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春を告げるトキワマンサクの魅力。マンサクだけどマンサクとは別?

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トキワマンサク」は「常盤万作」と書き、「常盤=常緑の植物」を意味しているように、名前の通り「常緑のマンサク」で、マンサク科トキワマンサク属の植物ですが、「マンサク」そのものは常緑ではなく秋に葉が紅葉して落ちてしまい、同じマンサク科でもハマメリス属(マンサク属ということもあります)という別の属に属しています。

マンサクは、黄色い細い花びらが集まってよじれたような花が咲きますが、トキワマンサクは白い花が咲き、変種の濃いピンクの花が咲く「ベニバナ(アカバナ)トキワマンサク」もあります。
トキワマンサクの特徴や性質、育て方などとあわせて、トキワマンサクの魅力をご紹介していきましょう。

似て非なる「マンサク」はどんな植物?

マンサクは沖縄以外の日本中の山野で、まだ春には遠い2~3月ごろにいち早く花を咲かせるので、「まず咲く」「真っ先」が変化して「マンサク」と名付けられたとも、花がよく咲けば豊作満作になるから「マンサク」と名付けられたともいわれています。

マンサクの花は中心部にえんじ色のガクが付いた、軽くねじれた黄色いリボンのような花びら4枚でできた花で、枝先に2輪か4輪集まって咲きます。
香りも強く、満開の頃には木全体が黄色に染まったように咲きほこります。
花後、茶色い毛におおわれた実がなり、秋の終わりに実がはじけて黒い種が出てきます。

秋の紅葉も美しく、葉より先に花が咲くので花がとても目立ち、樹高は5~10mの大木になりますが、病害虫にも寒さにも強く、樹形も自然にまとまるので育てやすい植物です。

「トキワマンサク」は丈夫で庭植え向き

トキワマンサクの開花時期はマンサクより遅い4~5月ですが、秋にも少しだけ花を咲かせることがあります。
トキワマンサクは常緑なので、花の時期も花のない時期も木には葉っぱが茂っています。

トキワマンサクの花一輪もリボンのような花びらですがほぼまっすぐで、花びら4枚で花一輪ができています。
枝の先端に数輪の花が寄り集まって咲くので、満開時は葉っぱを覆い隠して花のタッセルが木全体をおおうように咲き乱れています。

トキワマンサクは樹齢の高いものはマンサク同様の大きさに育つ場合もありますが、通常は樹高が3~4mの低木なので、生垣にも庭木にもぴったりで、あまり広くない庭でも問題なく栽培できます。

ベニバナトキワマンサクには銅葉と緑葉がある

トキワマンサクの葉は色のあまり濃くない柔らかな緑色ですが、赤い花をつけるベニバナトキワマンサクの葉っぱは、春の新葉はきれいな赤色で、夏を過ぎると緑色か赤褐色の「銅葉」になります。
ベニバナトキワマンサクは花もあでやかですが、いろいろな葉色と葉色の変化を楽しむことができるので、花のない時期も葉っぱの色のきれいなコントラストやグラデーションが楽しめます。

トキワマンサクの植え付け

トキワマンサクは樹形も乱れにくく穏やかに生育していくので、鉢植えでも庭植えでも栽培できますが、有機質に富んだ水はけのよい土で日当たりの良いところで育てるとほとんど世話いらずな上、花つきもよくなるので、庭植えで育てるのに向いています。

トキワマンサクよりベニバナトキワマンサクの方が寒さに若干弱い傾向があるので、東北以北や北海道など、特に寒さに厳しい地域では冬は敷き藁など防寒対策を施すか、鉢植えで育てて冬は室内管理するようにします。

トキワマンサクの植え付け適期は4月か9月で、日当たりと水はけのよい場所に、植穴に腐葉土堆肥をたっぷり混ぜ込んで植えつけるようにします。
横にそれほど大きく張り出していかないので、株間は30cm以上で十分です。

鉢植えの場合は、赤玉土に同量の腐葉土を混ぜ込んだ有機質の多い土に植え付け、緩効性化成肥料を株もとに置いておきます。

植えつけ後は水をたっぷりと与えますが、根付いた後は自然の恵みで十分で、鉢植えの場合は表面の土が乾いたらたっぷり水やりするようにしましょう。

庭植の場合は基本的には植え替えは必要ありませんが、鉢植えの場合は鉢底から根が伸びてきて、土が水を吸いにくくなったら植え替えるようにしましょう。
植え替えの適期も、植え付け適期と同じ4月か9月です。

トキワマンサクの剪定

トキワマンサクは夏7~8月に細く短い枝先に花芽をつけるので、しっかりと刈り込んで樹形を整える強剪定は花が終わったらすぐに行って、翌年の花芽を切り落とさないようにします。
トキワマンサクは樹形が乱れにくく、病害虫にも強い木ですが、夏以降に枝が大きく伸びていくので、夏前の剪定は伸びることを見越して強めに行います。

夏以降も、混みあって風通しが悪くなった枝や樹形を乱す徒長した枝は、切り戻ししたり付け根から切り落として整理するようにします。

剪定枝で挿し木をして増やして

トキワマンサクは挿し木もできるので、勢いの良い剪定枝を挿し穂にして挿し木で増やしてみましょう。
10cm程度に切り落とした枝の下の方の葉をとり、上の方の葉は葉先を切り落として蒸散を防ぐようにし、1時間ほど水につけてから水をしっかり含ませた苗床に挿し木します。
切り口の先端に発根剤をつけてから挿し木すると、着根率が高くなります。
水切れすると挿し木に失敗しやすいので、苗床の水切れに十分に注意してください。

監修:きなりのすもも
16年前に趣味でバラ栽培をはじめたのをきっかけに、花木、観葉植物多肉植物
ハーブなど常時100種を超える植物を育て、弱った見切り苗や幼苗のリカバリー、
一年草扱いされている多年草の多年栽培などに取り組んでいます。

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