛らしく色鮮やかな花は、ブーケやアレンジメントに欠かせない素材の一つです。
リンドウの多くは暑さに弱いため、寒冷地のほうが栽培は盛んです。
特に岩手県では、リンドウの生産と品種改良が盛んに行われています。
夏に枯らしてしまうことが多いのですが、リンドウ多年草なので、長く育てて楽しみたいですね。

リンドウの園芸品種

現在流通しているリンドウ園芸品種は、すらっと背が高くて節々に花を咲かせる「エゾリンドウ」「ササリンドウ」系と、余り背が高くならずに先端に花を咲かせる「キリシマリンドウ」系に二分されます。

背の高くなる系統のエゾリンドウは、7~10月に節々に花をつけますが、蕾がふくらむものの、ほとんど花を開きません。
ササリンドウは、少し遅れた9~11月に、エゾリンドウと同じように節々に花をつけますが、花の先端が開いて花びらが反り返るので、より豪華に見えます。
エゾリンドウとササリンドウの交配種は、品種によって花びらが開いたり開かなかったり、それぞれ違っています。

あまり背が高くならないキリシマリンドウは、茎が長く伸びないのでコンパクトに育ち、茎の先端に2~3輪ずつ花をつけます。
ササリンドウと同じく、花びらを開くので、こんもりとして可愛らしい印象になります。

流通している矮小種のリンドウの中には、矮化剤を使って背が伸びないようにしているものもあり、長く育てていると矮化剤が切れて急に大きくなる場合もあります。

シンキリシマリンドウ

シンキリシマリンドウは、霧島固有種のキリシマリンドウと、6~9月に開花する原産地が小アジア~イランのナツリンドウを交配させた品種です。
シンキリシマリンドウは、8~11月に開花して、八重咲きの品種もあり、リンドウの中では暑さに強い品種です。
草丈が15cm前後とコンパクトに育ち、横へ伸びる匍匐性があります。

いわて乙女

いわて乙女は、草丈が40cm前後までしか伸びない高山性のエゾオヤマリンドウ園芸品種です。
エゾオヤマリンドウは、青紫色とピンクの花がありますが、いわて乙女は青紫色の花色のみになります。
いわて乙女は、8~10月に開花して、草丈が30cmくらいまでしか伸びない、やや小さめの品種で、花はほとんど開きません。

ももこりん・あおこりん

ももこりん・あおこりんは、岩手県がいわて乙女に続く鉢物リンドウの新品種として、長期間花が楽しめて、コンパクトに育ち、花びらが開く品種として品種改良したもの。
ピンクのものがももこりん、青いものがあおこりんで、草丈は30cmくらいまでしか伸びません。

ももずきんちゃん

ももずきんちゃんは、2010年に登場した、いわて乙女・ももこりん・あおこりんに続く、岩手県が品種改良した新しいリンドウです。
草丈は40cm前後まで伸びるので、矮小種では背が高い方になります。
ももずきんちゃんは、葉っぱが小さめで、9~11月まで花がたっぷり楽しめる花つきの良い品種です。
寒さに強い半面、暑さには弱いので、夏場は涼しい半日陰で管理しましょう。

安代リンドウ

岩手県八幡平市(旧安代市)では、1960年代後半から組織的に、リンドウの品種改良・生産がなされています。
これらのリンドウはブランド「安代リンドウ」として、オリジナル品種のみを生産していて、国内シェア35%以上の生産量があります。

安代リンドウには、切り花リンドウとして、最も早い6月下旬に開花を始める「安代の夏」、青紫色の花色が鮮やかな安代リンドウの代表種「安代の秋」、真っ白な花を夏に咲かせる「サマースノー」、柔らかなピンク色の花を咲かせる「ラブリーアシロ」など、豊富な品種があります。

安代リンドウの鉢花品種としては、コンパクトな草丈でボリュームのある品種と40cm前後の草丈になる品種があり、花色が白・紫・青紫・青・ピンク・赤など、豊富な花色がとともに、花びらが大きく開くもの・開かないものなど、バリエーションも豊富です。

摘芯してこんもりした株に育てる

リンドウをこんもりした大株に育てるには、摘芯して脇芽を増やす必要がありますが、エゾリンドウやオヤマリンドウとその園芸品種は脇芽が出にくく、摘芯すると花が咲かなくなることがあるので、これらの品種は摘芯しないようにします。

つまり、背丈が高くなり、節々に花をつけるリンドウは摘芯せず育て、こんもりとして先端にしか花をつけないリンドウは摘芯して育てることになります。

摘芯の適期は5月ごろですが、遅くなると花が咲かなくなることもあるので、遅くとも6月上旬までに摘芯しておきましょう。
枝の下の方から2~3節を残して、全体を切り落とします。

摘芯で切り落とした芽は、挿し芽として挿し木に使えます。
10cmほどの長さに切った芽の、土に挿す下になる部分の葉を取り除き、水切りした後30分ほど水に挿しておいて水揚げします。
湿らせておいた鹿沼土を入れた苗床に、棒で穴を開けたところに挿し芽を挿し、ぐらつかないように軽く土を抑えておきます。
底面給水で水が切れないように、1ヶ月ほど日陰で管理します。
根がでてきたものは地上部分が成長してくるので、新しい鉢植えに仕立てます。

リンドウは冬地上部分が枯れても水やりを

リンドウは冬、地上部分が枯れてしまいますが、だめになったわけではありません。
春になればまた芽吹いてくるので、処分しないでそのまま育てましょう。
地上部分がなくても、リンドウは地下に新芽が育ってきています。
冬の間も、表面の土が乾いてきたら、温かい午前中の遅い時間にたっぷりと水やりするようにしましょう。

リンドウは寒さに強い植物なので、冬も戸外で管理できますが、強い凍結や積雪が心配なときは、敷き藁や腐葉土を厚く敷き詰めるなどのマルティングをするか、軒下などで霜よけ・雪よけして育てましょう。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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